マルチな才能を発揮してますが、顔出しはNGで
顔出しNGの事情があるのです 5
 「5分休憩ー!!」「「うぃー!!」」
 俺がバスケ部の助っ人を始めて早1週間。
 それでもガップレの活動は相変わらずあるし、《kira☆kira》の楽曲提供も最終段階に進んでいるし、金髪娘の西野莉奈の迷惑メールも来ているし、もうキャパオーバーである。
 ガップレの活動を始めた時、お面を被って顔を隠したのは、プライベートの時間を全て趣味に費やすためだ。  どうしてこうなってしまったんだろうか…
「はあ…」
 言い表しようのない哀しさが溜息になって漏れ出す。
「溜息をつくと幸せが逃げるよ? 勇志くん」「なぜ義也がここにいる?」
 廊下に面したコートサイドには、クルクルと先が丸まったパーマに甘いマスクの美少年、《Godly Place》ベースのヨシヤこと『山崎義也』が立っていた。
「僕は面白いことには目がなくてね」「ほほう、それは俺のことかなー?」
 コートサイドに立っている義也の首根っこを捕まえて、そのパーマの掛かった頭をさらにモジャモジャにするという地味な嫌がらせをする。
「ちょッ、勇志くん! やめー! 」「いや、お前には今回だけじゃない、積年の恨みが積もり積もっていることを知れぇーいッ!!」
 「あーー!! お婿に行けなくなっちゃう~!!」 「ふへへへへ、いい気味だ! この際だから義也の腹黒で腐りきった性根を叩き直してくれるわ!」
「ちょっと!! 先輩、義也くんを虐めないでください!!」「マジサイテー!」「ほんとキモいんですけど!」
「え…?」
 ふと顔を上げると、いつの間にか現れた義也の取り巻き女子たちがまるで、何か気色の悪いものを見るような目で俺のことを睨みつけていた。
「な、何故だ… 俺はこの世の悪を正そうと…」「スキあり~!」
 俺が女子たちの視線攻撃を受けている間に、俺の手から義也が上手く脱出する。
「大丈夫? 義也くん」「ほんとサイテーな人ね、義也くんの先輩って!」
「みんな心配してくれてありがとう。 でも先輩のことを悪く言わないであげて、あの人はさっきみたいな行き過ぎたことでしか愛情表現が出来ない、可哀想な人なんだよ」
  うん、全然フォローになってないからね、義也くん?
「そう… だったんだ…」「先輩ごめんなさい」「ごめんなさい。 酷いこと言ってしまって… でもこれからもう少し義也くんに優しくしてあげてください!」
「え? あ、はい…」
「じゃあみんな、僕はもう少し先輩と話しがあるからまた後で恋話しようね」
「うん! 待ってるね」「じゃあ後でね、義也くん!」
「うん、またねー!」
「なあ義也、俺すっごく傷付いたんだけど」「そう? 僕、ナイスフォローだったでしょ?」
 それ本気で思ってるなら1回殴ってもバチ当たらないよね。
「勇志くん、水戸さんがバスケの試合の日にちを早めに教えてくれって、ガップレのライブの日程調節するらしいよ」「りょーかい。 水戸さんにも迷惑かけるな」
「いいんじゃない? 僕らが学生のうちはこっちが本業なんだから、それより勇志くん、いつだかのデート事件の人と一緒に練習してるみたいじゃない」
 そういえばそんな事件あったな。 委員長とバッタリCDショップで会って、その流れでお茶したやつ。
 義也経由で歩美にバレて、サイン会ではえらい目にあった。
 思い返してみても、やっぱり全部コイツが悪いんじゃないか!?
「思い出してだんだん腹が立ってきたんだが… 」「まあまあ落ち着いて。 でも、このことを歩美ちゃんが知ったら今度は何て言うかな?」
  貴様~!!脅しのつもりか?
 だが、歩美の機嫌を損ねたら何をされるかわかったもんじゃない。
 またあの握手会の悲劇は何としても避けなければ、俺の寿命が縮む!
「くッ、何が目的だ?」「いやいや、だから僕は面白いことに目がないって言ってるでしょ? 勇志くんの活躍を近くで見させてもらうだけだよ」
 義也のやつ、言ってることがまるでどっかのアニメに出てくる黒幕みたいなセリフだぞ。
「わかった。 けど歩美には内緒にしとけよ?」「もちろん、そのつもりだよ。まあ時間の問題だと思うけどね」
 義也の言うことは何一つ信用できんが、今は信じるほかない。
 俺は後ろから感じる嫌な視線を受けながら、練習に戻るのであった。
 俺がバスケ部の助っ人を始めて早1週間。
 それでもガップレの活動は相変わらずあるし、《kira☆kira》の楽曲提供も最終段階に進んでいるし、金髪娘の西野莉奈の迷惑メールも来ているし、もうキャパオーバーである。
 ガップレの活動を始めた時、お面を被って顔を隠したのは、プライベートの時間を全て趣味に費やすためだ。  どうしてこうなってしまったんだろうか…
「はあ…」
 言い表しようのない哀しさが溜息になって漏れ出す。
「溜息をつくと幸せが逃げるよ? 勇志くん」「なぜ義也がここにいる?」
 廊下に面したコートサイドには、クルクルと先が丸まったパーマに甘いマスクの美少年、《Godly Place》ベースのヨシヤこと『山崎義也』が立っていた。
「僕は面白いことには目がなくてね」「ほほう、それは俺のことかなー?」
 コートサイドに立っている義也の首根っこを捕まえて、そのパーマの掛かった頭をさらにモジャモジャにするという地味な嫌がらせをする。
「ちょッ、勇志くん! やめー! 」「いや、お前には今回だけじゃない、積年の恨みが積もり積もっていることを知れぇーいッ!!」
 「あーー!! お婿に行けなくなっちゃう~!!」 「ふへへへへ、いい気味だ! この際だから義也の腹黒で腐りきった性根を叩き直してくれるわ!」
「ちょっと!! 先輩、義也くんを虐めないでください!!」「マジサイテー!」「ほんとキモいんですけど!」
「え…?」
 ふと顔を上げると、いつの間にか現れた義也の取り巻き女子たちがまるで、何か気色の悪いものを見るような目で俺のことを睨みつけていた。
「な、何故だ… 俺はこの世の悪を正そうと…」「スキあり~!」
 俺が女子たちの視線攻撃を受けている間に、俺の手から義也が上手く脱出する。
「大丈夫? 義也くん」「ほんとサイテーな人ね、義也くんの先輩って!」
「みんな心配してくれてありがとう。 でも先輩のことを悪く言わないであげて、あの人はさっきみたいな行き過ぎたことでしか愛情表現が出来ない、可哀想な人なんだよ」
  うん、全然フォローになってないからね、義也くん?
「そう… だったんだ…」「先輩ごめんなさい」「ごめんなさい。 酷いこと言ってしまって… でもこれからもう少し義也くんに優しくしてあげてください!」
「え? あ、はい…」
「じゃあみんな、僕はもう少し先輩と話しがあるからまた後で恋話しようね」
「うん! 待ってるね」「じゃあ後でね、義也くん!」
「うん、またねー!」
「なあ義也、俺すっごく傷付いたんだけど」「そう? 僕、ナイスフォローだったでしょ?」
 それ本気で思ってるなら1回殴ってもバチ当たらないよね。
「勇志くん、水戸さんがバスケの試合の日にちを早めに教えてくれって、ガップレのライブの日程調節するらしいよ」「りょーかい。 水戸さんにも迷惑かけるな」
「いいんじゃない? 僕らが学生のうちはこっちが本業なんだから、それより勇志くん、いつだかのデート事件の人と一緒に練習してるみたいじゃない」
 そういえばそんな事件あったな。 委員長とバッタリCDショップで会って、その流れでお茶したやつ。
 義也経由で歩美にバレて、サイン会ではえらい目にあった。
 思い返してみても、やっぱり全部コイツが悪いんじゃないか!?
「思い出してだんだん腹が立ってきたんだが… 」「まあまあ落ち着いて。 でも、このことを歩美ちゃんが知ったら今度は何て言うかな?」
  貴様~!!脅しのつもりか?
 だが、歩美の機嫌を損ねたら何をされるかわかったもんじゃない。
 またあの握手会の悲劇は何としても避けなければ、俺の寿命が縮む!
「くッ、何が目的だ?」「いやいや、だから僕は面白いことに目がないって言ってるでしょ? 勇志くんの活躍を近くで見させてもらうだけだよ」
 義也のやつ、言ってることがまるでどっかのアニメに出てくる黒幕みたいなセリフだぞ。
「わかった。 けど歩美には内緒にしとけよ?」「もちろん、そのつもりだよ。まあ時間の問題だと思うけどね」
 義也の言うことは何一つ信用できんが、今は信じるほかない。
 俺は後ろから感じる嫌な視線を受けながら、練習に戻るのであった。
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