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34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第64話 ソニアとシルク(14)

「そんなぁ・・・ハンスさん・・・」
おなかペコペコ状態なので情けない声を出すシルク。

「困ったなぁ。町まで戻るには遠すぎるし、この辺りには・・・。あ・・・。」

「なにか、あるんですか?」

「うん。噂で聞いたんだけど、森の奥の魔女は、お金さえ払えば美味しいパンと肉を分けてくれるって。」
「え・・・魔女・・・」

2人は顔を見合わせる。

グーグーとお腹が鳴る。

”美味しいパンと肉”と言うワードは今のシルクには魅力的過ぎた・・・油断すると口の端からヨダレがこぼれ落ちる。

「は、ハンスさん、こなったら行きましょう!それで、今日のところはお金を払ってパンと肉だけを頂いてすぐさま帰りましょう・・・!じゅる・・・」

馬車の馬を外して、その馬に二人乗りで森の道を行く。
ハンスは庭師のおじさんだが、馬に乗る姿がとても様になっていた。髭面の見かけよりもずっと若いのかもしれない。綺麗な姿勢で、腕の中にシルクをすっぽりと入れてくれた。

その姿勢だと、シルクの大きな乳房がハンスの腕に乗っかってしまうのだが、(中の中がおっさんの)シルクはたいして気にならなかった。手綱を持つハンスの手が少し緊張で硬くなってしまうだけだ。
ハンスは少し赤くなりながら、ごまかすようにシルクにあれこれ話しかける。

腕の中の可愛らしい小さな少女は、だいたいの答えを少女っぽくなく、予想外に面白く返すのだった。

柔らかい肉の感触、そして人のいない森の中に二人きり。
今この少女を草むらの上に押し倒して欲望の限りを尽くしても、止めるものは誰もいない。

そんな事もありうるのだと、この子は考えて自分についてきているのだろうか?
ハンスは自分らしくない考えに支配されそうになるのを頭の中でせき止めた。

もしかして、魔女の仕業かもしれない。

そんなハンスの葛藤を全くシルクは気付かすに二人を乗せた馬は進んだ。



さて、森の奥と言っても意外と近く、馬で30分ぐらい行ったところに魔女の小屋が見えてきた。

いかにも魔女がいそうな小屋は、青く深い湖のほとりにある。

「ハンスさん・・・・。着きましたね・・・。」
シルクは恐る恐る、馬を降りてハンスの背中にへばりついて歩く。

「とりあえず行ってみよう」

黒く塗りつぶしたドアの前には、まじないに使うのかいろんな色の石をリースにして掛けてある。

トントン

ハンスがドアを叩いた。

トントントン

また叩いた。返事はない。

トントン

今度は小さな手でシルクが叩いた。

バタン!!

「わあっ!!」

シルクが飛び上がるほど突然、黒いドアが開く。

「わわわわわ、あの、あのっ」

中から、これまたいかにも魔女っぽい、フード付きのマントを被った女が出てきた。

顔は紫のフードに8割覆われていて全く見えないが、背が高く痩せていて、髪が長い。

チラチラ除く瞳は綺麗な透明感がある緑色と青色。

慌てすぎて言葉にならないシルクの代わりにハンスが話しかける。

「こんにちは。こちらで、パンを分けて下さるとお聞きしたのですが。」

「パンが欲しいのか?」(魔女の声は想像より美しかった)

「私たちはお腹がひどく空いているのです。出来れば肉も分けていただきたい。」

魔女はやたらとシルクの方を見る。シルクはコクコクと高速で首を縦に振ることしかできなかった。

「よろしい。この可愛い娘のためとあらば、食べ物を分けてあげよう。」

どうやらシルクは気に入られたようである。まだまだ魔女は怖いが、ここはサラリーマン(中の中の人)の営業スマイルを出しておいた。

魔女は他には何も聞かず、2人をドアの前に立たせたまま、奥の部屋からパンと肉を持ってきた。

パンなどはどういうわけか焼きたてで、滅茶苦茶良い匂いがする。

シルクの口の中はヨダレで一杯になった・・・(早くあの焼きたてパンにかぶりつきたい・・・)

「ありがたい。おいくらですか?」
ハンスが聞くと、魔女はパンと肉を布袋に詰めながら答えた。

「6オーロでいいよ。ワインもつけるなら10オーロだ。」

それが高いか安いか分からないシルクは、お任せしますとばかりにハンスを見た。

ところがハンスは”こりゃまずい”という顔をしている。

「困ったな・・・お金も忘れた・・・」


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