改変の少年

ノベルバユーザー136687

7話

「これからどーするんだ?」

 能力検定を終えたアゼルはカエサルは
これからどーするのかを問う。

「今から軍の訓練場へ行って俺と修行だ。
みっちりしごいてやる。」

 ニヤリと笑うカエサル。
 アゼルはある疑問をカエサルにぶつける。

「適正魔法は後で調べるって言ってたけど
どこで調べるんだ?」

「この帝国の中で調べられる場所は2つある。軍とギルドだ。」

「ギルド?」

 初めて聞く言葉に首をかしげるアゼル。

「ギルドっていうのは登録している冒険者に依頼を斡旋する場所だ。お前は帝国の
軍人になるんだからあんま関係ねぇよ。」

 カエサルの言葉を聞くとギルドへの
関心をすっかり失ってしまう。

「話している間に着いたぞ。
この中に軍の訓練場があるぜ。」

 到着した場所は皇帝の住む王城だった。

「し、城の中にあるのか?」

 動揺するアゼル。

「気にするな。慣れる。行くぞ。」

(城って慣れていい場所なのか)

 当たり前の疑問を浮かべるアゼル。
しかし、中に入らなければ何も始まらないので中に入っていくカエサルの後を追いかける。

「ひ、広い。」

「当たり前だ。城だぞ?」

 中に入ったアゼルはあまりの広さ
そして、装飾の豪華さに驚く。城の中は
メイドや執事がたくさんおり、気をとられると迷ってしまうほど広い。

「こっちだ。」

 アゼルはカエサルを見失わないように
急いで付いていく。
 少し歩くと、開けた場所に出た。そこは円状の闘技場のようになっていて、
一目でここが訓練場だとわかった。

「着いたぞ、ココが訓練場だ。
今すぐに修行したいがまずはお前の
適正魔法を調べる。」

 そう言うとカエサルは待っていろと一言だけ呟き何処かへ行った。少しすると
カエサルは戻ってきたが、水晶の玉を持っていた。

「これが適正魔法を調べる道具、
魔法測定器だ。この水晶に触れろ。
そしたら、ステータスに適正魔法が記される。」

 アゼルはゆっくりと水晶に触れた。
すると、アゼルの中に何かが入り込む感覚がした。

「ステータスの適正魔法の欄を見てみろ。」

(ステータスオープン)

【適正魔法】雷魔法、無魔法、星魔法

「星魔法?新種の魔法か。珍しいな。
無魔法もある。いいじゃないか。
この世界の魔法は基本的に
火、水、風、地、氷、雷、光、闇、無の
9属性からなる。だが、稀にそれに属さない特殊な魔法を持つものがいる。
つまり、魔法な属性の数は特に決まってないってことだ。」

「これで調べ物は全部済んだんだよな?
早く修行がしたい。」

 ニヤリと笑いながら修行の開始を急かす
アゼル。それを見たカエサルは

「ふっいいだろう、なら始めるか。」

 こちらもまたニヤリと笑っている。

「まず何からすればいい?」

 アゼルは指示を仰ぐ。

「最初はまず…走れ。」

「どのくらい?」

「俺がいいと言うまで。」

「え?」

 アゼルはカエサルなとてつもない指示に動揺を隠せない。

「早くしろ。死にたいか?」

 カエサルの顔から笑みは消え、その代わりに有無は言わせないという圧力が生まれる。

「わ、わかった。」

 アゼルはトボトボと走り出す。
すると、

「何だその走りは!!!おせぇ!!!!
ジョギングじゃねぇ!ダッシュだ!
訓練場の周りをダッシュし続けろ!」

 カエサルの怒鳴り声に反射的に走るスピードがトップギアになるアゼル。
 こうして、カエサルの地獄の修行が始まった。

   ドサリ……

 アゼルはあまりの疲労に走っている途中で倒れて気を失ってしまった。
それも仕方のないことだ。なぜなら、アゼルが走り始めた頃は明るかった空も
今では夕焼け色に染まっている。このことからアゼルが長時間走ったことがわかる。

「途中からはヘトヘトで、ダッシュはもちろんジョギングですら無かったが根性は
あるな。」

 そう言い、気を失ったアゼルを担ぎどこかへ向かうカエサル。
 こうして1日目の修行は終了した。

翌日。

「んぅ、ここは?どこだ?
俺は確か走っていて…どうなったんだ?」

 目を覚ましたアゼル、気を失ってから
朝まで寝ていたようだ。

「やっと起きたから、ここは俺の家だ。
と言っても、王城の中の1つの部屋だけどな。ほら、メシだ食え。」

 そう言って、早く食えと急かすカエサル。

「食ったら今日も修行だ。」

「わかった。今日は何をするんだ?」

「今日もダッシュだ。」

「マジか…」

 昨日と同じ地獄を繰り返すと知った
アゼルは肩を落とす。そんなアゼルを見たカエサルは

「いいか?アゼル、お前はステータスが高い。だけどな、ステータスに頼りきった戦いをするのはど三流のすることだ。
ステータスは何かを倒し勝利すれば上がっていくものだ。でも、勝つためには技術が
必要だ。そのために、マジで強い奴は鍛錬を怠らない。そして、戦いとは何事も持久力だ。持久力が無きゃ話しにならん、いいな?」

 アゼルはカエサルの言葉に確かにと納得をする。そして、朝食を食べ終わった
アゼルはカエサルと共に訓練場へ向かう。

「じゃあ走れ。それと昨日みたいに気を失わないようにしろ。」

「わかった。」

 そう返事をして、アゼルは走り出す。


1週間後


 アゼルはまだ走っていた。ここ1週間ずっと走っている。

(今日で1週間だぞ?毎日毎日、朝から晩までぶっ倒れる寸前まで走り続けて、
訓練しに来る戦士たちからは哀れみの視線を向けられて、いつまで続けるんだよ)

 流石に不満が溜まっているアゼル。
するとカエサルの口から思いもよらぬ言葉飛び出る。

「この1ヶ月は走り続けもらう。
まぁ、頑張れ。」

 カエサルの口から死刑宣告に近い
言葉が出る。

(う、うそだろぉーー?!!
もうだめだ、気が遠くなりそう)

 絶望するアゼルだった。


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