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34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第39話 黒い部屋

「さあ、こっちに来て。」

黒の塔、廊下兼階段。何階かは分からない。

細長い塔らしく、各階には1部屋づつしかないようだ。
グルグル貝の中のような螺旋階段がかなり長く続いていく。

幅は人一人通るのがやっとで、時折窓が付いた小さな待避所みたいなところはあるが、休憩時間はなかった。

クロちゃんはミダに案内されてさっきから10分以上ずーーーっと塔を登らせられていた。ハアハアと息が切れまくりである。
もちろんロックとモニカも後ろについてきている。

「あああ・・・あとどのくらいで着くんですか?」
額から汗が噴き出しているクロちゃんが、堪らずミダに聞いた。

「え?あ、もう疲れたの?」
「超疲れました!!」

よく見るとクロちゃん以外誰も息は上がっていなかったが、ミダは仕方ないな、という感じの顔をしてピタっと止まった。

「じゃあ、そろそろ入りますか」
「え?」
「・・・・・・・・・・・・」
言葉に表せない呪文を唱えるミダ。

すると、階段の壁に扉が現れた。
「ええっ?!」
「ここが王子の部屋です。」
「もしかして、階段上らなくても来れた?呪文で出せた?」
ムカムカしながら聞くクロちゃん。

「そう。王子の部屋はどこにあるか決まっていない。呼ばれた者だけが入る事が出来る扉が望んだところに出現するんだ。」
「じゃあ早く望んでよーー!」
「静かに。」
ミダはプンプンに怒るクロちゃんを軽くあしらって部屋に入った。



「うわぁ・・・」
クロちゃんとロックは驚いた。
部屋の中が驚くほど真黒だったからだ。

床も黒、壁も黒、柱もベッドもシーツも黒。

「なんか、悪趣味・・・」
黒くないのはベッドのわきにある3本のろうそくと、ベッドに寝ているオルガ王子ぐらいだった。

王子の顔は白い骸骨に青い絵の具で色を付けたみたいで、生きている人間に見えない。

しかし、よく見るとシーツの下の胸元がかすかに上下しているので、生きているのが分かった。

恐る恐る近づくクロちゃん。
「王子は病気なの?」
ごく小声でミダに聞く。

「ああ、不治の病でおられる。昨日から容態が一気に悪化して、起きることすらお出来にならなくなってしまった・・・。
このままでは・・・」

(確かに、王子は出会った時ひどく痩せていたけど、・・・)
まだブルーライオンたちを従えて、広い庭を歩いていたオルガ王子。確かに、お腹が空かないと言って食事はほとんど取らなかったが・・・。

「いくらなんでも、こんな状態のヤツを治せるのかよ、クロ。」
ロックも小声で言った(つもりらしいが普通にみんなに聞こえるヤツ)。

「わからない・・・」
クロちゃんはそっとオルガの額に手を当ててみた。

(治れ、治れ・・・)

しかし、今までのような魔法のようなことは起こらない。それは何となくクロちゃんには分かっていた。

何かがおかしい、何かが。

闇が問いかける。

(そうだ、どうしてボクはここにいるの?100年前の世界にどうしているの?

いや、その前に、この世界に来たのはなぜ?

あの日、ボクは、山奥の物件を見に行ったんだ。

そして黒い大きな影に引きずり込まれた・・・)

目を閉じると、記憶が巻き戻したり早送りしたりした映像のようにグルグル現れた。


山奥の別荘の庭の石のテーブル

職場に来た姉、茶封筒

コンビニで買った弁当

窓からさす光

黒い塊

黒い塊はこちらを見る


それは、

その顔は オルガ王子だった。


「王子だ!」
クロちゃんが叫ぶ。

「何だよいきなり大声出して!驚くじゃねーか!」
ロックがビビりながら怒った。

「オルガ王子なんだよ!ボクをこの世界に連れてきたのは!」



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