34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました
第74話 ソニアとシルク(24)
多分、この3人の中で気が付いていなかったのはシルクだけで、
ソニアもデュラン自身も、デュランがシルクを愛してしまっていることに気が付いていた。
でなければ一緒に森に逃げるなどと危険なことはしないはずである。
「ハンスさんが…デュラン王がボクを?!」
シルクだけが意外すぎる自体に酷く驚いた。
しかしすぐに、事の重大さに気付く。
「だ、ダメです、デュラン王!ボクたちが…王様がシルクと結婚するととんでもない不幸が始まるんです!
どうか、他の姫を選んで下さい!!」
「出来ないよ、シルク。
ボクはキミを見てきて、キミと話して、キミが好きになっていたんだ。
じゃあキミには出来るのかい?
愛する人を愛する事をやめることが。」
「それは…」
シルクはチラリとソニアを見る。出来るわけない、って事はもう分かっていた。
愛する人は世界を変えるんだ。
シルクの中の人である気弱なサラリーマン、今まで本当に人を愛したことがなかったんだと、ソニアに出会ってから気が付いた。
自由がなくなるから結婚したくない、自信がないから子供なんて欲しくない。
違う。違ったんだ。
本当に誰かを愛したら、そんな事は関係なくなるんだ。
愛する人の全てが、生きている意味の全てになる。
だって心臓が、鼓動がそう言っている。
もし、ソニアさんとの未来にとてつもない不幸があると分かっていたとしても、きっと愛してるってことを止めることなんて出来ない。
「…そうだね、ごめんなさい。」
デュラン王はシルクを抱きしめた。
「シルク…。キミはソニアを愛してるの?」
なんと言って答えればいいのか分からない。
ソニアも複雑な表情をしている。
「少なくとも、ボクのことを愛してるわけじゃなさそうだね」
デュラン王は少し笑った。
「それにしても、さっきの話だとキミはシルクの身体を借りた、って言ってたよね?
ホントのキミの身体はどこにあるの?」
34歳サラリーマンの方の話は説明がややこしくなりそうなので、シルクはクロちゃんである自分の事を説明した。
「そうか…未来に、9年後にあるのか…。不思議だなぁ。」
「あ、でもボクが中に入っちゃったせいで、シルクさんの外見もかなり変わっちゃってます。
ホントのシルクさんは、もっと茶色の髪で、胸が小さいです。」
「やっぱり!最初に見た時と印象違うなぁと思ってたんだよ。」
王は妙に納得した後、
「ボクが愛したのは、どちらのシルクなんだろうな。」
と呟いた。
「でも、これで分かった気がするよ。」
「何がですか?」
ソニアとシルクが同時に聞く。
「ボクを殺そうとした犯人…」
「そうだ!犯人のこと分かってるんですよね?!
どのお姫様なんですか?」
シルクは王の返事を興味津々、キラキラした瞳で待つ。
「犯人は
キミだよ
シルク。」
一瞬の沈黙…
…
……
………
あまりの意外な答えにシルクは暫く声が出なかったが、やがて
「ええてええええーーーーーーっ!!」
と絶叫した…。
*****
「お待ち下さい、デュラン王!
よもやシルク様が王を殺そうなどと、ありえませぬ!ありえませぬ!」
ソニアはシルクをかばうように前に立った。
「ソニアさん…」
紅い髪が揺れるその背中に胸が熱くなるシルク。
「私も、信じられなかった。
今のシルクでは到底考えられないことだからね。
でも、心が入れ替わっているとしたら納得できるんだ。
キミは私を殺しにきたシルクではないのだから。」
「そんな…王様、シルクが王様を殺しにきたという証拠はあるのですか?!」
今のシルクは複雑な思いで反論する。
デュラン王は一通の手紙を取り出した。
「シルクの叔父で養父のハイゼンが、シルクに当てて書いた手紙だ。
シルクに届く前にミダの予言によって運び屋から奪い取ったもの…」
「手紙…」
シルクは恐る恐るその手紙を読んでみる。
ソニアもデュラン自身も、デュランがシルクを愛してしまっていることに気が付いていた。
でなければ一緒に森に逃げるなどと危険なことはしないはずである。
「ハンスさんが…デュラン王がボクを?!」
シルクだけが意外すぎる自体に酷く驚いた。
しかしすぐに、事の重大さに気付く。
「だ、ダメです、デュラン王!ボクたちが…王様がシルクと結婚するととんでもない不幸が始まるんです!
どうか、他の姫を選んで下さい!!」
「出来ないよ、シルク。
ボクはキミを見てきて、キミと話して、キミが好きになっていたんだ。
じゃあキミには出来るのかい?
愛する人を愛する事をやめることが。」
「それは…」
シルクはチラリとソニアを見る。出来るわけない、って事はもう分かっていた。
愛する人は世界を変えるんだ。
シルクの中の人である気弱なサラリーマン、今まで本当に人を愛したことがなかったんだと、ソニアに出会ってから気が付いた。
自由がなくなるから結婚したくない、自信がないから子供なんて欲しくない。
違う。違ったんだ。
本当に誰かを愛したら、そんな事は関係なくなるんだ。
愛する人の全てが、生きている意味の全てになる。
だって心臓が、鼓動がそう言っている。
もし、ソニアさんとの未来にとてつもない不幸があると分かっていたとしても、きっと愛してるってことを止めることなんて出来ない。
「…そうだね、ごめんなさい。」
デュラン王はシルクを抱きしめた。
「シルク…。キミはソニアを愛してるの?」
なんと言って答えればいいのか分からない。
ソニアも複雑な表情をしている。
「少なくとも、ボクのことを愛してるわけじゃなさそうだね」
デュラン王は少し笑った。
「それにしても、さっきの話だとキミはシルクの身体を借りた、って言ってたよね?
ホントのキミの身体はどこにあるの?」
34歳サラリーマンの方の話は説明がややこしくなりそうなので、シルクはクロちゃんである自分の事を説明した。
「そうか…未来に、9年後にあるのか…。不思議だなぁ。」
「あ、でもボクが中に入っちゃったせいで、シルクさんの外見もかなり変わっちゃってます。
ホントのシルクさんは、もっと茶色の髪で、胸が小さいです。」
「やっぱり!最初に見た時と印象違うなぁと思ってたんだよ。」
王は妙に納得した後、
「ボクが愛したのは、どちらのシルクなんだろうな。」
と呟いた。
「でも、これで分かった気がするよ。」
「何がですか?」
ソニアとシルクが同時に聞く。
「ボクを殺そうとした犯人…」
「そうだ!犯人のこと分かってるんですよね?!
どのお姫様なんですか?」
シルクは王の返事を興味津々、キラキラした瞳で待つ。
「犯人は
キミだよ
シルク。」
一瞬の沈黙…
…
……
………
あまりの意外な答えにシルクは暫く声が出なかったが、やがて
「ええてええええーーーーーーっ!!」
と絶叫した…。
*****
「お待ち下さい、デュラン王!
よもやシルク様が王を殺そうなどと、ありえませぬ!ありえませぬ!」
ソニアはシルクをかばうように前に立った。
「ソニアさん…」
紅い髪が揺れるその背中に胸が熱くなるシルク。
「私も、信じられなかった。
今のシルクでは到底考えられないことだからね。
でも、心が入れ替わっているとしたら納得できるんだ。
キミは私を殺しにきたシルクではないのだから。」
「そんな…王様、シルクが王様を殺しにきたという証拠はあるのですか?!」
今のシルクは複雑な思いで反論する。
デュラン王は一通の手紙を取り出した。
「シルクの叔父で養父のハイゼンが、シルクに当てて書いた手紙だ。
シルクに届く前にミダの予言によって運び屋から奪い取ったもの…」
「手紙…」
シルクは恐る恐るその手紙を読んでみる。
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