君なんてダイキライ!

那月 綾

出会いは2度まで

 〈プロローグ〉

恋愛とか青春とか
私には、興味の無いことだった。
友達が恋愛のことを話していても私は笑ってるだけで…
そんなこと、興味ないよと思っていた
いつからか私は、何もかもどうでもいい
と思うようになった。
平和で充実出来る生活を送れることで私は、十分満喫出来る。

 よく、先生や親から
『…空っぽだな…』
 と言われる…でも、私は気にもしなかった。親や先生が言うのなら仕方ないと思ったから…

…空っぽだな…

私には、その言葉がまるで
(感情がないただの人形と同じだ…)
と言われているようで嫌だった…
多分、それは本当の事だろう。
自分でも、そう、思うことがあるから…

〈出会い…〉

20××年4月、桜が満開に咲く頃、私
秋山 春香(あきやま はるか)は櫻白学園(さくらしがくえん)に入学した。
中学の友達は地元の高校にいて、私一人だけ、東京の高校に行けた。
…これが世にいう、ぼっちという事なのだろう…。
親は共働きでよく一人になることが多い。そのため、一人は慣れている。
「はぁ、だるい…」
学校と言うものは嫌いだ。
恋愛とか出会いとか青春だとか先生達はそう言うが、実際は何の意味もない。
「……それじゃ、学級委員は秋山さんで決まりましたー。」
「…え?…ま、待ってよ…」
ずっと窓を見て関係ないことを考えていた間に、何故か学級委員になってしまった。
「相手の意見も聞かないで勝手に決めないで…」
私は学級委員にだけはどうしてもやりたくなかった。
理由は簡単だ。
(…めんどくさい!)
私はめんどくさいことが一番嫌いなのだ。
「でも、決またので…」
「え、…で…で、も」
「決まってしまったのは事実ですから…」

              結果…
「学級委員になりました。秋山春香です。よろしくお願いします。」
私が学級委員になりました…。
(ほぼ…強制だよね?脅迫してきたよな!)
最悪だ…学級委員にだけはなりたくないと今までずっと気をつけていたのに…
一生の不覚…
それに、学級委員って何やるんだ?
「…初めてやるからよく分からん…」
それを聞いていた副学級委員はこの後、いろいろとフォローしたり助けてくれた。
「…ふー…あ、あの、今日はありがとうございます…えーっと」
「大和だよ…明井大和(あけい ひろかず)。よろしくな、春香さん。」
「うん、よろしく、大和さん」
何やかんやで最初の友達が自然的に一人出来ました。


下校時間、私は一人で帰った。
大和さんは先生に呼び出されて一緒には帰れなかった。
「今日は一緒に帰れないや…ごめん!明日一緒に帰ろ?」
「うん、いいよ!じゃぁ、また明日!」
今日はいろいろあって疲れた…
私は気分転換に桜が満開に咲いている道へ遠回りした。
今日は珍しく人が少ない…と言うより、歩いているのは私しかいなかった…
「綺麗…」
私は一本の桜の木に足を止めて、口からポロリと言った。
(今日はよく一人になるなぁ〜)
私はそう思った。だが、私と逆に桜の木は違う…桜の木は一人では無い…
横にも前にも、桜の木は並んでいる。
仲間や家族がずっとそばにいるんだ…
(いいなぁー…)
私は、桜の木に少しだけ羨ましいと思った。
前に向き直ると、そこに一人の男が私の方を見ていた。その男はおなじ学校の制服を着ていて、大体同い年の子だった。
私が、歩き出すと男は急に走り出しどこかへ行ってしまった…
(?…なんなんだ?……)
遠かったからよく見えなかったけど、少し綺麗な顔だったような気がした。
「帰ろ帰ろぉ〜」
一体、あの人は誰だったんだろうか。
私は考えるのをやめ、少しだけ歩く速さを遅くした。
今日は、よく一人になったり、学級委員になったり、自然的に友達が一人出来たり、知らない男がこっち見てきたりと散々でよく分からない日だった。
「くんくん…あ、今日はハンバーグ作ろ!」
できれば、明日は平和でありますように…

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品