改変の少年
9話
カエサルと別れて学園へと向かうアゼルだが、
(試験を受けに行くのはいいが、どう行けばいいんだ……。わからん。)
学園が何処にあるのかわからず周りをキョロキョロ見渡す。その姿は他から見れば始めて帝国に来た田舎者に見えるだろう。
学園への道がわからず、困るアゼルの元へ1人の少女が来た。
「どうかなさいましたか?」
「あぁ、学園に向かいたいんだが、
場所がわからな……」
アゼルは最後まで話すことはできなかった。なぜなら、自分の前に立つ少女は
黄金色の流れるような長い髪に、大きく丸い宝石の様に輝く蒼眼。目の前に立つ少女は明らかにただの町娘ではなかったからだ。さらに付け足せば周りには護衛らしきものが数人、アゼルを威圧している。
「あら、ということはあなたも受験者かしら?そういうことなら、私と一緒に行きましょう。」
「良いのか?なら、よろしく頼む。」
少女は親切にも学園まで一緒に行ってくれるそうだ。その事に安心するアゼルだが
「姫様、この様な怪しい者とご一緒されるのは少々まずいかと。」
近くにいた護衛らしき男が声をかける。
しかし、その男の放った言葉に疑問のいろを見せるアゼル。
「姫様?お前は王族か?」
「貴様!!!姫様に向かって何たる口の聞き方!!!不敬にあたるぞ!!!」
護衛はアゼルの口の利き方に激昂する。
「ふふふ、良いのですよ。彼は何も知らなかった様ですし。」
「し、しかし…」
「良いのです。下がりなさい。」
護衛はまだ何か言いたげだったが、
お姫様の気迫がそれをさせない。
(中々の威圧だ。流石は王族か。)
「ふふふ、ありがとうございます。」
「?!?!」
アゼルはまるで考えを読まれた、いや覗かれたのを感じてすぐに身構える。
「そんな身構えないでください。これは
私の魔能です。オンとオフが効かないのです。もし気分を害したのら謝罪致します、
申し訳ございません。」
そう言ってお姫様は頭を下げる。
その行動に周りにいるアゼルと護衛は
驚きを隠せない。それもそのはず、あの王族がただの民に頭を下げたのだから。
「ひ、姫様!!その様なことをされては
王族としてのメンツが!!」
護衛はすぐにお姫様の行動をやめさせようとする。
「頭を上げろ。別に大したことはない。
驚いただけだ。それにしても、相手の考えがわかる魔能か。すごいな。」
アゼルはお姫様に頭を上げるよう言い、
すぐに話題を変える。
「そうですか、ありがとうございます。
ふふ、少し違いますよ、相手の心が
わかるのです。考えも感情も全てが。」
お姫様はアゼルの気遣いに気づいたのか
小さく微笑む。その顔はとても美しく周りの者を惹き込む魔性の何かがあった。
しかしアゼルはそんなものに微動だにしない。まるでそれを見ていて見ていないかの
ような。
アゼルのその様子にお姫様は少し驚くが
すぐに頭を切り替える。
「さて、それでは改めて自己紹介を
しましょう。
私の名はマナ・デオ・セントヴィダール。
マナとお呼びください。
魔能は心を覗く目
お見知り置きを。」
「俺の名前はアゼル・リンドブル。
アゼルと呼んでくれ。
秘密主義なので魔能は言わない。
よろしく頼む。」
アゼルとマナはお互いに軽く自己紹介をするがアゼルの言葉遣いが気に入らないのであろう護衛がアゼルを睨んでいる。
「敬語にした方がいいか?」
「そのままでよろしいですよ。」
そんな他愛も無い話をしながら、2人は
学園に向かう。
そして、
「見えましたよ、ここがセントヴィダール学園です。」
すると、視線の先には王城には少し
劣るがそれでも巨大な建物があった。
「あれが学園か。」
「ええ、毎年ここの学園の入学試験の倍率は200越え、狭き門です。しかし、ここに入れば間違いなくエリート真っしぐらでしょう。その中でも上位20名だけがなれる
特進クラス。それはエリートの中のエリート。試験を受ける皆がそこに入るのを
夢見ています。」
「ほぅ、面白い。」
マナの説明に笑みをこぼすアゼル。
その笑みには狂気すら感じる。
その様子をマナは横目で捉える。
(掴めない人ですね。一体、その笑顔の裏には何があるのか、気になりますね。
実に面白いです。)
アゼルへの興味を膨らますマナ。
その一方でアゼルは
(ここの特進クラスに入れば、俺の願いに
大きく近づける。俺は他を陥れてでも
おのれの願いを果たす。必ず…。)
己の身の内で燃え上がる野望をさらに
煽っていた。
(試験を受けに行くのはいいが、どう行けばいいんだ……。わからん。)
学園が何処にあるのかわからず周りをキョロキョロ見渡す。その姿は他から見れば始めて帝国に来た田舎者に見えるだろう。
学園への道がわからず、困るアゼルの元へ1人の少女が来た。
「どうかなさいましたか?」
「あぁ、学園に向かいたいんだが、
場所がわからな……」
アゼルは最後まで話すことはできなかった。なぜなら、自分の前に立つ少女は
黄金色の流れるような長い髪に、大きく丸い宝石の様に輝く蒼眼。目の前に立つ少女は明らかにただの町娘ではなかったからだ。さらに付け足せば周りには護衛らしきものが数人、アゼルを威圧している。
「あら、ということはあなたも受験者かしら?そういうことなら、私と一緒に行きましょう。」
「良いのか?なら、よろしく頼む。」
少女は親切にも学園まで一緒に行ってくれるそうだ。その事に安心するアゼルだが
「姫様、この様な怪しい者とご一緒されるのは少々まずいかと。」
近くにいた護衛らしき男が声をかける。
しかし、その男の放った言葉に疑問のいろを見せるアゼル。
「姫様?お前は王族か?」
「貴様!!!姫様に向かって何たる口の聞き方!!!不敬にあたるぞ!!!」
護衛はアゼルの口の利き方に激昂する。
「ふふふ、良いのですよ。彼は何も知らなかった様ですし。」
「し、しかし…」
「良いのです。下がりなさい。」
護衛はまだ何か言いたげだったが、
お姫様の気迫がそれをさせない。
(中々の威圧だ。流石は王族か。)
「ふふふ、ありがとうございます。」
「?!?!」
アゼルはまるで考えを読まれた、いや覗かれたのを感じてすぐに身構える。
「そんな身構えないでください。これは
私の魔能です。オンとオフが効かないのです。もし気分を害したのら謝罪致します、
申し訳ございません。」
そう言ってお姫様は頭を下げる。
その行動に周りにいるアゼルと護衛は
驚きを隠せない。それもそのはず、あの王族がただの民に頭を下げたのだから。
「ひ、姫様!!その様なことをされては
王族としてのメンツが!!」
護衛はすぐにお姫様の行動をやめさせようとする。
「頭を上げろ。別に大したことはない。
驚いただけだ。それにしても、相手の考えがわかる魔能か。すごいな。」
アゼルはお姫様に頭を上げるよう言い、
すぐに話題を変える。
「そうですか、ありがとうございます。
ふふ、少し違いますよ、相手の心が
わかるのです。考えも感情も全てが。」
お姫様はアゼルの気遣いに気づいたのか
小さく微笑む。その顔はとても美しく周りの者を惹き込む魔性の何かがあった。
しかしアゼルはそんなものに微動だにしない。まるでそれを見ていて見ていないかの
ような。
アゼルのその様子にお姫様は少し驚くが
すぐに頭を切り替える。
「さて、それでは改めて自己紹介を
しましょう。
私の名はマナ・デオ・セントヴィダール。
マナとお呼びください。
魔能は心を覗く目
お見知り置きを。」
「俺の名前はアゼル・リンドブル。
アゼルと呼んでくれ。
秘密主義なので魔能は言わない。
よろしく頼む。」
アゼルとマナはお互いに軽く自己紹介をするがアゼルの言葉遣いが気に入らないのであろう護衛がアゼルを睨んでいる。
「敬語にした方がいいか?」
「そのままでよろしいですよ。」
そんな他愛も無い話をしながら、2人は
学園に向かう。
そして、
「見えましたよ、ここがセントヴィダール学園です。」
すると、視線の先には王城には少し
劣るがそれでも巨大な建物があった。
「あれが学園か。」
「ええ、毎年ここの学園の入学試験の倍率は200越え、狭き門です。しかし、ここに入れば間違いなくエリート真っしぐらでしょう。その中でも上位20名だけがなれる
特進クラス。それはエリートの中のエリート。試験を受ける皆がそこに入るのを
夢見ています。」
「ほぅ、面白い。」
マナの説明に笑みをこぼすアゼル。
その笑みには狂気すら感じる。
その様子をマナは横目で捉える。
(掴めない人ですね。一体、その笑顔の裏には何があるのか、気になりますね。
実に面白いです。)
アゼルへの興味を膨らますマナ。
その一方でアゼルは
(ここの特進クラスに入れば、俺の願いに
大きく近づける。俺は他を陥れてでも
おのれの願いを果たす。必ず…。)
己の身の内で燃え上がる野望をさらに
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