34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました
第76話 ソニアとシルク(26)
シルクは肉体からの記憶の中にいた。 
ハイゼンの息子に乱暴されてからは地獄の様な生活だった。
シルクはすでに頼る者のない身、生かすも殺すもハイゼン親子の意のままになっている状態だったのだ。
ハイゼンの妻は病気と称して別宅で遊び放題していたので、夫と息子が何をしようと御構い無しだった。
そんな生活の中、ついに恐れていたことが起こってしまった。シルクはハイゼンの息子の子供を妊娠してしまったのだ。
その時、息子には婚約者が決まったばかりだったので都合が悪くなり、かなり酷い方法でシルクを流産させてしまった。
(この時のことがもとで…シルクの身体は傷付いて、その後死産を繰り替えすようになったのかもしれない…。)
今のシルクは悲しい気持ちで記憶を見ていた。
生きる気力をなくしてしまったシルクに、ハイゼンは更なる追い討ちをかける。
「王が妃を決めようとしている。その候補となり、王を殺せ。でないとお前は一生、息子の妾として生きていくしかないのだ」
と。
一刻も早くこの恐ろしい場所から逃げ出したかったシルクは了承してしまった。
ハイゼンは、王の座の後釜を狙う勢力と繋がりがあり、戦わずして暗殺してしまえば権力を手に入れることが出来る立場だった。
シルクは途方に暮れながらコナンの城に向かう馬車に揺られている…。
………
意識が戻り、今のシルクはソニア、デュラン王、ミダに肉体を通して見たことを話した。
「憐れなシルク様…。まだ14歳だというのに、そんな辛い目に遭われたいたとは…。」
「では…シルクに薬を飲ませたのは?」
「それは、私です。」
ミダが言った。
「ミダさんだったの?!」
驚く一同。
「あの日、シルクの意識の封印、という予言が降りてきました。
ハッキリとした目的は分からなかったのですが、シルクには王暗殺の予言も降りていたので、実行しました。
あれは、未来の私からの啓示だったのですね。
意識を肉体から切り離し、他の空間に封印することができる薬を飲ませたのです。」
「じゃあ、ボクをシルクの身体に入れるために…」
「そうです。」
「でも…やっぱりボクは未来をどうやって変えればいいか分からないよ…。
王様が他の姫と結婚したとしても、シルクは不幸なままだ。」
「シルク様。」
ソニアがシルクに向き合った。
「私がおります。私が、これから何があろうとも、シルク様と共にあり、お守りいたします。
私は、あなたのためなら何だって出来る。
何千何百の敵を殺すことも、自らの命を捨てることも。」
「ソニアさん…!!」
虐殺の過去…未来…ソニアは確かにシルクを愛して、大勢の命を奪ったのだろう。
神様には許されないほどの愛。
シルクは泣きたいほど嬉しかった。
ソニアさんが、自分とずっと一緒だと言ってくれたことが。
自分が、男としてソニアさんを守ってあげられればどんなにいいだろう。
愛する人と、ずっと一緒にいられることほど、
この世に、
幸せなことがあるだろうか。
「なりません。」
ミダが無情な一言を発する。
「…どうして?!」
「あなたは何度となく言われているはずです。
〝王の子を産むのだ〝
と。
理由は分かりませんが、シルクが王の子を生まない未来もまた、絶望しかないのです。」
「そんな…!」
「一つだけ、シルクを救う手立てがあります。
過去のシルクを救うのです。
父親を殺される前の時に遡り、不幸を止めるのです。」
「また、過去に行くの…?!」
シルクはもう自分には無理だと思った。
心も体も辛すぎる。
「私と、魔女の森のシータの力を使えば、1度だがあなたを過去に飛ばすことができます。
ただし、クロやシルクの身体ではもはや負担が大き過ぎる。
あなたの、真の姿であれば、耐えることが出来るかもしれません。」
「ボクの、真の姿…?」
それは、34歳気弱なサラリーマン、川合正十のことを意味していた。
ハイゼンの息子に乱暴されてからは地獄の様な生活だった。
シルクはすでに頼る者のない身、生かすも殺すもハイゼン親子の意のままになっている状態だったのだ。
ハイゼンの妻は病気と称して別宅で遊び放題していたので、夫と息子が何をしようと御構い無しだった。
そんな生活の中、ついに恐れていたことが起こってしまった。シルクはハイゼンの息子の子供を妊娠してしまったのだ。
その時、息子には婚約者が決まったばかりだったので都合が悪くなり、かなり酷い方法でシルクを流産させてしまった。
(この時のことがもとで…シルクの身体は傷付いて、その後死産を繰り替えすようになったのかもしれない…。)
今のシルクは悲しい気持ちで記憶を見ていた。
生きる気力をなくしてしまったシルクに、ハイゼンは更なる追い討ちをかける。
「王が妃を決めようとしている。その候補となり、王を殺せ。でないとお前は一生、息子の妾として生きていくしかないのだ」
と。
一刻も早くこの恐ろしい場所から逃げ出したかったシルクは了承してしまった。
ハイゼンは、王の座の後釜を狙う勢力と繋がりがあり、戦わずして暗殺してしまえば権力を手に入れることが出来る立場だった。
シルクは途方に暮れながらコナンの城に向かう馬車に揺られている…。
………
意識が戻り、今のシルクはソニア、デュラン王、ミダに肉体を通して見たことを話した。
「憐れなシルク様…。まだ14歳だというのに、そんな辛い目に遭われたいたとは…。」
「では…シルクに薬を飲ませたのは?」
「それは、私です。」
ミダが言った。
「ミダさんだったの?!」
驚く一同。
「あの日、シルクの意識の封印、という予言が降りてきました。
ハッキリとした目的は分からなかったのですが、シルクには王暗殺の予言も降りていたので、実行しました。
あれは、未来の私からの啓示だったのですね。
意識を肉体から切り離し、他の空間に封印することができる薬を飲ませたのです。」
「じゃあ、ボクをシルクの身体に入れるために…」
「そうです。」
「でも…やっぱりボクは未来をどうやって変えればいいか分からないよ…。
王様が他の姫と結婚したとしても、シルクは不幸なままだ。」
「シルク様。」
ソニアがシルクに向き合った。
「私がおります。私が、これから何があろうとも、シルク様と共にあり、お守りいたします。
私は、あなたのためなら何だって出来る。
何千何百の敵を殺すことも、自らの命を捨てることも。」
「ソニアさん…!!」
虐殺の過去…未来…ソニアは確かにシルクを愛して、大勢の命を奪ったのだろう。
神様には許されないほどの愛。
シルクは泣きたいほど嬉しかった。
ソニアさんが、自分とずっと一緒だと言ってくれたことが。
自分が、男としてソニアさんを守ってあげられればどんなにいいだろう。
愛する人と、ずっと一緒にいられることほど、
この世に、
幸せなことがあるだろうか。
「なりません。」
ミダが無情な一言を発する。
「…どうして?!」
「あなたは何度となく言われているはずです。
〝王の子を産むのだ〝
と。
理由は分かりませんが、シルクが王の子を生まない未来もまた、絶望しかないのです。」
「そんな…!」
「一つだけ、シルクを救う手立てがあります。
過去のシルクを救うのです。
父親を殺される前の時に遡り、不幸を止めるのです。」
「また、過去に行くの…?!」
シルクはもう自分には無理だと思った。
心も体も辛すぎる。
「私と、魔女の森のシータの力を使えば、1度だがあなたを過去に飛ばすことができます。
ただし、クロやシルクの身体ではもはや負担が大き過ぎる。
あなたの、真の姿であれば、耐えることが出来るかもしれません。」
「ボクの、真の姿…?」
それは、34歳気弱なサラリーマン、川合正十のことを意味していた。
コメント