君なんてダイキライ!

那月 綾

誰か来た!

『は…る…か…』

「おばぁちゃん!」
いつも通りの夢だ。
『に…げて…』

「…どうして?」
おばあちゃんの言っている意味が分からない…どうしてそう言っているのか聞こうとしたが、そこで目が覚めてしまった。

「また…おばあちゃんが夢に…」
私は夢から覚めて、いつも通りその夢はなんだったのか、忘れてしまっていた。でも、おばあちゃんは何か私に伝えようとしていたことは、何となく覚えていた。だが、何を伝えようとしていたのか分からない。
「…はぁ…もう、こんな夢何度も見たくない。」

(あー、誰でもいいから、こんな……こんな…私を助けて…)
私は泣きそうになった…そう言えば
泣きそうになったのは…
おばあちゃんの葬式以来…だな…
             ドタドタドタ!
「っ!!」

(だ、誰か…来る!…でも、鍵は閉めた…のに……)
突然、誰かが私の家に入ってきていた。そして、急いでいる様子で階段を駆け上がっていた。
「か、隠れないとっ」
私は、見つからないようクローゼットに素早く隠れた。
(…誰が来たんだ?強盗?殺人鬼?空き巣?もう、何がなんだか分からない!)
しばらくすると、私の部屋に誰かが入ってきた…
「?あれ?どこ行ったんだろ?隠れてんのかな?はーるーかーちゃん!出ておいで〜」
曇ったように聞こえた声は女の人のようだった。
(なんで私の名前…知ってるんだ)

「よーっし!かくれんぼか!見つけるよー!」

「おいおい、流石にまずいだろ!」

「そうだよ!里美さん…一旦落ち着こ!」
男の人も居たらしい…
(さ、三人も……ん?里美さん?どっかで…)

「?…なぁ、誰かの声…しなかったか?」

「っ!」

(声が漏れたのか?どちらにせよこの状況はまずい…)

「?いや?」

「空耳なんじゃねぇの?」
ドクドクドク
と心臓の音がうるさい…。この感覚、私は昔もあった…いや今でも覚えてる…
誘拐されそうになって、おばあちゃんが死んだって知った時だー…。
「……っ」
私は必死に息を声を殺して…目を固くつぶった。
「あれ?どこにもいない。」

「…あ。クローゼットは?」
ビクっ!
近づいてくる三人の足音…
私は、怖い…そう
(あいつに殺される!あいつが来たんだ!殺される!殺される!あいつに…殺される!)
こんな思いで。
「…ぇ?」
私は私自身に『何を言っているの?』と思った……。そう、それは、一つの疑問。

ー“あいつ”って誰?ー
そう思っている内に、クローゼットの扉は開けられた…

「ひっ…」

「「「あ。…みーつけた!」」」
顔を上げるとそこには…
「…さと…みさん?…大和…さん…神崎…さん…」
いつも一緒にいる三人だった。もう、私の頭の中は真っ白になっている。いや、正確には、はてなマークだらけだった。
「…ごめんね…ビックリさせようかと思ったんだけど、うめき声が春香ちゃんの部屋から聞こえてたから…」

「いやいやいやいや…そこじゃないよね?どうして家に入ってこれたの!」

「あー、それは、里美さんの父親、合鍵とか作れる工場とかで働いてるんだ…で里美さんはアルバイトとして働いていたら、合鍵作りの技術を覚えて春香さんの家の合鍵を作ったんです…勝手に…」

「そうそう!」

(まじかよ…)
私は呆れたのと、この三人の行動が怖いことしか今は考えられなかった。
「あのさ…一つ言わせてほしいんだけどさ…いいかな?」

「「「いいよっ!」」」
私は一度大きく息を吸って、深呼吸をした。
そして、今の思っていることを三人に言った。
「アホかー!もうこれは既にストーカーになってるよ!キモいよ!てか、何しに私の家に来たの?なんで私の部屋がここだってすぐに分かったの!あと、私に許可をもらはない限り家に入ってくんな!迷惑なんだよ!」
こんなふうに大声で言ったの初めて…いや、2度目だ。
誰かに本音をぶつけると、自分自身に溜まっていたストレスとかすっきりするわ〜…
(極楽…極楽)

「?何?」

「いや、なんでもない…けど…春香さん、もしかして…泣いてた?」

「っ!泣いてない!」

(((…か…可愛い〜♡)))
「…俺さ…思ったんだけど…」

「っ!」

(?なんだ?…この寒気…なんで神崎さんの言葉で反応したんだ?)
嫌な予感がする…神崎さんの口から…私が…最も…恐れた…言葉を言いそうな…そんな予感が…
「…春香さんって………何か俺たちに隠し事…してない?」

「っ!…なわけないじゃん…」

(やっぱり……でも…私のことは何がなんでも隠さないといけない)

何がなんでも…あのことは隠さないと…
「だって…『あの人に』そう…言われたから…」

「……だから、何を隠してるの?あの人って誰?」

「…え?よく分からないけど…春香ちゃん…どんなことなの?…」
もう、限界だ…私はずっと隠してきたのに…
『もし、知られそうになったら…その人達を…殺すんだよ?…いい?』
あー、そうだ。そうだった。私は…そう言われたんだ…
その時が今なんだ…
(…殺さないと…)

「………さないと…」

「え?春香ちゃん?」

「どうしたんですか?」

「春香さん?顔色わりいぞ?」
そのために私は…ずっと隠してきたんだ…人を…大切な人を…殺したくないから…
でも、知られたのなら…仕方がない。

「…殺さないと…」

「「「っ!」」」


その日…

私は…あの頃の…

忘れていた記憶を…

全て思い出した…

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恋愛らしい恋愛…全然書いてないな…
すみません!
これからは書きます!

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