天魔界戦

皇神凪斗

第23話 黒死竜戦

そこに居たのは前にここに来た時に出会ったデスペラードのリーダー、ロキであった。
しかし、今回は黒い大剣をその手に持っていた。
形は西洋風だが、よく見ると灰色で渦の様な紋章が描かれていて、禍々しい気配を感じた。
十中八九あれが『魔剣』だろう。流石のアルマでも『魔具』を持つ相手に正面から勝負は挑みにくい。
しかし、わざわざ目の前に現れた、何年も恨みに恨んだ仇をどう見過ごせようか。
アルマが攻め手を考えていると。
「俺を目の敵にしているのは分かるが、あの竜を放置は出来まい。」
「・・・その言い方だと、あれを倒そうとしているって捉えられるんだが?」
「その通りだが?」
「お前は無法者デスペラードだろ!一体、何の目的で?まさか正義の為とは言わないよな?」
「・・・ふむ。まあそうだな。強いていればお前を生かす為だ。」
「俺を?どうして?」
「お前と戦う為だ。お前には戦いの才能がある。そして俺は俺自身の実力が知りたい。己の限界がどれほどなのか、その為に生かしておいたんだ。」
ロキはおぞましい笑みでアルマを見つめた。
アルマは怒りと同時にロキの恐ろしさを悟り、額から頬へ汗が伝っていくのを感じた。
しかし、すぐに真顔になったロキは黒死竜が落ちていった方へ顔を向ける。
「ここまで計画通りだったんだが、まさか黒死竜を蘇らせようとは。・・・老いぼれが、下らぬ邪魔を・・・。」
・・・計画通り、それは村を襲うことからこの新街で対面するまでという事だろうか。
恨んでいる相手から手の上で踊らされていたと思うとかなり不愉快だったが、今は黒死竜をどうにかするべきだろう。
「んで?どうやって倒すんだよ。結構本気で殴ったのに傷すら付けられねぇぞ?」
「そうでも無いさ、もう何度か繰り返せばあの鱗は砕けるだろう。」
「あの鱗は・・・ね。・・・その剣かお前の魔法でどうにかならないのか?」
「あれは闇の生物だ。なら『神器』か光の魔法が最も効果的だろうな。残念ながら、光の魔法は使えんな。」
「・・・お前何しに来たの?」
「全く効かないとは言ってないだろう?
・・・まずは俺があの鱗、お前が殴った腹部の鱗を破壊する。あとは奴の体内にある『核』をお前が潰せ。」
「はぁ・・・。え?トドメ刺すまで俺何もしないの?」
「別にそれでも構わんが?」
その物言いにアルマはどこかカチンときた。
「いいだろう。俺も戦うさ。俺だけでも充分だ。」

「さて、お前の力を見せてみろ。」
ロキは不敵に笑いながらそう呟いた。

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