なぜ僕はこう何回も理不尽に囚われるのか

ノベルバユーザー211081

声の主

 「夫婦旅行ですって、今朝早くにでかけたわ。」
尊の問いに答えたのは母の美樹だった。
 「そういうことだから、今日は一緒に行こうね♪」
 と、曇りのない純粋なまなざしを向けてくるのは、隣にすんでいる絵美だ。絵美の親は基本的に放任主義なのだが、娘は非の打ち所がない、まさしく「完璧」な少女に育っている。どこからそんな費用をひねり出しているのか、全く見当もつかないような頻度で国内外に夫婦旅行に出かけ、そのたびに大量のお土産を買ってくる。その間絵美は、おそらく九割を上回るであろう確率で我が家に預けられるため、僕との仲は非常に良かった。

 「嫌って言ってもついてくるんだろ。いちいち聞かなくてもいいじゃん。」
すこし冷たいようにも聞こえるが、これが僕と絵美の普段の態度だ。
 「もう、女の子には優しくしなきゃダメよ~。」
と、そこに母が会話に水を差したり差さなかったり…という「いつもどおり」の風景の中、僕はちゃくちゃくと準備を進め、ほぼ出発直前に準備を終えた。

 「母さん、」
 「おばさん、」
「「いってきます!!」」
二人の声がこだまし、僕ら二人は家を出た。

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