なぜ僕はこう何回も理不尽に囚われるのか

ノベルバユーザー211081

担任の先生

 その時の気持ちを表現する言葉を僕は知らない。もしできたとしてもきっと伝わらないだろ。
僕らの前に現れた担任と思われる人物。背は低め、ブラウンのボブに、特に特徴のない洋服。フードをかぶっていることが特徴といえるところかもしれないが、そんなことはどうでもよくなるような特徴を、彼女は持っていた。きっと僕以外、C組以外の人もこう思ったことだろう。

…………弱そう。

 そう、とてつもなく弱そうなのだ。武術に関して、まったくの無知である僕でさえ、彼女が100人の集まった軍団に素手で勝てる、確証的な自信があった。さながらうまれたてのウサギか、そうでなければ、もう微生物レベルにさえ感じられた。

 この人が魔術実技を担当できるのか、C組のメンバーのほぼ全員がそう思った。軍人でなくとも、小学校を卒業して、きちんと魔術を学んだ大人には、独特のオーラがある。が、彼女にはそれが全くない。魔術うんぬんを抜きにしても、”覇気”というものが全く感じられない。
 「えーっと、私がC組担任のカリーナ・ドルシです。みなさーん、行きますよー」
 多くの人がショックから抜けれていないらしく、さっきまでとは明らかについてくる人数が少ない。

「じゃあ、もう一回迎えに来ますから、待っててくださいねー」
本当に大丈夫だろうか。だれもがそう思ったに違いない。

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