34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第47話 ソニアの襲撃

「眠っている女に手を出そうなどとは、男の風上にも置けぬ奴だな。」

部屋の入口から声がして、ロックは冷水でも浴びせかけられたかのようにクロちゃんの上、ベッドから飛び降りた。
いつの間にか扉の内側にソニアが立ってこっちを見ている。

「ソニア・・・!何の用だ」

「いや・・・今の行為を続けてもらっても構わないのだが、手っ取り早い方がいいな。
お前たちには死んでもらう。」

「なっ?!」

ソニアは腰の剣を抜いて構えた。青光りした刃先がロックをとらえる。

「なぜオレたちを殺す?王はクロに、王妃を慰めて欲しと言ったんだぞ!」

「その王妃様が、クロがいては不幸になるのだ。王妃様はわが命、我が全て。
大人しく死ね!」

ガキッ!

ソニアが降り下ろした剣を、ロックが椅子で素早く受け止める。

幸いにも椅子は鉄製で足が長かったので、何回かは対抗できた。その度に鉄は欠け、チィインと凄まじい音を立てる。
さすがのクロちゃんも何事かと目を覚ました。

起きてすぐに目に入ったのは、ソニアの流れるように揺れる紅い髪。

「ソニアさん・・・?」

目が合った瞬間、ソニアはロックからクロちゃんにターゲットを変えて一直線に向かってきた。

「わーーー!」

「ミーーー!!!!」

ソニアの剣を寸でのところで止めたのは、ブルーライオンのモニカだった。

一人前のライオンのような立ち姿でソニアを威嚇する。

「ミー!!!」
「も、モニカ・・・」
クロちゃんは、もちろんライオンの言葉は分からないけど、モニカが全力で自分を守ってくれているであろうことは分かった。
「え・・・?ソニアさん、どうしてこんなことをしてるの・・・?」

可愛い子ライオン、王妃のお気に入りに阻まれては、剣を収めないわけにはいかないソニア。

「・・・命だけは助けてやる。そのかわり今夜のうちにこの城から2人で出ていってくれ・・・。そして出来るだけ遠くに行け。」

「ソニアさん、何があったんですか?ボクは王妃様の話し相手を頼まれたんじゃ・・・。」

「シルク様はクロのことを気に入られた。しかし、気に入り過ぎて王の側室にと望まれたのだ。」

「そくしつ?」
にわかには意味が分からないクロちゃん。ロックはひどく驚いている。「側室ぅ?!」

「え?」
「わからないのか馬鹿!要するに、王の愛人だよ!」
「下世話な言葉を使うな!」

3人はそれぞれの思いを胸に黙り込む。
(愛人?王様の?それをあの王妃様がボクに望むんだってどういうこと?!てかボク寝起きすぎて頭の整理がつかない~~)
(クロを側室だと?女なんか腐るほどいて選びたい放題の立場なのに、どうしてよりにもよってクロなんだよ!)
(・・・・・)←これはソニア

しかし、クロちゃんとロックには、虐殺を止めるという使命があるので城から出ていくわけにはいかない。
それに、村人を殺し、最後の一人として自ら命を絶つのはソニアなのだ。

王妃よりもソニアをほっておくことは出来ないと思う。

「さあ、選べ!今すぐ出ていくか、ここで切り殺されるか!!」

「えええ・・・」

こうなったら全てを話してみるか、とロックと目で合図をしたとき、「あ!」とクロちゃんが大声を上げた。

「そうだ!」

「なんだ?!」イライラした様子でソニアが聞く。

「ミダ!この時代にも預言者ミダがいるはず!!!ミダに話があります、会わせてください!!」
預言者ミダになら、この状況でどうすればいいのか相談できそうな気がした。

「ミダ・・・か・・・。」
ソニアは分かりやすく困った顔をした。
「今のミダはどうしようもない。酷い変わり者で、王家に代々使える身でありながら城を捨て、町で遊びまわっている。会いたければ町の酒場に行くがいい。」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品