AI`s(アイズ)
第七話:戦いのいきつく先 後篇
2036年1月13日 am9:24:32 セントラルタワー一般受付「カウンセリングルーム」ー
セキュリティーのアンドロイドは急な訪問客に、たいそう驚いたことであろう。しかし彼らには感情のプロセスは無く、平常に案内をした。
『本日のカウンセリングは厳戒態勢のため中断をしております。またのご理y・・・』
「ごたくはいい、犯人がこの近くでうろついているの知らないか。」
サバラが警察手帳を出すとジョーとエドが吊られるようにごそごそと出していった。アンドロイドは三人の手帳を確かめた後丁重な話し方で
『アイズはそのような情報を把握していません。・・・現在第二動力室に怪しい人影を確認しました。一人は現在指名手配中 シロ―・ユキダと思われる者とのことです。・・・ご利用ありがとうございました。』
三人はアンドロイドの話を聞いたとたんメイン制御室へと向かおうとしていた。
「エド、アイズ本体への最短ルート。」
『了解(ラジャー)、最短はメインエレベーターの12階からです。ですが危険ですので別のルートを検索しておきました。ここの監視官にも見つからないと思います』
「どういうことですか。こんなとこ、どこにも行ける所なんてないでしょ。」
ジョーは困惑しながらついていくとそこは玄関受け付けから見えていた吹き抜け穴だった。いつの間にか玄関の反対側へと辿り着いていた。
「多分、今パニック状態になってるすきにここを登っていけばブレインに着くはずだ。実はメイン制御室のコンピュータはAIの思考を処理して全てのイヤコードへと飛ばすクラウド的な役割で本物のAIの演算処理しているのは別にある。それがこの上にある大きな量子コンピュータなんだよ。」
『問題は彼らがそれを知っているかということと、監視が我々の単独行動にいつ気づくかと言うことです。』
「登ることも問題ですけどね! 見て、ドローンがあからさまにぼくたちを怪しんでますよ。行くなら早く行きましょう。」
そうこうしているうちに大きな警報が鳴った。それは町中に響く大きな音だった。三人は事の重大さと時間のなさに慌てながらも
「こういう時のために備えあればなんとやらってね。ほら、グローブ。」
「これって高所作業用の高性能吸着グローブじゃないですか。よくこんなもの手に入れましたね。ってこんな無駄話してる場合じゃないか。登りますか。」
三人は手袋をして無垢な壁をひっそりと登り始めた。
けたたましいほどなる警報は一向に鳴りやまなかった。それは地下でも同じであった。
地下の第二動力室にはシロー達が籠城していた。周りからドローンの羽音やアンドロイドのモーター音がすぐ近くまで聞こえるようで一層焦りと不安で二人は冷静さを欠いていた。
「まずったな。こりゃ大誤算だった、こんなに早く気付くとは・・・。おいシローちゃん、なんかない?」
「今度はちゃん付けですか。こんな時になんかないといわれても・・・いや、」
「何さ。とりあえずなんでもいいから」
「通気口って通れると思いますか?」
シローの馬鹿げた質問に呆れたヨハンは頭を抱えながら
「いやさ、おまえのあほな質問に逆に冷静になれたよ。なんで近くまで来てるなら何で突入しないんだって話だよ。奴らには確証がないんだよ。だからもう、こうすればよかったんだ!」
ヨハンは急に扉の方へと向かい、乱暴に扉を開けた。そこには巡回していたドローンがいた。そんなことも気にせずに二人は走り続けた。警報はまたも鳴り続けてより一層緊張状態になった。
二人は非常階段を使って上へ上へと駆け抜けていった。しかし、上からも下からも足音が聞こえてきていた。仕方なく五階へと入っていった。そこにはもう監視員は出払っていてがらんとしていた。
「ここもじきにお祭りになっちまう。先を急ごう。あそこに荷物運搬用のエレベーターがある。あれなら直通でメイン制御室に行ける。」
「ずいぶん、物知りですね。」
「元職員だったからな。昔話は後だ。行くぞ。」
エレベーターは人一人が乗るのがやっとくらいの大きさしかなかったが、何とかして二人は乗ることに成功した。ぐんぐんと上がっていく度に少し酸欠状態になりながらも目的のメイン制御室に着いた。
「ここの電源を切れば革命達成ってことでいいんですね?ヨハンさん。」
ヨハンはなぜか頭を抱えていた。それは何かを思い出そうとしていた。
「いや、ここじゃねえ。なんか違う気がすんだよ。」
「ここじゃ、無いと?」
「うーん、ここになんか変なこととか無いか?」
「・・・そう言えばここ、窓もないし、というか出入りするドア無くないですか?」
その時、ヨハンは思いだした。
「そういうことか、思い出したぜ。ここは母体じゃねえただの子機だよ。そんで、出口って言うのは多分、母体の方に繋がっている。それがこのボードだな。」
ヨハンは手を置いていた制御盤をむやみやたらに押していた。いや、シローにはそのように見えていたようだがヨハンは的確にボタンを押しており、隠れていたドアが開かれた。
ドアの向こうには大きな黒い物体が様々な配線に絡んでたたずんでいた。
「これが AI'sの本体か。」
『人間の熱源を探知しました 不法な侵入を感知しています コード確認・・・確認不可 犯罪者リストとのリンク、、、一致:ヨハン・スミルコフ、シロー・ユキダ』
その声に反応したのは二人だけではなかった。
「シロー!! こんなところで僕は会いたくなかった! だけど、君のためなんだ!」
「あいつがお前の友達かい。おーい、感動の再開で悪いが、お前たち、人類管理法及び不法侵入諸々の罪で現行犯逮捕する。すまんが国家反逆罪の現行犯は弁護士呼んでも厳しいぞ。」
反対側から聞こえたのはジョー達警察だった。彼ら以外にここの職員や監視員も到着していないらしい。
『とりあえず、ここいらの人たちは私の流したデマによって右往左往してる頃でしょうが時間の問題です。我々と共に投降するのが命だけは取られないですよ。』
「機械の言うことなんて信じるかよ。バーカ。」
二人と三人はAIの母体を挟んでお互いの相容れない考えをぶつけ合っていた。
「ジョー、俺はこんな過保護な世界なんて一回壊れればいいと思ってる。お前らはもう意志を持って行動できるけどほとんどの奴が何も考えずにただ、機械に従うだけ。そんなのって人間じゃなくて檻に入れられた動物と一緒だろ!」
「僕達人間に、意志があったからこんな風に争いが生まれるんだ。戦争をなくすにはこうするしかなかったんだ。」
「全力でぶつかって、腹を割って話せばいいことだろ!それでも折り合いがつかなくても合わせる必要なんてないさ。それが人間の個性なんだよ!それを失くしてるんだ。こいつは」
シローの言葉には他の三人にしっかりと響いていた。アンドロイドのエドには彼の言っていることが理論的に破たんしていても理解は示していたはずである。だが、’あれ’だけは違っていた。
『シロー・ユキダ、発見。セキュリティーは全員タワー中枢、ブレインルームへと急行せよ。見つけ次第射殺せよ。彼はテロリストであり、国家崩落を招く悪魔である。』
「まずい状況だな。エド、もうどうにもならんのか?」
『AI's権限は要は勅命なので絶対に防げません。 私も、、強制的に権限をシッコウし・・・』
「この黒い本体はどうにもならねえのかよ!」
だれしもがあきらめていた。だが、彼らは違った。
「シロー!もう諦めて僕たちに捕まってくれ。でないと君の命が危ないんだ。僕は君を助けて元の生活に戻ってほしいだけなんだ。」
シロ―は本体のメンテナンスに使用する階段を使って上へと登っていた。それを追うようにジョーが走っていった。最上には部屋へと続きそうなドアと簡易な廊下があった。
下ではセキュリティーやジョーたち以外の警官隊が押し寄せてヨハンやジョーと来たサバラと押し問答していた。 エドはサバラの後ろで動かずに立ちつくしていた。
「ここが本当の本体の電源のあるとこだな。ジョー、俺は行くぞ。」
「行かないで戻ってほしい。あ、ちょっと待って!」
ジョーの忠告を聞かずに無防備に開いたドアの先に行ってしまい、慌ててジョーも入っていってしまった。そこには予想もしないものが待ち受けていた。
セキュリティーのアンドロイドは急な訪問客に、たいそう驚いたことであろう。しかし彼らには感情のプロセスは無く、平常に案内をした。
『本日のカウンセリングは厳戒態勢のため中断をしております。またのご理y・・・』
「ごたくはいい、犯人がこの近くでうろついているの知らないか。」
サバラが警察手帳を出すとジョーとエドが吊られるようにごそごそと出していった。アンドロイドは三人の手帳を確かめた後丁重な話し方で
『アイズはそのような情報を把握していません。・・・現在第二動力室に怪しい人影を確認しました。一人は現在指名手配中 シロ―・ユキダと思われる者とのことです。・・・ご利用ありがとうございました。』
三人はアンドロイドの話を聞いたとたんメイン制御室へと向かおうとしていた。
「エド、アイズ本体への最短ルート。」
『了解(ラジャー)、最短はメインエレベーターの12階からです。ですが危険ですので別のルートを検索しておきました。ここの監視官にも見つからないと思います』
「どういうことですか。こんなとこ、どこにも行ける所なんてないでしょ。」
ジョーは困惑しながらついていくとそこは玄関受け付けから見えていた吹き抜け穴だった。いつの間にか玄関の反対側へと辿り着いていた。
「多分、今パニック状態になってるすきにここを登っていけばブレインに着くはずだ。実はメイン制御室のコンピュータはAIの思考を処理して全てのイヤコードへと飛ばすクラウド的な役割で本物のAIの演算処理しているのは別にある。それがこの上にある大きな量子コンピュータなんだよ。」
『問題は彼らがそれを知っているかということと、監視が我々の単独行動にいつ気づくかと言うことです。』
「登ることも問題ですけどね! 見て、ドローンがあからさまにぼくたちを怪しんでますよ。行くなら早く行きましょう。」
そうこうしているうちに大きな警報が鳴った。それは町中に響く大きな音だった。三人は事の重大さと時間のなさに慌てながらも
「こういう時のために備えあればなんとやらってね。ほら、グローブ。」
「これって高所作業用の高性能吸着グローブじゃないですか。よくこんなもの手に入れましたね。ってこんな無駄話してる場合じゃないか。登りますか。」
三人は手袋をして無垢な壁をひっそりと登り始めた。
けたたましいほどなる警報は一向に鳴りやまなかった。それは地下でも同じであった。
地下の第二動力室にはシロー達が籠城していた。周りからドローンの羽音やアンドロイドのモーター音がすぐ近くまで聞こえるようで一層焦りと不安で二人は冷静さを欠いていた。
「まずったな。こりゃ大誤算だった、こんなに早く気付くとは・・・。おいシローちゃん、なんかない?」
「今度はちゃん付けですか。こんな時になんかないといわれても・・・いや、」
「何さ。とりあえずなんでもいいから」
「通気口って通れると思いますか?」
シローの馬鹿げた質問に呆れたヨハンは頭を抱えながら
「いやさ、おまえのあほな質問に逆に冷静になれたよ。なんで近くまで来てるなら何で突入しないんだって話だよ。奴らには確証がないんだよ。だからもう、こうすればよかったんだ!」
ヨハンは急に扉の方へと向かい、乱暴に扉を開けた。そこには巡回していたドローンがいた。そんなことも気にせずに二人は走り続けた。警報はまたも鳴り続けてより一層緊張状態になった。
二人は非常階段を使って上へ上へと駆け抜けていった。しかし、上からも下からも足音が聞こえてきていた。仕方なく五階へと入っていった。そこにはもう監視員は出払っていてがらんとしていた。
「ここもじきにお祭りになっちまう。先を急ごう。あそこに荷物運搬用のエレベーターがある。あれなら直通でメイン制御室に行ける。」
「ずいぶん、物知りですね。」
「元職員だったからな。昔話は後だ。行くぞ。」
エレベーターは人一人が乗るのがやっとくらいの大きさしかなかったが、何とかして二人は乗ることに成功した。ぐんぐんと上がっていく度に少し酸欠状態になりながらも目的のメイン制御室に着いた。
「ここの電源を切れば革命達成ってことでいいんですね?ヨハンさん。」
ヨハンはなぜか頭を抱えていた。それは何かを思い出そうとしていた。
「いや、ここじゃねえ。なんか違う気がすんだよ。」
「ここじゃ、無いと?」
「うーん、ここになんか変なこととか無いか?」
「・・・そう言えばここ、窓もないし、というか出入りするドア無くないですか?」
その時、ヨハンは思いだした。
「そういうことか、思い出したぜ。ここは母体じゃねえただの子機だよ。そんで、出口って言うのは多分、母体の方に繋がっている。それがこのボードだな。」
ヨハンは手を置いていた制御盤をむやみやたらに押していた。いや、シローにはそのように見えていたようだがヨハンは的確にボタンを押しており、隠れていたドアが開かれた。
ドアの向こうには大きな黒い物体が様々な配線に絡んでたたずんでいた。
「これが AI'sの本体か。」
『人間の熱源を探知しました 不法な侵入を感知しています コード確認・・・確認不可 犯罪者リストとのリンク、、、一致:ヨハン・スミルコフ、シロー・ユキダ』
その声に反応したのは二人だけではなかった。
「シロー!! こんなところで僕は会いたくなかった! だけど、君のためなんだ!」
「あいつがお前の友達かい。おーい、感動の再開で悪いが、お前たち、人類管理法及び不法侵入諸々の罪で現行犯逮捕する。すまんが国家反逆罪の現行犯は弁護士呼んでも厳しいぞ。」
反対側から聞こえたのはジョー達警察だった。彼ら以外にここの職員や監視員も到着していないらしい。
『とりあえず、ここいらの人たちは私の流したデマによって右往左往してる頃でしょうが時間の問題です。我々と共に投降するのが命だけは取られないですよ。』
「機械の言うことなんて信じるかよ。バーカ。」
二人と三人はAIの母体を挟んでお互いの相容れない考えをぶつけ合っていた。
「ジョー、俺はこんな過保護な世界なんて一回壊れればいいと思ってる。お前らはもう意志を持って行動できるけどほとんどの奴が何も考えずにただ、機械に従うだけ。そんなのって人間じゃなくて檻に入れられた動物と一緒だろ!」
「僕達人間に、意志があったからこんな風に争いが生まれるんだ。戦争をなくすにはこうするしかなかったんだ。」
「全力でぶつかって、腹を割って話せばいいことだろ!それでも折り合いがつかなくても合わせる必要なんてないさ。それが人間の個性なんだよ!それを失くしてるんだ。こいつは」
シローの言葉には他の三人にしっかりと響いていた。アンドロイドのエドには彼の言っていることが理論的に破たんしていても理解は示していたはずである。だが、’あれ’だけは違っていた。
『シロー・ユキダ、発見。セキュリティーは全員タワー中枢、ブレインルームへと急行せよ。見つけ次第射殺せよ。彼はテロリストであり、国家崩落を招く悪魔である。』
「まずい状況だな。エド、もうどうにもならんのか?」
『AI's権限は要は勅命なので絶対に防げません。 私も、、強制的に権限をシッコウし・・・』
「この黒い本体はどうにもならねえのかよ!」
だれしもがあきらめていた。だが、彼らは違った。
「シロー!もう諦めて僕たちに捕まってくれ。でないと君の命が危ないんだ。僕は君を助けて元の生活に戻ってほしいだけなんだ。」
シロ―は本体のメンテナンスに使用する階段を使って上へと登っていた。それを追うようにジョーが走っていった。最上には部屋へと続きそうなドアと簡易な廊下があった。
下ではセキュリティーやジョーたち以外の警官隊が押し寄せてヨハンやジョーと来たサバラと押し問答していた。 エドはサバラの後ろで動かずに立ちつくしていた。
「ここが本当の本体の電源のあるとこだな。ジョー、俺は行くぞ。」
「行かないで戻ってほしい。あ、ちょっと待って!」
ジョーの忠告を聞かずに無防備に開いたドアの先に行ってしまい、慌ててジョーも入っていってしまった。そこには予想もしないものが待ち受けていた。
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