一度きりの人生、大事にしないとっていう言葉が偉大だと気づく頃は結構歳取ってたりする。

ろぼ

気を使いすぎたり謙虚でいることが時として、相手をイラつかせる結果になったりする。

強がりで負けず嫌いな人ほど、実はとても弱いよね。私もそうなんだよね。

中学校1年の夏休み前の下校中。
いつものように皆で会話をしている中

「それって○○だよね〜」

と会話に混ざると、突然、全員が口をつぐんだ。

“ふざけてるんだな”

と思った私は

「ねぇ?○○ちゃん」

今度は名指しで声をかけてみる。
返事がない。目も合わせない。
私が黙ると話し出す。
しかも、当てつけのように楽しそうに。

…あ…シカトされてんのか…

本当にいきなりだった。今朝まで普通に登校して、楽しく話してたはず。
たった数時間で景色が激変した。

それでも、最初の頃は何か気に触ることしたのか、どうすれば前みたいに戻れるのか、1人1人に聞いたりもしたし、訳も分からないまま謝ったりもした。

でもね、そんな時はみんな決まってこう言うんだよね。

「別になにも無いよ。どうしたの?」

どうしたのって…
いや、こっちのセリフだからね。

言葉と態度のチグハグさに余計混乱して、余計追い詰められた。
だってそうでしょ?
私がしたこと、言ったことで怒っているなら、なんとか出来るのに、理由なく冷たい態度されたりシカトされたら、自分自身の全てを拒絶されてるって思ってしまうよ。

そこからは無視されながらも必死に機嫌とったり、目立たないように部活中も大人しく過ごした。
小学生の頃のジャイ○ンみたいな性格が嘘のように…。

人の成長の仕方は様々で、自我に目覚め大人になった気になって変な意味で強くなる人と、すでに自我に目覚めていて、今までは自分本意で考えて強気でいたけど、大人は周りと協調性を持って生活しなきゃいけないんだと気付き弱くなる人がいるんだと思う。個人的な見解ですけどね。
私は後者で、仲間は前者だったんだろうね、きっと。
まぁ、私の場合は自我なんて立派なもんではなくて、1人でも平気ってだけで、喧嘩は1人でするもんだと思ってた。誰かに味方してもらわないし、味方もしない。

そんな感じで色々あって、空気でいる結論を出したんだ。

そんななら一緒にいなきゃいいじゃん!て思うよね。私もそう思う。
でも、学生の世界って狭いんだわ。
学校がすべて。仲良くしてたグループがすべて。最初からいた場所を失ったら、自分の居場所がなくなる。

なんでか嫌なはずなのに固執するんだよね。
これ不思議。

今になって考えると、そんなに悲惨な状況ではなかったんだけどね。
うん、以外と恵まれてた。

私のせいでレギュラー外された先輩は、代わりに頑張ってって応援してくれたし、他の先輩も優しく教えてくれた。
部活の仲間から離れた方がいいって相談にのってくれたクラスの友達もいた。

だけどね、部活しに学校行ってたような私には、部活の仲間にシカトされることは、世界が終わるくらい辛いことだった。
先輩に気に入られれば気に入られるほど、仲間にどう思われるのか不安で仕方なかった。
学校に行ったら部活に行かなきゃいけない、そう思ったら学校にも行けなくなった。

毎朝、正体不明の吐き気・腹痛・めまい・頭痛・発熱。
なのに休んで午後になるとケロッとしてる。
欠席が増えて、担任の先生に留年するよって言われたっけ。
母が困った顔でため息をついてたのを思い出す。

色んな病院に行って検査を受けた。
体には異常はなかった。
自律神経失調症。
そう診断された。

処方された精神安定剤を飲んだら、少し気持ちが軽くなった。

ほとんど学校に行ってないのに友達でいてくれたクラスメイト。
まめに顔を見に来て相談にのってくれた担任。
なによりありがたかったのは、理由を言わないのに、怒らずに自分から学校に行くまで待っててくれた母。

そこに気づくのが遅くて、1年を無駄にした。

でもね、なんだろう。
善より悪の方が強くてさ。
ほら、白は黒に簡単に塗りつぶされちゃうでしょ?
たぶんそれと一緒で、私の中が95%塗りつぶされて、真っ黒になる直前までいったんだよね。
残りの5%のところで母が言ってくれたんだ。

「イジメじゃないの?何かあるなら1人で悩まないで一緒に悩もう。大丈夫だから。お母さんは、何があってもあなたが大好きだから。」

涙が止まらなかった。ここで本当に救われたんだと思う。
弱さを見せたことで色んな人に助けられた。
だから、もう一度立ち上がれたんだと思う。

だけど、この95%の記憶は…黒く塗りつぶされた部分は、白に戻ることはなくて、今も苦しめる。
大人になって形を変えたけど、根っこは確実に残ってて、消えることはないんだと思う。

明日になったら自分が空気になってるかも。

そんな恐怖が気を使ったり謙虚な行動を取らせる。
でも、それが逆に相手に壁を作って、信用してないってアピールをしているような状況を作るんだよね。

そうじゃないんだけどな…。
側にいたいからこそなんだけどな…。

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