改変の少年
3話
「この村にオッドアイのガキがいると聞いたんだがこの家にはいねぇかぁ?」
盗賊の言葉を聞いて顔を青ざめさせる
バンとミラ。そしてイリスは体を震えさせている。アゼルはそんなイリスを強く抱きしめている。
「いるのか、いねぇのか、答えろ。」
「いない。」
盗賊の問いかけに即座に返答するバン。
それを聞いた盗賊はニヘらぁと気持ちの悪い笑みを浮かべ言った。
「そーか。なら死ね。」
その瞬間、鮮血が舞った。盗賊のものではなくバンの血が。バンは何が起こったかわからないようだった。
それだけ盗賊の剣捌きは早かったのだ。
バンは自分の血だまりに倒れた。
次にミラの体から血が吹き出た。見えない何かで切り刻まれたようだった。
アゼルはこれらの事が一瞬の出来事で何も理解する事が出来なかった。
ただ1つ理解できたことは
(死んだ……。父さんと母さんが死んだ。
何も見えなかった。なんだよこれ)
イリスはショックのあまり気を失っている。その後盗賊はつまらなさげに家から出て行った。
その間、アゼルは何も考えられなかった。動けなかった。意識があるのかさえ疑わしいほど微動だにしなかった。だが、
それが功を奏し盗賊にはバレなかった。
それから、盗賊は村を荒らすだけ荒らし
目的のイリスが見つからないとなると、
どこかへ消えて行った。
「行った、のか?」
アゼルは掠れる声でそう呟き、物置きの戸を開け、外の様子を確認する。そして、
気を失っているイリスを抱えて外に出る。
そこに横たわっているバンとミラの死体を
見ないように玄関の外に出る。村の被害は酷いものだった。
(むごい。むごすぎる。)
周りには焼けただれた人であったろうものの皮膚、そして口を開き目を見開きながら壮絶な表情して死んでいるもの、上半身と下半身が分かれ、臓腑が垂れでいるもの。
それらが以前までは自分らと同じ人ですあったとは信じるに難かった。
「うぷっ!おぉえええぇぇぇぇぇぇ!」
突如、腹の底から吐き気がこだまし、
腹のなか全てを吐き出すアゼル。
それも仕方ないこと、今5歳の彼が見ているのは紛れも無い人の死。
それらをこんな死臭漂った場所で見ていて
吐き気がないわけがない。
「はぁはぁはぁ、皆んな死んだ。
村の奴ら皆んな死んだ。
                                  ははっ……?!」
アゼルは今、不思議なことに気づいた。
それは自分が笑っていることだ。こんな状況で笑っている自分に気がついた。
その時アゼルの中で何かのピースが当てはまる感覚がした。
(そうか、僕は嬉しいんだ。
イリスを差別して、辛い目に合わせた村の奴らが死んでざまぁみろって思ってるんだ。前から僕の中にある黒い感覚は村の奴らの死を望むものだったんだ。)
アゼルは自分自身の異常性に気が付いた。普通じゃないと。それと同時に怖くなった自分の中に潜む狂気が。
だが、それでも消すことはできない、
1度芽生えたものは深く強く根付く。
(この世界はやっぱりおかしい。おかしいのは僕?いや違う、この世界だ。やっぱり   間違っていたんだこの世界は。
腐り切っているよこの世界は。
そして、だれもそれを変えようと正そうとしない。だれもそうしないなら、
僕が、イヤ、俺が変えよう。
この腐った世界を)
その時、アゼルの中で何かが崩れた。
日々の平和と共に何かが崩れた。
恐らくそれは人が失ってはいけないものだったのだろう。だが、誰もそれを教えようとはしない。周りにあるのは物言わぬ屍なのだから。
アゼルは空を見上げ呟く。
「この腐った世界を変えてやる。」
その目にはあの頃のような少年特有の輝きなどはなく、目にあるのは色濃い野望のみだった。
その日、世界に怪物が誕生した。
盗賊の言葉を聞いて顔を青ざめさせる
バンとミラ。そしてイリスは体を震えさせている。アゼルはそんなイリスを強く抱きしめている。
「いるのか、いねぇのか、答えろ。」
「いない。」
盗賊の問いかけに即座に返答するバン。
それを聞いた盗賊はニヘらぁと気持ちの悪い笑みを浮かべ言った。
「そーか。なら死ね。」
その瞬間、鮮血が舞った。盗賊のものではなくバンの血が。バンは何が起こったかわからないようだった。
それだけ盗賊の剣捌きは早かったのだ。
バンは自分の血だまりに倒れた。
次にミラの体から血が吹き出た。見えない何かで切り刻まれたようだった。
アゼルはこれらの事が一瞬の出来事で何も理解する事が出来なかった。
ただ1つ理解できたことは
(死んだ……。父さんと母さんが死んだ。
何も見えなかった。なんだよこれ)
イリスはショックのあまり気を失っている。その後盗賊はつまらなさげに家から出て行った。
その間、アゼルは何も考えられなかった。動けなかった。意識があるのかさえ疑わしいほど微動だにしなかった。だが、
それが功を奏し盗賊にはバレなかった。
それから、盗賊は村を荒らすだけ荒らし
目的のイリスが見つからないとなると、
どこかへ消えて行った。
「行った、のか?」
アゼルは掠れる声でそう呟き、物置きの戸を開け、外の様子を確認する。そして、
気を失っているイリスを抱えて外に出る。
そこに横たわっているバンとミラの死体を
見ないように玄関の外に出る。村の被害は酷いものだった。
(むごい。むごすぎる。)
周りには焼けただれた人であったろうものの皮膚、そして口を開き目を見開きながら壮絶な表情して死んでいるもの、上半身と下半身が分かれ、臓腑が垂れでいるもの。
それらが以前までは自分らと同じ人ですあったとは信じるに難かった。
「うぷっ!おぉえええぇぇぇぇぇぇ!」
突如、腹の底から吐き気がこだまし、
腹のなか全てを吐き出すアゼル。
それも仕方ないこと、今5歳の彼が見ているのは紛れも無い人の死。
それらをこんな死臭漂った場所で見ていて
吐き気がないわけがない。
「はぁはぁはぁ、皆んな死んだ。
村の奴ら皆んな死んだ。
                                  ははっ……?!」
アゼルは今、不思議なことに気づいた。
それは自分が笑っていることだ。こんな状況で笑っている自分に気がついた。
その時アゼルの中で何かのピースが当てはまる感覚がした。
(そうか、僕は嬉しいんだ。
イリスを差別して、辛い目に合わせた村の奴らが死んでざまぁみろって思ってるんだ。前から僕の中にある黒い感覚は村の奴らの死を望むものだったんだ。)
アゼルは自分自身の異常性に気が付いた。普通じゃないと。それと同時に怖くなった自分の中に潜む狂気が。
だが、それでも消すことはできない、
1度芽生えたものは深く強く根付く。
(この世界はやっぱりおかしい。おかしいのは僕?いや違う、この世界だ。やっぱり   間違っていたんだこの世界は。
腐り切っているよこの世界は。
そして、だれもそれを変えようと正そうとしない。だれもそうしないなら、
僕が、イヤ、俺が変えよう。
この腐った世界を)
その時、アゼルの中で何かが崩れた。
日々の平和と共に何かが崩れた。
恐らくそれは人が失ってはいけないものだったのだろう。だが、誰もそれを教えようとはしない。周りにあるのは物言わぬ屍なのだから。
アゼルは空を見上げ呟く。
「この腐った世界を変えてやる。」
その目にはあの頃のような少年特有の輝きなどはなく、目にあるのは色濃い野望のみだった。
その日、世界に怪物が誕生した。
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