隠れオタクの生徒会戦争

コモレビ

やったぜ野球拳だ!

「待ちわびたぞ!」
「待ちくたびれたぞ!」

体育館に着くとサイタマたちが出迎えてくれた。
ここ、唯野高校の体育館はほとんど中学校と変わりはなく、普通の県立都立高校といった感じだ。
つまり、豪勢なのは生徒会棟だけ。
だからこの坊主たち含め挑戦者が後を絶たない。

「よろしくねー!」
と、元気いっぱいの由香が笑顔で応じる。

しかし、由香の挨拶を見向きもせず、
「ふははははは!今日という今日は生徒会長の座を頂くぞ!」
「頂くぞ!」
俺に向かって宣戦布告した。

いや、勝負するのは由香なんだけど、、。

その旨を伝えると、サイタマは
「そんなのは知っている。会長、負けるのが怖いんだろ?」
とかほざいてきた。

いや全然そんなことはないんだけどね。

「まあどうでもいいけど。由香に挨拶したら?」
対戦相手によろしくするのは礼儀だろう。

「そうだね会長!」
由香が間に入り、
「よろしく二人とも!」
と、挨拶した。

由香、ほんとにいい子だなぁ。

そうすると坊主たちは、
「よっ、よよしゅくっす。」
「しゅっす!」
と目線を由香から逸らし、しどろもどろになりながら返した。

あーこいつら挨拶したくなかったんじゃなくてできなかったのか。

さてはこの坊主たち、

「童貞ね。」
「女子と会話できない極めつけのな。」

後ろにいた健太と葵が煽っていた。

「うるせえ盗撮野郎!お前も童貞だろ!」
「あぁ!?誰が盗撮野郎だ!?」

童貞は認めるのかよ。健太さん。
あと、まぁ、うん。よく盗撮してるよね。

「会長。。。この勝負、俺が出る。」

キレたらしい健太が前に進み出た。

「落ち着け健太。お前が脱いでも誰も得をしないぞ。」

由香が脱ぐかもしれないのに!
俺は全力で止めた。


「む。そうだな。」
ふぅ。
案外簡単に引き下がってくれて助かった。

「コホンコホン。そろそろはじめてもいいですかな。」
この戦争を取り仕切る、担当教員が腕時計をチラチラみながら、割って入る。
年は初老くらいで話すのが遅いと評判の先生だ。

「はい!」
「「おう!」」
由香と坊主二人が返事をする。

「はい。では、ルールの確認をします。えー、まず副会長と挑戦者二人のどちらかが、えー、互いの衣服が無くなるまで野球拳をします。そして、えー、その勝負にもし、副会長が勝てば、そのままの衣服の状態でもう一人の挑戦者と、えー、野球拳をします。双方、それでいいですね?」

長い説明のあとに、皆が頷いた。

「えー、では、位置について。」

サイタマと由香が体育館の中心に進みでる。

「「ジャーンケーン!」」

「ポン!」(由香がチョキ)

あれ?サイタマが出してない?

「何やってんだアイツ?」
葵が疑念の眼差しを向ける。

少し遅れて、

「ポオォン!」(サイタマがグー)

いや余裕で後出しでしょ!

「やった、これで由香が勝ち!」
葵は嬉しそうだ。

だが、
「由香さんの負けです。早く脱いで下さい!」
さっきまでのヨボヨボの喋り口調はどこにいったのか、担当教員が催促する。

まさかこれって。

「いやいや!今の完全に後出しでしょう!」
葵が必死に訴えるも、

「続けます!」
と、聞く耳も持たない。

「負けたんだカラァ〜、早く脱げよぉ〜。」(サイタマ)
「脱ーげ!脱ーげ!」(もう一人)
「負けたんだから脱ぐしかないぞ副会長!」(カメラを構えた健太)

これは、、、
担当教員、買収されてる!?
やったぁ!由香脱げぇ!(欲望に忠実な俺)










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