滔滔と、落ちる心

一夕 ヒ(いゆう ひろ)

過去負い

 どうも、まだ、やる気だけが起きない。
起きてくれはしない。
 分かっているのだが、まだモヤモヤと塊が残る。
どうしてってか?そりゃぁ決まってるよ。
 彼氏が出来たんだってさ。あいつ。
嫌になるよ、なぁ。




 あれから何度も誰かに助けを貰った。
Zwitterや、MINEとかで「大丈夫だって。次に繋げればいいんだよ」って。
 そうじゃないんだよ。分かってくれよ。
俺は、俺は…なぁ。…なんだろうな。
 結局何かを欠如したまま無為に、無意味に日々の粗削りだ。
 もったいないのは、もちろん分かってる。けどさぁ、俺が欲しいのは助けでも優しい言葉でもない。

 
 ―罰だ。


 俺は、ただ、あの日の償いを。
 俺は、ただ、あの日の苦しさを。
 下手な自尊心の壁で閉ざしている罪を。
 終わらせて欲しいだけなんだよ。





 はたと目が醒める。
 授業は終わっていたみたいだ。…起こしてくれても良くね?
 ぶつくさと文句をいいながら、弁当を広げる。今日は米のところに豚肉が敷き詰められている。
 豚丼は嫌いじゃないぜ…!
 母さんに感謝しながら、欲張りにご飯と肉を頬張った。
 温かさはないものの、母の暖かさは感じることは、なんか出来た気がする。
 本当に、感謝してもしきれないくらい母さんは俺のために何か捨てすぎている。
 もったいない、と言えば「あんたが生きていればもったいないことも意味あるものになるの!」と押し切られてしまう。
 母さんにとっての俺はそれほど価値があるみたいだ。けれど、俺は自分に対してそこまで価値を抱ける訳もない。
 ふと、廊下が気になってしまった。
 今の自分の席は廊下側の列1列目。見えるようにわざとらしく「…飲み物買うかなぁ」などとぼやき廊下へ出る。
 隣の教室を流し目で見る。そこには、楽しそうな声、笑った顔。
 見慣れた顔に痛みが増す。
 そそくさと、1階へ降りる。
 辛さを水に流すように、下へ、下へと、堕ちる。

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