天魔界戦
管理政府 その2
「巨人にデスペラード・・・。住人の不可解な過ごし方。」
アルマ達の話を聞いてレミアールは顎に手を当て考える。
正直、信じられる訳が無い。実際、これまでに何度かこの仕事を依頼したことがある。
しかし、特に何の情報も得られず、金だけを受け取り帰った連中もいた。
なので今回はグランさんに直接会い、信頼のおける人物に依頼するよう頼み込んだ。
あのグランさんが選んだのなら信用出来ると思ったからだ。
彼は適当な振る舞いが多いし、問題も何度か起こしてはいるものの、人を見る目は信頼できる。
しかしながら信じられない理由が彼女にはある。
レミアールの父親はギルドの人間に殺された。理由は「気に入らないから」だそうだ。
酒に酔っているところを注意しただけの父親はそれだけの理由で殺された。
もちろん全ての人間がそうとは限らない。いくら人を殺す仕事をしているとしても、全員が悪人だという考えはおかしい。
だが逆に全員が善人だという保証はない。
そんな思案を巡らせる時、アルマが動く。
突然腕を上げ、隣に座るメルの背中の後ろ。その空を掴む。そこには何も無いはず、しかし確かに何かを掴む音がした。
「あちゃー、気づいてたか。」
ルーズがその言葉を発するが、その手はルーズのものでは無い。ルーズは目の前にいる。
「この部屋に入った時から気づいてたさ。その言葉を聞くとあんたらの仲間でいいのか?」
「あぁ。もういいぞ。」
「了解。」
何もない所から幼い少し高めの声が聞こえる。
アルマの掴んでいる何かから、壁に塗ったペンキが剥がれるように突如人間が現れる。
この感じは透明化の魔法だろう。
そこには一人の少年が立っていた。
黒いローブに、背丈に合わない程大きな魔導書。まだサラサラな黒い髪は片目を隠すほど伸びている。
「少し記憶を見ようと思っただけだ。その手を離してくれるか?」
「はいよ。」
アルマが腕を離すと、少年はローブの下に腕を隠してしまう。
振り返ったメルは魔導書を見つけると目を輝かせる。
「あ、魔導書!見してもらっていいですか?」
「へ!?、あぁ。し、仕方ない。特別だぞ?」
少年は顔を少し赤くしながら震える手で魔導書を渡す。
「そいつはサリム。人によっては闇の賢者とか呼んでるな。」
思い出したようにルーズが紹介した。
「へぇ、彼が。常に魔導書を持ち歩いてるなんて、よっぽど魔法が好きなんだね。」
レイジの言葉にサリムは少し気まずそうな顔をする。
「いや、魔導書を持ち歩いてるのは魔法が覚えられ────」
「その事は言うなぁー!!」
先程より顔を赤くして、ルーズの言葉を遮る。
「失礼しましたメルさん。私の部下が失礼を。」
レミアールは膝に手を当て頭を下げる。
「い、いえ!でも、記憶を見られるのはちょっと・・・。」
「それなら俺の記憶を見てくれ、その方が早いだろ?」
アルマの提案に、あからさまに残念そうな顔をするサリム。
やる気を無くした表情でアルマの背中に手を当てる。
「レミア、ルーズ。君達の頭の中にも彼の記憶を送るよ。」
三人が少しの間目を閉じ、開く。
「本当のようですね・・・。それにしてもあのロキと言う方、かなり危険ですね。」
「心当たりは無いのか?デスペラードの人間と知らなかっただけで、どこかで見たりとか。」
「残念ながら・・・。あなたの記憶を見て、彼に対する憎悪が大きい事は分かります。危険人物なので、ギルドの人間であるあなたがどうしようと構いません。しかし、言わせて貰います。・・・復讐は何も生みません。
彼を殺した後、どうしたいのですか?」
考えていなかった。今のアルマの目標はデスペラードの崩壊。その後など。
目標を遂げた人間は次に何をすべきなのだろう。
「・・・わかんね。その時考える。」
「そうですか。でも本当の人殺しにはならぬようお願いします。では報酬をお渡しします。ギルドカードを。」
四人が報酬を受け取ると、タイミングを見てルーズが話しかける。
「デスペラードについて、知ってるやつがいるかもしれん。」
「本当か!?誰だ?」
ルーズはニヤっと笑う。
「確証は無いんだが────」
アルマ達の話を聞いてレミアールは顎に手を当て考える。
正直、信じられる訳が無い。実際、これまでに何度かこの仕事を依頼したことがある。
しかし、特に何の情報も得られず、金だけを受け取り帰った連中もいた。
なので今回はグランさんに直接会い、信頼のおける人物に依頼するよう頼み込んだ。
あのグランさんが選んだのなら信用出来ると思ったからだ。
彼は適当な振る舞いが多いし、問題も何度か起こしてはいるものの、人を見る目は信頼できる。
しかしながら信じられない理由が彼女にはある。
レミアールの父親はギルドの人間に殺された。理由は「気に入らないから」だそうだ。
酒に酔っているところを注意しただけの父親はそれだけの理由で殺された。
もちろん全ての人間がそうとは限らない。いくら人を殺す仕事をしているとしても、全員が悪人だという考えはおかしい。
だが逆に全員が善人だという保証はない。
そんな思案を巡らせる時、アルマが動く。
突然腕を上げ、隣に座るメルの背中の後ろ。その空を掴む。そこには何も無いはず、しかし確かに何かを掴む音がした。
「あちゃー、気づいてたか。」
ルーズがその言葉を発するが、その手はルーズのものでは無い。ルーズは目の前にいる。
「この部屋に入った時から気づいてたさ。その言葉を聞くとあんたらの仲間でいいのか?」
「あぁ。もういいぞ。」
「了解。」
何もない所から幼い少し高めの声が聞こえる。
アルマの掴んでいる何かから、壁に塗ったペンキが剥がれるように突如人間が現れる。
この感じは透明化の魔法だろう。
そこには一人の少年が立っていた。
黒いローブに、背丈に合わない程大きな魔導書。まだサラサラな黒い髪は片目を隠すほど伸びている。
「少し記憶を見ようと思っただけだ。その手を離してくれるか?」
「はいよ。」
アルマが腕を離すと、少年はローブの下に腕を隠してしまう。
振り返ったメルは魔導書を見つけると目を輝かせる。
「あ、魔導書!見してもらっていいですか?」
「へ!?、あぁ。し、仕方ない。特別だぞ?」
少年は顔を少し赤くしながら震える手で魔導書を渡す。
「そいつはサリム。人によっては闇の賢者とか呼んでるな。」
思い出したようにルーズが紹介した。
「へぇ、彼が。常に魔導書を持ち歩いてるなんて、よっぽど魔法が好きなんだね。」
レイジの言葉にサリムは少し気まずそうな顔をする。
「いや、魔導書を持ち歩いてるのは魔法が覚えられ────」
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先程より顔を赤くして、ルーズの言葉を遮る。
「失礼しましたメルさん。私の部下が失礼を。」
レミアールは膝に手を当て頭を下げる。
「い、いえ!でも、記憶を見られるのはちょっと・・・。」
「それなら俺の記憶を見てくれ、その方が早いだろ?」
アルマの提案に、あからさまに残念そうな顔をするサリム。
やる気を無くした表情でアルマの背中に手を当てる。
「レミア、ルーズ。君達の頭の中にも彼の記憶を送るよ。」
三人が少しの間目を閉じ、開く。
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彼を殺した後、どうしたいのですか?」
考えていなかった。今のアルマの目標はデスペラードの崩壊。その後など。
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