なぜ僕はこう何回も理不尽に囚われるのか

ノベルバユーザー211081

小学校

 初等教育機関。通称「小学校」。僕らは14歳までの四年間。ここで教育を受けることが義務付けられている。

 初等教育の内容は主に五つ。言語学、数学、歴史学、そして、魔術座学に魔術実技だ。比率は学年によって左右するものの、大体は1:1:1:1:2らしい。<魔術>を極めた身からすれば、歴史などの時代背景は魔術の精度などにかかわってくるので歴史は重要視すべきだ…と考えるが、初等教育の目的は屈強な魔導士の育成ではないので、特に異論はない。

 話は変わるが、学校に来るまで、僕と絵美の周囲に人がいなかったことについて、絵美は当然、知る由もないことだが、わかっていることがある。あれはいわゆる、<魔術結解>だ。入り口も一方通行のうえ、出口以外に裂け目がなかったことから、術者はそうとうなやり手だ。

 そうとうなやり手で、術者が失敗をするはずがない、ということを前提にするが、対象は僕ではなく絵美だった。目的が僕ならば、術をかけるのは僕でいい。というか、これほどのやり手だったら、今の僕程度だったら健闘し、殺すことも不可能ではないだろう。 

 だから分からない。なぜ対象となったのが絵美だったのか、簡単に出られるような出口にしたのか。

 ちなみに、僕が結解の中に入っていたのは、結解の入り口が開いた瞬間にこじ開け、強引に中に入ったからに他ならない。特に何もなかったので危険視こそしなかったが、今のところ、この謎を解明する足掛かりすらつかめていない。

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