人工知能な女の子

伊吹若葉

提出の火曜日

  今日も朝からセンカと教室で話をしていた。センカと一番ゆっくり話ができるのがこの時間だから僕はかなり朝が好きになっていた。


「ところでセンカ、今週末なんだけど」


昨日調べたことの話をしようと切り出すとセンカは不思議そうに、今週末?と繰り返した


「そうだよ今週末。遊園地に行く話。スーパーAIでも忘れたりするんだね」


いつもいいようにされているからここぞとばかりにからかってみた。


そうするとセンカはため息をついてスケジュール帳を僕に見せてきた。


「…ご存知かとは思いますが来週はテストですよ。普通でしたらテスト後の週末に行きますよね?」

…え。


驚きのあまりそれしか言葉が出なかった。

「うわっ。まさか来週にテストがあると知らなかったんですか。」
哀れみの表情とも侮蔑の表情ともとれる顔でセンカはこちらを見る。


「勉強します。遊園地はセンカの言う通りテスト後でお願いします」


自分の席に戻ろうとする僕に彼女が「ナルセさん」と声をかけてきた。


「テストの日にちを忘れてスーパーAIをからかえるんですからきっと余裕なんでしょうけど、お互い頑張りましょうね。」


  少しからかったつもりが倍返しにあって笑うことしかできなかった。そしてこれを言った時の彼女は間違いなく今までで一番の笑顔だった。

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