天魔界戦

皇神凪斗

第15話 その後

アルマ達がスティルマに戻った頃。
デスペラードのアジトにて───

「ボス!なんでアイツらアルマ達を追いかけなかったんですか!」
アルマ達に捕まったもののシャールによって救出された部下は抗議をしていた。
「まだその時ではない。」
ロキは玉座に座ったままそう答えた。
「でも!あんな若造にやられて黙っている気ですか?調子に乗った奴らをしばいてやって下さい。」
「・・・何だと?」
ロキの表情が一気に冷える。抗議をしている男は怒りで気づいていないが、周りのものはロキから目を逸らす。
横からシャールが一歩踏み出す。
「あなた、自分が何を言ってるか分かっていますか?」
「な、何だよ。」
「・・・自分の失敗を。ボスに尻拭いさせようと言うのですか?」
「だ、だってよ。あんな若造に返り討ちにあっとなりゃ。このデスペラード無法者の名が落ちるぞ!だから───」
「下らん。」
ロキは途中で言葉を挟んだ。
「デスペラードの名が落ちるだと?それは貴様らの責任だろう。貴様らが落としたものは貴様らで取り返してこい!」

「・・・けっ!そうかよ・・・。だったら俺はこの組織を抜けるぜ。人の下に付くなんて性にあわねぇ。」
抗議していた男は踵を返した。
しかし、ロキは目の前にいた。
「!!・・・。な、なんだよ!」
「このアジトを知っている人間を放っておくとでも?」
「だったら力づくでどかしてやらぁ!」
男はロキに殴りかかる。
しかし、この拳は当たるどころか腕ごと宙を舞っていた。
腕は切断され、血が吹き出す。
しかし、ロキは見えない何かで覆われていて血は一滴も付くことは無かった。
「汚い手で俺に触るな。」
「うわぁぁぁ!!俺の腕が!!俺の・・・!!」
痛みを実感し腕を抑えながらうずくまる。
「五月蝿い!!」
ロキはその頭を蹴飛ばした。
足には触れていないが、ロキの足を覆っている何かによって男は吹き飛ばされる。
その時歯は半分程折れ、頭蓋骨にヒビが入ったのか頭から血が流れ出す。
「だ、だすげでくれ!ほうざからわない!」
「助けれくれ?もう逆らわない?その保証が何処にある?
貴様らは俺の計画に使うからデスペラードの名を貸してやってるんだ。しかし、使えない者はいらん。」
ロキは男に手を向ける。
「やめろぉぉぉぉ───
パアァンッ!!
風船が弾けるような甲高い音がし、男は肉片となった。




アルマ達はグランギルドに到着した。
そしてすぐにギルドマスターの部屋に入れてもらった。
レイジは念の為回復魔法をかけてもらい、ベッドに寝かせておいた。
「ふむ。デスペラードに巨人。巨人の存在を隠蔽している時点で黒。しかし、何を企んでいるかはわからんな。とりあえず政府に報告しよう。」
「あのロキと言う方はガゼルさんに雇われているのでしょうか?」
メルはふと浮かんだ疑問を口にした。
「奴はそんな玉では無いだろう。恐らくはアルマに己の存在を教える為だ。」
「あぁ、遊んでやがるんだ。ジールをあれだけ派手にやったのも俺に憎悪を抱かせるのが目的だ。」
アルマはギシギシと歯を食いしばり、怒りを覚えながらもなんとか押さえ込もうとしていた。
「アルマ君。俺は実際にロキと言う人物を見た訳では無いが、相当なやり手なんだろう?それに加え氷姫シャールに元盗賊の親玉達。
例え彼を倒したとしてもその後手下共に殺されるのがオチだ。」
「わかってる。まずは目の前の課題、だろ?」
「政府には俺達が行こう。直接見た俺達の方が色々と都合がいいはずだ。」
その後、レイジの様子を確認すると。傷は完治していたが、疲労が大きいようなので三人で行くことにした。

そして、ギルドの出口向かう途中。
「おい、そこの女。」
突然声をかけられ止まるメル。
メルに合わせてアルマとカイトも声をした方をむく。
そこには紫色の髪を少し長く伸ばした厳つい顔の男がいた。
「やはり貴様、メル。」
メルはハッとし、突然恐怖を顔に浮かばせる。

「・・・マルク兄、さん?」

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