異形と少女と廃屋と

天邪鬼

序章

痛い。腕が痛い。足が痛い。頭が痛い。目が痛い。視線が痛い。
熱い。足元が熱い。
冷たい。身体中が冷たい。視線が冷たい。
苦しい。
??「はぁ…はぁ…はぁ…も、もう…許して…」
村人1「許せるわけねえだろうが。この悪魔め!」
村人2「私たちの大切な人を奪ったのよ?!この程度で許されるだなんて思わないでちょうだい!」
私は磔にされ、石を投げられ、足元を炙られ、冷水をかけられていた。
周りの人々は口々にいう。憎い。死ね。悪魔め。死神めと。
??「私は…悪魔じゃ…ない…」
「悪魔には死を!悪魔には死を!悪魔には死を!」
村長「お主は我らの村を破滅へと導く存在じゃ。今まで何件の畑を荒らし、何人の村人を殺しできたのか分かっておるのか?」
??「違う…私は殺してない!」
「嘘をつくな!悪魔め!!殺せ!」
??「違う…違う…違うんだって…」
村長「悪魔には死を。炙れ!燃やせ!」
頭にブシャッと何かをかけられた。冷水じゃない。ベタベタしている。
あ、これ、油だ。
熱い。熱い。身体中が熱い。燃えてる。熱い。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いあついあついあついあついあついあついあついあついアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアアアアアアア
??「熱い!やめて!死ぬ!助けて!いやぁぁあああああああ!」
アツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイ
村人3「な、なんだ?」 
村人4「あの禍々しい気は…妖気か?」
??「あああぁぁぁぁぁあぁぁぁ!」
村長「まずい、皆の者、逃げるのじゃ!」
??「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
………………
………………
どれくらい時間が経ったのだろう。気づけば熱くなくなっていた。周りにいた村人や村、建物も全てなくなっていて、残っているのは私だけだった。
??(熱くない。でも痛い。寒い。)
叫びすぎたのだろう。声が出なかった。
??(私、ここで死ぬのかな。)
その後のことはあんまり記憶にない。

この日は一人の少女が処刑された日だった。なんの罪もなかったはずの少女の、短く、悲しい人生の終わりの日であった。

しかし、その人生は何十年という時が流れて復活するのであった。

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