Ⅵ

「ここは酸素がよく湧くカラとても住みやすいワ。でも、ソトの酸素の方が美味シイの。アナタもソトの酸素を探して私のトコロに来たノでしょう？」

　シャチがそう言うので、頷いた。海老や魚には言わなかったが、出来れば地上に上がりたいことも伝えた。

「そう……。アナタは元々ウエに住む生き物だモノね。でも、あまりオススメはしないワね。どうしても、ウエに行かなけれバならないの？」

　地上には、かつて共に成長した友がいる。父や母、妹もいる。彼らに会いたいだけではない。今まで出会った人でなくても、自分のことを必要に思う人が地上で待っているはずだ。
　いつまでも水中にいるわけにはいかない。

「分かッタわ。まずは、ソトの空気を吸いニ行きマショウ」