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34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第52話 ソニアとシルク(2)

ソニアが家に帰り、ひと時の平穏を味わっていた時、少し遠方でコナンとカナンの間に大きな戦いが勃発した。

終わりの見えない戦い、城の兵士はどんどん減り、戦いに慣れていない民間人が駆り出される。

ソニアより先に傭兵としてコナン軍に参加していたゴードンは、戦場を途中で抜け出し、ソニアに忠告をしにきた。
「ソニア、今回戦場に行くのはよせ。」
いつもふざけているのに、真剣な表情のゴードン。
「どうした?なにかあったのか?」

「あそこは地獄だよソニア。戦えない農民が戦わされているから悲惨なことになっている。特に、年端も行かない子供が多くてな・・・。見ていられない・・・。」

ソニアは考え込んだ。今回の報奨金はいつもの倍額と聞いている。ここで一儲けしたら、しばらく行かなくていいのだ。
母親の容態も悪くなる一方なので、良い医者に見せてやりたい。

でも確かに、すぐ下の可愛い弟ジョーと歳も変わらぬ少年を殺せるだろうか。
ソニアは迷っていた。

「ソニア、とにかくお前は行くな。オレが戦場に戻って十分稼いできてやる。・・・そして・・・もしこの戦いが終わったら・・・・・・・・
ソニア、オレも一緒に、お前の兄弟たちを育てさせてくれないか。
そして畑を広げて・・・いっしょに・・・」

ソニアは最初、ゴードンが何を言っているのか分からなかったが、すぐにプロポーズされていることに気が付いた。

「ゴードン・・・お前・・・。」
「・・・・・」
「うん、お前ならいい兄貴になりそうだ。・・・いい父親にもな。」


「・・・」
「・・・え、・・・?え?父親?!」

ゴードンはソニアの返事の意味知り小躍りし始めた。

「いいのか?いいのか?やった!やった!やった!」
ゴリラみたいに胸筋を、力強く傷だらけの両こぶしで叩きながらグルグル回っている。

「やめろゴードン。恥ずかしいぞ」
「いいじゃないか!嬉しいんだ!躍らせろ、躍らせてくれ!あの紅のソニアがオレの女房になってくれるんだ!!こんな嬉しいことがあるか!」

その騒ぎに兄弟たちがなんだなんだと駆けつけて、理由を聞いてその小躍りの輪に加わった。

ソニアもやれやれと思いつつ、今まで自分一人で背負ってきた大きな荷物を、ゴードンがヒョイと持ち上げてくれるような気がして嬉しかった。
彼となら、何をしてもみんなと生きていけるだろう。


幸せな日だった。


ゴードンが戦場に戻っている間、ソニアは簡素ながら婚礼の支度をしていた。

白い布を探してドレスを縫う。
ソニアは裁縫はドからきしダメだったので、妹たちに協力してもらった。

もともと美しいソニアだったが、髪をとかし、紅を引き、ドレスを着ると、田舎町にはとてもいそうにないほどの美しい女性になった。

母親はかたくなに自分を乱暴して妊娠させた男、つまりソニアの本当の父親の名前を言わなかったが、身分の高い人物らしかった。

並外れた剣の腕と美貌は父親譲りなのであろう。

ソニアが糸を買いに町に出た時、雑貨屋のオヤジがいやらしい目でソニアを見ながら言った。

「なんてベッピンさんなんだろうね!お前さんが花の宿にいたら、オレは毎日通うぞ。
そんな男が列をなすだろうよ・・・お前さんは気持ちのいい思いをして大儲け、女はいいねぇ!」

花の宿・・・この町の売春宿のことである。その時のソニアは、下劣な男を一瞥しただけだった。


それから数日後、ソニアのもとに知らせが届いた。



ゴードンが戦場で死んだと。




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