異世界から帰って来たら、現代でも魔法が発達してた件!

眠り人

プロローグ

「うん、悪く無かったな…」俺は暗い空間を漂いながら、しみじみ呟く。俺は突然異世界に召喚され、勇者として魔王を倒した。魔王は、クズ野郎だった。自分が生きていればそれで良い。周りの人間は邪魔だから殺す。そんな奴だった。ほかの魔族も一緒だ。無抵抗の人間を苦しめながら殺したり、生きたまま魔獣の餌にしたり、とにかくグズだった。まぁ、そんな戦いからも解放される。仲間と別れ、元の世界に戻ろうとしている。能力はどうなるかはわからないが、別に無くてもいい。だって、日常に戻るのだから………


帰ってきた。いくつもの高層ビルやマンションが立ち並び、多くの人が行き来する。懐かしい光景だ。もう、6年は見ていなかった。こっちにいた頃は何も感じ無かったのに、帰って来ると懐かしさで眩しく見える。時間帯は俺が転生した、午後7時。服装は高校の制服。しかし、少し小さい。体の大きさは彼方にいた頃と同じなのだろう。制服の理由だが、高校の友達と別れ、帰っている途中の出来事だったからだ。それでも、俺は帰って来た。とりあえず、家に行くか。いや、帰るか。昔なら慣れ親しんでいた帰路をしみじみとしながら歩く。そして、6年ぶりに見るアパートだ。親は既に居ない。父は俺が五歳の時に蒸発し、母は俺が中学一年の時に病死した。一人だったが、孤独では無かった。友達が心配してくれたり、偶に家にも来てくれる。俺はアパートの階段を上がり、自分の部屋の前に立つ。(そう言えば、鞄は収納魔法の中だったな。取り出せるかな?)駄目元で、収納魔法を発動する。すると、魔法が発動し鞄が現れる。(行けた!これが行けるってことは!)自分に鑑定魔法をかける。すると、自分の目の前に攻撃力や生命力、魔力などと言った数値の書かれた透けた板が出てくる。(こっちでも、あっちと同じ魔法が使えるのか。)ただ、彼方の世界のように戦ったりしないだろうから、さほど使うところは無いだろう。これじゃあ、彼方で手に入れて収納魔法に閉まっておいた、神器や聖具が宝の持ち腐れになるな。と、こんな事している場合じゃ無かった。俺は鞄に手を入れ鍵を取り出す。それを鍵穴に差し込み回して鍵を開ける。ドアノブを回して引くとドアが開く。そして中を見ると、行く前と変わらない状態だった。久しぶりの我が家だ。でも、今日は疲れたから、また明日にでも色々としよう。よし、寝よう。いや、その前に風呂だな。俺は荷物を収納魔法に仕舞うと、風呂場に入る。服を脱いで、シャワーを浴びる。「気持ちいい。」思わず声が出た。彼方の世界にも、風呂はあった。しかし、此方よりもかなり遅れて居た。魔法石を使って水を生み出し、火で温めるのだがそこまで温かく無く、何よりぬるかった。ある程度洗って体を拭き、着替えて落ち着いたところでいろいろと考えて見る。(あっちの世界ならまだしも、こっちの世界でも魔力反応がちらほらあるんだよな。)こっちに帰ってきて、1番に気になったのは、自分以外から発せられる魔力反応だ。本来、魔力反応は魔力を持った者のみから発せられ、それを何とか制御する事で隠せる。また、制御しなくても隠蔽のスキルなどで隠す事も可能だ。しかし、魔力制御が中途半端だと、少量の魔力反応が出て敵に気づかれる。え?俺?出来ねぇよ、こんちくしょう。理由は魔力量の関係と、突然魔力に晒されたせいだ。魔力は元々は生まれた時から慣れるものだが、俺は異世界召喚で突然魔力を体に入れられたせいで、制御が上手くいかないのだ。まぁ、ステータスを見たほうが早い。

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シュンヤ一クレナイ種族:半人半神デミゴッドLV.MAX+職業:勇者生命力:99999999/99999999+攻撃力:99999999+攻撃力制御:99999999+魔力量:∞+魔力:99999999+魔力制御:1000防御力:8000火属性:99999999+水属性:99999999+木属性:99999999+土属性:99999999+闇属性:9999999999+光属性:9999999999+炎属性:99999999+氷属性:99999999+自然属性:99999999+影属性:9999999999+聖属性:9999999999+無属性:99999999+崩壊属性:9999999999+神聖属性:9999999999+《スキル》『覚醒者』上限を超える者『聖なる者』光、聖、神聖属性の上限を上げる。《聖具》の使用が可能になる。『深淵ナル者』闇、影、崩壊属性の上限を上げる。《魔具》の使用が可能になる。『魔導之神』魔力量を∞にする。全属性適正になる。『神に届きし者』《神器》の使用を神より認められる。『召喚者』無属性による召喚を行う。『真ノ勇者』魔王を打ち倒した者の証。『救世ノ英雄』人々に希望を与える。『七つの美徳』《美徳スキル》を全て使える。『七つの大罪』《大罪スキル》を全て使える。『見据える者』《鑑定スキル》《解析スキル》を使えるようになる。『叡智之神』《森羅万象》《多重分析》《高速暗算》《超記憶》《同時思考》《自然同調》《叡智たる者》《未来視》《攻撃予測》《魔力感知》《叡智の書と念話》を使用可能にする。『超回復ブースト』ダメージを受けた時、死なない限り、完全回復をし続ける。『空間把握』無属性による空間魔法を使用可能にする。『武ノ極』物理によるダメージを無効にする。『魔ノ極』魔法によるダメージを無効にする。『精神耐性』精神ダメージを無効にする。『苦痛耐性』痛みを受けなくなる。『受肉』精神体に肉体を与える。『真ノ極』ダメージを無効にする。『気配察知』全次元の気配を知ることが出来る。etc…
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まぁ、チートだ。理不尽と言われても仕方ない。だってダメージ無効に魔力量が無限、おまけに神器が使える。勇者が聖剣を使えるだけで強いのに、神器まで使い出したら、俺が魔王なら泣いて逃げる。実際魔王が死に際に、『理不尽勇者めーーーー!!』と叫びながら滅んだからな。(そうだ)俺は保存魔法とは別の魔法、空間魔法の中にある、《神器  叡智の書》を取り出した。「『受肉《叡智の書》の意思』」そう言うと、叡智の書が光り出し、徐々に姿を変える。そして、最後には人型になり、姿がはっきしだす。銀の長い髪に白い肌、何かを見据える青い瞳、ほとんどの人が美少女と認める顔に控えめな胸、すらっと伸びた白い足。もし異世界に帰って出来るなら、受肉してくれと《叡智の書》に頼まれた。「しゅん!」そう言って『叡智の書』ことソフィアが押し倒して抱きついて来る。「く、苦しい。」「あ、ごめん。つい嬉しくて。」ソフィアが名残惜しそうに離れる。実際、苦しくはなかった。ダメージ無効だもの。その事にソフィアが気づいたのか半目で見て来る。「ダメージ無効の人が苦しいねぇ。」「気分的な問題だよ。それよりも、聞きたいことがあるんだ。」俺はソフィアに戻って来てから魔力が感知出来る事を伝えた。「それは此方の世界でも魔力を使える人間や魔物がいるのでしょう。現に、魔力が向こうに比べると微弱ですが感じられます。神獣や霊獣、魔剣の反応もかなりありますね。ここから一番近い場所では、窓から見える山の奥ですかね。」ソフィアが指指した方向にある山は隼也の家から3km程離れた場所にある山で、隼也も良く山登りに行った。もう外は暗かったが、《暗視》があるので、昼間の様に見える。「え、あそこの山?」「はい、あの反応は霊獣で間違いありません。」霊獣は、精神体の魔物だが、知能が高く、人を襲うことは無い。と言うより、精神体の生物は肉体を持つ者に与えられるダメージは、精神的なダメージだけだ。「あと、魔法使いも結構いますよ。軽く三千人くらいは。」「マジで?」「はい、魔法使いの固まっている場所があるので、多分、この世界でも魔法を知っている者はかなりいるでしょう。」「16年間生きてきたけど、全く気づかなかった。」「まぁ、しゅんは彼方の世界に行くまでは魔法に触れてすらいなかったのですからしょうがないです。」ソフィアが慰めてくれるが、隼也は、ずっと気づかなかったことにかなりのショックを受けていた。それからしばらくソフィアと話していた。ソフィアには、俺の記憶からこの世界について教えた。「とりあえず、何かゴタゴタがあった時のサポートはソフィアに任せた。《念話》で話しかけてくれ。」「はい、わかりました。それでは、おやすみなさい。」「うん、おやすみ。」俺はベットに入り、目を瞑る。別に寝なくても良いが、気分だ気分。そうして、異世界から帰って来た1日が終わった。

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