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ユミコ

世界地図

 「できたぞ!これが新しい世界地図だ!」
そう言った男の元にみんなが集まる。その世界地図は、指でなぞった場所の風景を立体ホログラムが再現してくれるものだった。これまでにネットへあげられた情報をもとに作られている。
「これはすごいぞ。家にいながらどこへでも行けるじゃないか」
「ためしに指でなぞってみよう」
一人がローマのコロッセオをなぞると、光の粒子がぶわっと舞い、あの巨大な闘技場が現れた。恐ろしいほどの迫力に息をのむ。もう一人がハワイのビーチをなぞれば、そこには雄大な海が空と混ざりながら流れた。
「なんと、本当に美しい。これが映像だなんて思えない。」
 一同はさっそくこの世界地図を商品化した。予想通り、それはもう爆発的に売れ、人々はいつでもどこへでも行けるようになった。会社の利益も上がり、以前よりずっと大きくなった。
 もちろん開発者の男も売れ行きには満足している。しかし最近はなんだか、ホログラムの景色に少し飽きてしまっていた。直に何かを見ようと、思い切って飛行機に乗りローマへ向かう。するとそこには、映像とは比べ物にならないほど廃れたコロッセオがあった。実際に来なくとも見れるようになったので、観光客が減ってしまったのだ。男はもしやと焦り、今度はハワイのビーチへ急ぐ。そこにはゴミひとつない、地図よりもはるかに綺麗な海が横たわっていた。

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