34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第41話 呪いの理由

「そう、ボクと一部の王族しか知らない事なんだが、王子は呪いによって病気になっているんだ。」

「王子はどうして呪われてるの・・・?」
急に背筋が寒くなるクロちゃん。

ミダはため息をついた。
「ま、呪われて当然のことをしたんだけどね。
王子自身は悪くないんだ。生まれる前の事だったのだから。」


ここからはミダの話。

オルガ王子の母の王妃は、オルガ王子を産むまでに4人の子供を死産していた。

王と王妃の嘆きは想像を絶するものだったという。

王妃は責任を感じて、王に側室を勧めて子を作るように進言したが、王妃を溺愛していた王はそれを拒否した。

そして5人目を妊娠した時、今度こそどうしても無事に産みたいと思った王妃は、森の魔法使いに相談した。

森の魔法使いは絶大な魔力を持っていたが、とても残忍な性格だったので周りにいた者は止めたのだが、王妃の決心は固かった。

魔法使いは言った。

”55の人間と5の獣の生贄を差し出せば無事にお子を産む事が出来るだろう”

と。

心優しい王妃はさすがにその犠牲を払う決心がつかなかったが、王妃の側近、女騎士ソニアが実行してしまったのだ。

55人が暮らしていた小さな村を5匹のブルーライオンたちに皆殺しにさせ、最後にライオンともども村に火をかけ燃やし尽くした。
ところが森の魔法使いが言うには、1人逃げ切ったらしく、人間の生贄が足りないという。

55人目の最後の1人して自らの命を差し出したソニア。


おかげで、王妃は無事にオルガ王子を産む事が出来た。


しかし、村から逃げた最後の1人が復讐のために、強力な呪いを王子にかけたのだ。

「王子は日々衰弱し、18の年に死ぬ」と。



・・・

「そんな・・・。じゃあもしかして、王子は・・・。」
「そう。もう王子は18歳におなりだ。早くしないと・・・。」

その時。
がっ!
と何かがクロちゃんの腕を掴んだ。

「ぎゃーーーっ!」

骸骨かと思ったそれは、オルガ王子の手だった。

オルガ王子はベッドに横たわったまま、青白い窪みの奥から目を開けてクロちゃんを見た。

「頼む・・・助けてくれ・・・」

「わわわ・・・ボクも王子をお助けしたいです!でもどうやって・・・」

「私じゃない・・・母を・・・55人と5匹の命を・・・最後の力をお前に託す・・・」

「王子?!」

王子が空中に何か指で描き呪文を唱えると、黒い部屋に、何か、黒い空間が生まれた。

最初は小さな何かだったものが、どんどん大きくなっていく。

ブラックホールみたいに。

「これは!あの時の!100年前のここに飛ばされた時と同じやつだ!」
「やばいぞクロ!逃げ・・・っ」

ロックがクロちゃんに触れた瞬間、黒い塊は2人を飲み込み、

縦に細くなったかと思うと消えてしまった。


ウオォン、ウオォン、とブルーライオンのモニカが、クロちゃんが消えた辺りに向かって吠え続ける。


しかしその声は暗闇に飲み込まれるように消えていく。

ミダは静かに祈り、オルガ王子は目を閉じた。

ここは魔法と呪いの黒い塔・・・。


*****


ドサッ

「いたっ!」

痛い、と同時に、

「まぶしいっ!」

クロちゃんはやけに明るい場所にいた。今まで暗すぎる場所をウロウロしていたので、眩しくて目が開けられない。

しばらくすると慣れて、辺りを見回す事が出来た。

「ここは・・・!」



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