異世界行き来自由なので恩恵をフル活用して現実でリア充目指す。

コモレビ

①プロローグのような一話のようなその他色々


唐突に暗い話題で申し訳無いことこの上ないのだが、僕、神崎凛人は中学生時代友達と呼べる同窓生がこれっぽっちも居なかった。圧倒的にコミュニケーション能力が足りていない故当たり前っちゃあ当たり前なのだが。有り体に言ってしまえばぼっち、カッコよく言えばロンリーマンで元々特別なオンリーワン。世界に一つだけの花はぼっちに優しい曲ですね。


そういやSM◯P解散はちっとばかり悲しかったな。
まあ、仕方がないと言えば仕方がないのだが。人間、ずっと特定の人と一緒にいたらどこかできっと綻びが生じて、いつかは破綻する。
赤い糸で結ばれていたはずの夫婦ですら最近は離婚率が増加していると聞くのだから、生涯一緒、なんていうのはそれ程に難しいことなんだろう。
同様に人間関係も難解。
暗黒で暗闇の中学校生活を送った僕が言うのだから間違いない。



まあ、そんなぼっちの僕とは今日で別れを告げられるはずだ。
四月七日。
今日は高校の入学式。
私立御光坂高校、わざわざ同じ中学校出身の人と出くわさないように東京に住所を移して受験したのだ。

今朝は初の美容院カットの髪の毛に覚えたての少量のワックスで固め新品の制服に身を包み、現在は自転車で登校中である。

高校デビュー、というやつだ。

内心、どこかおかしいところはないかとか心配なのだが、それをおくびにも出さず背筋を伸ばし堂々としている。
これがリア充になる為の秘訣の一つらしい。ネットにそうやって書いてあった。

ネットリテラシーだなんだと囁かれるネット大国に住む僕だが、ネットの情報を鵜呑みにするタイプである。


学校のすぐ近くに引っ越してきたので思いの外早く着いてしまった。まあいい。新入生らしき人もまばらだが校門を通り抜けているし、僕も早めの登校と洒落込もうではないか。



緊張するな、、。
洒落込むとかそんな余裕はない感じ。




、、、、いざ行かん!我らの学び舎へ!


「おはようございますっ!」


うぉっ。キョドリ。


透き通るような声で挨拶をされた。
歳は二十過ぎくらいだろうか。黄金に輝くブロンド髪が麗しい女教師が校門の前に立っていた。みたところ日本とどこかのハーフかクォーターか、、。とりあえず美しい先生だ。高校ってすげぇな。


「、、、、オハヨウゴザイマス。」


見惚れていた為か反応が数秒遅れ、安定のコミュ障発揮の小声のコンボで最悪の挨拶を返した僕。


「んん〜?よく聞こえませんよ?」


彼女は少し意地悪い笑みを浮かべ、もう一度挨拶しろと暗に言ってくる。そんな小悪魔っぽい表情もできるんだなぁと感心しつつも今度ばかりは、と挨拶を返す。


「お、おはようございます!」 


僕よ、よく頑張った。


「はいっ!グッドモーニング、ですね!」


挨拶と共に直視できないほどの眩しい笑顔を向けられ、僕は逃げるように校門を通り抜ける。
頰が緩みそうなのを必死で我慢する。
こんな時でも背筋ピーンと背筋ピーンと背筋、、、。


謎に背筋を伸ばしたまま、下駄箱に新品のローファーを入れてリュックの中に手を伸ばし、これまた新品の上履きに履き替える。


「確か、僕のクラスは一年四組だから、、。」


少しばかり廊下を歩く。どうやら少々複雑な造りだということに、曲がり角が多いことで気付いた。


どこだろう。一年四組が見当たらない。まず、一年生の教室帯がどこにあるのかを知らなくては。学校内で迷子になって遅刻とか恥ずかし過ぎる。
それ高校デビュー完全に失敗してるじゃねぇか。

どうしよう。



「何かお困りですか?新入生さん。」


不意に後ろから声を掛けられ、動揺と共に振り向くと、そこには何やら天使がいらっしゃった。。
ここでいう天使というのは比喩的な意味で実際の天使ではないからいや実際の天使ってなんだよ。
とか、一人でツッコむくらいには動揺している。
文体可笑しくて草。


彼女の艶のある銀髪が風に靡き、切れ長の目を隠す。艶めかしい唇に右人差し指を当て、微笑を浮かべる。 


なんというか、凄く絵になるなぁ。


ネクタイの色が違うので上級生であることは見当がつく。

何より目を惹くのがこのたわわな胸だ。オゥ、、これが夕張メロンか、、。

短い逡巡の後、安定のキョドリで言葉を紡ぐ。


「あああの、えぇぇっとですね、、。一年四組を探しているのですが。」


何とか返答することに成功。「返答することに成功」ってなんか語呂いいな。


「一年四組、、ですか。でしたらそこの階段で四回まで上がってもらって右手にございます。」


透き通った声で、親切に教えて貰えた。
感謝してもしきれない。僕の高校デビューを救ってくれてありがとう。

どうでもええけど、ほんっと肌綺麗だなああこの人。


「教えて頂きありがとうございます。」


「いえ、当然の事をしたまでです。」


そう言ってくるり、と方向転換する彼女。


その後ろ姿はなんとも儚げで、そのまま消えてしまいそうだ。

名前くらいは聞きたい。

僕は過去最高に勇気を振り絞り、問う。


「あの、最後に貴女の名前をお伺いしても?」


彼女は足を止め、


「私の名前は流山花。この学校の生徒会長をしていますの。」






・ ・ ・






あー。緊張した〜。
会長から教えてもらった階段を歩きながら、先程のあらましを振り返る。

それにしても。
いきなり超絶美人生徒会長と会話なんて、高校デビューの滑り出しはどうやら好調のようだ。

いや〜この高校に来てよかったわ!

最高だぜ御光坂学園!
校門前の先生といい、流山生徒会長といいさっきから美人にしか会ってない。高校って、ほんとすげぇな(2回目)。

この調子でクラスの女子も美人だらけだといいなぁ。

フラグっぽいことを考えながら、フラグでないことを祈りつつ遂に一年間お世話になる一年四組にようやくたどり着いた。

腕時計をちらりと見やると、時間までまだ十五分ほどある。


さて、どう過ごそうかな。
期待に胸を膨らませ、そんなことを考えながらドアに手を掛ける。


ガラッ。



、、、まだ誰も来ていないか。
数人はもういると思ったんだけどな。僕が一番乗りか。

黒板にはご丁寧に席順が記されている。
どうやらあいうえお順らしく、僕は廊下側の一番後ろの席。左隣の席の人は女子だ。春麗、、、なんと読むんだ?しゅんれい、かな?

物凄いキラキラ苗字。


ともかく、いい席だ。


教壇に立つ教師の死角であるその席は、内職や睡眠にうってつけ。僕の好きな席ランキングでナンバーツーをはっているだけある。ちなみにナンバーワンは窓側の一番後ろね。

うーん。
逆側の席の方の窓から朝日が差し込む。

なんというかすごいきもちいい。

語彙力が低下する程に気持ちいい。



少し寝るか。

昨晩は高揚と緊張が入り混じった心持ちでいたからよく眠れなかった。例の何か大きなイベントの前夜に寝れないやつである。

僕は背負ってきたリュックを机の上に置き、枕代わりに突っ伏した。

少しだけ、少しだけ、、、、。













「神崎くん、、神崎凛人くん、、、。起きて下さい。」


はっ!
寝すぎたああああ!

「すすすすみません!」

目をこすり、涎が出ていないか確認してから聞き覚えのあるやけに透き通った声の主を見遣る。

朝の校門のハーフ先生!
今名付けた。

「ああ、さっきの君ね。それにしても初日から居眠りさんなんていい度胸ねえ?」

蠱惑的な笑みを浮かべ、冗談交じりの軽い説教だ。

周りからはクスクスと笑いを噛み殺したような声が聞こえる。
まあ、クラスの皆様に顔を知られた、という風にポジティブに捉えていこう。

「申し訳ありません、、。」


僕は少し顔を赤く染め、謝罪の意を告げる。


「分かればオーケーです!さあ、担任の私の自己紹介を続けますよ!」

そう言って彼女は、一番後ろの廊下側の席から教壇の方へと歩く。


はい。今から叫びまーす。

きたあああああああああああ!美人担任きたあああああ!
心の中で歓喜の雄叫びをあげる。
いやあ。さっきの挨拶イベントから目をつけていたんですよ。 彼女が担任だったらな、って。
先生の自己紹介なんていつもは聞き流していたが、今回ばかりは一言一句聞き逃さないぞ!


「はい!一年四組を持つことになった牧野ソフィア、と言います。名前で分かる通りアメリカとのハーフで、担当教科は英語です。今年からの新米でまだまだ未熟な点、至らぬ点があるかと存じますが、どうぞよろしくお願いしますです!」


うん!末永くよろしくお願いします!
と、口から出かかったが何とかせき止める。

その代わりという訳ではないが、パチパチ、と手を叩く。
その拍手はだんだんと周りに広がっていった。
彼女は少し照れくさそうにしていたが、気を取り直そうとコホン、と可愛らしい軽い咳払いらしきものをしてから呼びかける。


「皆さんの自己紹介も聞きたいですが入学式の開始時間がもう迫っているので、また後日ということに。では、これから体育館に向かいます。出席番号順に私の後ろについてきて下さい。」

ついて行くに決まってる。体育館までとは言わずに一生お供する所存だ。




さあ、どんな高校生活になるかな。

僕は一番後ろの席なので女子の皆様のお顔を拝見することはまだかなってないけれど、何より先生が美人ってそれだけでもう勝ち組に思えてくる。
そういや例の春麗さんは何故だか居なかったな。担任の印象が強過ぎて今気づいたわ。ごめんな、しゅんれい(仮)さん。


高校デビュー、悪くないじゃないか。
なかなか好調な滑り出しだ。

僕はソフィア先生に尾行(ついていくだけだよ!)するために席を立つ。


うん。



僕の高校生活はこれからだ!!!































入学式から一週間が経過した。









特筆するようなことは何も無かった。















異世界要素皆無ですね。
次回出します。












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