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34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第43話 18年前の王

「ソニア・・・・」
ロックとクロちゃんは思わず顔を見合わせた。

コナンの女騎士、ソニアと言えば、54人の村人と5人の獣を虐殺した恐ろしい女ではなかったか。

クロちゃんは、目の前にいるとんでもなく美しい女性が、とてもそんな恐ろしいことをするとは思えなかった。


「庭の森で捕まえたのだが、ブルーライオンの子を持っていて殺すわけにいかなくてな。
どうするべきか、王の判断を仰ごうと思う。
とりあえずこの者たちを地下牢へ入れておいてくれ」

「え、また牢屋・・・」

と、少々クロちゃんがうんざりしていると、城の横の通路に置いてある馬車の影から1人の男が出てきた。

「デュラン様!」
ソニアと兵隊が深く頭を下げる。どうやらこの男は王様らしい。

デュラン王は、体格のいい、筋肉質で日に焼けた肌を持つおおらかそうな男だった。

王様の割には着飾った格好もしていない。綿のシャツとズボン、仕立ては良さそうだがそれだけだった。


「この子たちはどうしたの?」
まるで親戚のお兄さんのようなしゃべり方だ。

「デュラン様、この者たちは庭の森に勝手に侵入しておりましたので捕まえました。
すぐに殺してしまうつもりだったのですが、なぜかブルーライオンの子を持っていましたので・・・」

「子供?」

デュラン王の声に合わせたかのように、クロちゃんの胸元に隠れていたライオンの子が顔を出した。

「ミー」

「・・・・!!!」

デュラン王はクロちゃんの前にツカツカと近づく。

「ミー」

ブルーライオンの子が小首をかしげて鳴いた時、デュラン王の顔は 超メロメロ! になった。

「かかかか、かわい~~~~~!!!抱っこしていい?いい?」

でかい図体の王の見た目とその態度のギャップに驚いたが、クロちゃんはライオンの子をそっと差し出す。
「ど、どうそ・・・」

「デュラン様・・・・」
困り顔になるソニア。
「王は本当に小さくて可愛いものがお好きすぎる・・・」

子ライオンも王のことをじっと見つめて、特に嫌がってりしていない。

「まあ、良い。ではこの者たちは今のうちに切り捨てておきましょう。」
「ええっ!」

クロちゃんは、”ブルーライオンの子”という強力な人質を自ら手放したことにやっと気が付いた。

「まて!」
ソニアが剣を抜く前に王が止める。

「まあ、待てソニア。その子たちを殺さないでやってくれ。生かして、私の客人として迎えてやってくれ。」

「客人?どうしてですか?!」

デュラン王はチビのクロちゃんを見ながら、白い歯を出して二カッと笑った。

「小さくて可愛いから!」


*****


何となく助かって、城の中に通されるクロちゃんとロック。

「小さくもなくて可愛くもないロックは、ボクのおまけだからね!」
クロちゃんは憎まれ口をたたく。

「うっせえ!」
ロックはクロちゃんの頭をぺんっと叩いた。

「でも・・・18年前でも、城の中はあまり変わってないなぁ」
中身が不動産会社勤務のサラリーマンのクロちゃんは、ついつい建物の作りや間取りに目が行ってしまう。

城を作っている材料が石だったりレンガだったりするのと、からりとした気候、地震などがない環境のために、かなり長い間建物が持つのだろう。

王は2人に城で育ったというブドウやプラムみたいな果物を持って来てくれた。

(すごく良い人だなぁ)と思うクロちゃん。

ライオンの子と遊びながら、デュラン王はクロちゃんをジッと見つめる。
「君、名前はなんという?年はいくつだ?」

「クロと申します。えっと・・・14歳(ぐらいだと思います)です。」

「そうか、クロか。クロ、折り入って頼みがある。」

「え?頼み?」

「妻の・・・王妃の話し相手になってやってほしい。」




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