この度、晴れてお姫様になりました。

KoKoRo83

女子寮の中へ入ると、白髪をお団子にした、いかにも怖そうな人が立っていた。

「こんにちは。私はリリー・ステンフィールドといいます。ここの寮長です。私もここに住んでいるので顔を合わせる機会が多いと思います。よろしくお願いします。」
うぅ。ちょっと怖い。さっきから無表情だよ、この人。でも、
「こんにちは。私は、エレナ・ド・ナイチンゲールと申します。これからよろしくお願いします。」

そう言ってキレイなお辞儀をする。へへん。これでも礼儀作法は嫌というほど叩き込まれんだ。

「では早速、寮の方の案内をさせていただきます。本来ならば、同室の先輩がされますがナイチンゲール様の場合、同室の方も同じ新入生ですので私が案内をさせていただきます。」
「はい、よろしくお願いします。」
へー。普通なら、先輩と一緒の部屋なんだ。同い年の子と同じ部屋で良かった。


「まず、1階ですが男子寮とつながっている唯一の階です。朝9時から夜の9時までは出入り自由となっています。食堂も1階にあり、男女一緒に食べますが、ご自分の部屋で食べたい時は頼んでくださればお運びいたします。
2階には、色々なお店があります。種類はコンビニから雑貨屋、喫茶店など多岐にわたります。
3階から60階までは寮です。
ナイチンゲール様の部屋は60階にあります。
屋上にはプールが。6月下旬から9月上旬まで入れます。
簡単に説明しましたが、何か質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です。」
「そうですか。また気になることがありましたら気軽にお声掛けください。」
「はい。 お気遣いありがとうございます。では、失礼します。」
そう言ってちょうど来たエレベーターに乗る。

しかしスゲェーな。お店もプールもあって、60階もあるって…。どっかの高級ホテルかよ。ていうかなんでよりにもよって俺の部屋、最上階?エレベーター結構時間かかるんじゃないの?

チーン。

え?もう着いた?はえー。恐るべし異世界の技術。60階までこんなに速く来れるとは…。

エレベーターから出ると、ドアが1つ。もしかしてこのフロアに俺の部屋1つだけ?!ひゃー。VIP待遇だ。偉いんだな、バカ親父。じゃあ部屋入りますか。

ガチャ。

おっ。開いてる。もう、同室の子来てるのかな?

「こんにちはー。」
返事が無いな。それにしても広い。部屋が沢山ある。
あれ?あそこだけ電気がついている。なんだろう?そう思ってドアノブに手をかけると、

「入らないで下さい。」
「えっ?」
いきなり声が。同室の子が、入ってたのか。って考えれば分かることか。あはは。ここ何の部屋だろう?

「少しお待ち下さい。今出ます。」
そう言って水の流れる音。もしかしてここトイレだった?
わぁー。危なかった。

ガチャ。

ドアが開いた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品