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34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第68話 ソニアとシルク(18)

魔女の家に入るシータとシルク。

ドアのすぐ外にはソニアが立っている。

掃除の時、シルクは入り口のすぐそばの部屋にしか入っていなかったが、今回は奥の部屋に連れていかれた。

最初の部屋は物が沢山あって片付けていなかったのに、奥の部屋は大きいベッドとサイドテーブルぐらいしかなくて随分スッキリしていた。

(ここならお掃除も楽だな)
とひそかに思うシルク。なにせ掃除は自分の仕事だ。

そのほか、いくつか部屋があるみたいだが全て閉じられていて中が見えない。

シルクが覗こうとすると、どこかの部屋から

ググググ…

という不気味な声が聞こえてきた。

「わっ!」驚いて後ずさる。

「勝手に動くな。こっちへ来い。」
シータは面倒くさそうにシルクの腕を引っ張った。



「シータさん、ミダさんって知ってる…?2人の顔がそっくりなんだけど…」

古くて頑丈そうな椅子に腰掛けながらシルクが聞いた。

「ミダか。同じ日の同じ時刻に、同じ腹から生まれたこと以外は知らぬ。」

「同じ日の同じ時刻に…同じ腹…

ってことは、双子なの?!」

「そうだ」

思えば、こんな超美形が2人同じ顔でいるわけがないので双子だというのはもっとも納得出来る答えなのだが、なんだか不思議だった。

預言者と魔法使い、というのも似てるではないか。

「どうしてシータさんは、魔女の家に…?」

「預言者ミダは一子相伝の才能。オレは本来、殺されるはずだった。
しかしオレを食い殺すはずだったブルーライオンがここへ連れて逃げてきた。」

「ブルーライオン?」

ググググ…

さっきのうめき声がすぐ後ろから聞こえてきた。


シルクが、そーっとそーっと振り向くと、

そこには

大きな大きな、今まで見た中で1番大きくて立派なブルーライオンがいた。

「ブルーライオン…さん…」

シルクはもうさして驚きもせず、マジマジと巨大なルーライオンを見る。目線の高さがシルクと同じだ。

(モニカたちの知り合いというか親戚?祖先?だろうなぁ)

それにしても本当に立派なブルーライオンで、体の大きさは元より、豊かなタテガミは銀色が混ざっていて波のようにうねり、少し動いただけでも美しく輝く。

その瞳は確実に知的な光が宿っていて、今にも語り出しそうだ。ずいぶん年を取ったブルーライオンかもしれない。

「どうした、ソード。お前が自らやってくるとは珍しいな。」

シータは面白そうに尋ねた。

「長年、この客人を待っていたのだからな。」


「喋った!」

「待っていた?」

シルクとシータはほぼ同時に言う。

(ど、動物さんが喋るのは、この世界ではたいして珍しくないか…。それよりも…)

「あの…僕を待っていたって、どういうことですか・・・?」

「このシータが生まれたばかりの時、喰い殺せと言う王の命令に逆らいここに連れ去り育てたのも、お前を待つためだった。」

「どうしてボクを・・・?」

「この小さな世界を救うのはお前だからだ。異なる小さな世界から来た者よ。」

「ぼ、ボクには世界なんて救えません・・・!」
シルクは困惑した。
”異なる小さな世界から来た・・・”とソードは言ったが、どこまで正十の、クロちゃんの、シルクのことを知っているのだろうか。
”世界を救う・・・”救えるわけない。自分だって救えていないのだから。

「背中にオレが焼き付けた魔法陣があるやつが、世界を救う?」
ソードの言葉にシータは鼻で笑った。

「ボクはソニアさんを救うんだ!世界なんか知らない!」
シルクはカチンときて叫ぶ。

シータはシルクをベッドに押し倒した。
「まあ、どうでもいい。世界がどうなろうと、お前がどうなろうと、オレにはどうでもいい。
喰う、寝る、抱く・・・手軽な快楽がすべてだ」

「やめろシータ。その女は王の子を生む」ソードが睨む。

「そうか。それが運命ならオレが何回やっても孕むことはないだろう。」

ガオオオ

ソードが吠えるより早く、シータは魔法を唱えシルクと共に消え去った。


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