34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました
第28話 黒い槍
クロちゃんの怪我(かすり傷)に責任を感じたメアリは、大急ぎでハーリーを呼んできた。
ハーリーはまるで全て分かっていたというような笑顔で歩いてくる。
「ハーリー!!」
クロちゃんはまさに藁にもすがる思いだ。
「大丈夫ですよ。」
優しい声でそう言うと、ハーリーは少しかがんで、クロちゃんの傷の部分に唇を近づけた。鼻の頭だったので、息がかかるほど顔が近い。
包帯が取れたハーリーは人狼の血を引くせいなのか、人間離れした美しさだった。
クロちゃんは今すぐこのお城から逃げたいという事を言わなければならないのに、心臓がバクバクするのを抑えられなくて言葉が出なかった。
「わかってますよ」
心配そうに見守るメアリには聞こえないぐらい小声でハーリーが囁く。
ハーリーは、全てを分かってくれている!とクロちゃんは確信した。
かすり傷はあっという間に治ってしまった。
それどころか、クロちゃんの美少女っぷりに磨きがかかったような気がする。
「おお、素晴らしい!感謝するぞ、ハーリー殿!」
メアリはピカピカのクロちゃんを見て飛び上がるほど喜んだ。
「では、私たちは急ぐので!」
メアリがクロちゃんを連れて先を急ごうとした時、
ドーン
頭の上で飛行機が爆発したかのような大きな音が聞こえて、同時に城全体が揺れた。
「な、なにっ?」
ビビりまくるクロちゃん。
メアリはクロちゃんを庇う態勢を取り、ハーリーは上を見上げた。
3人のすぐ前の天井が、突然現れた光の円と共に崩落する。
石の破片は粉砕されて煙のように辺りを舞い散った。
「何者!?」
いち早く、メアリがその煙の中に人影を見つける。
ぼんやりとした人影は、すぐにはっきりと見えてきた。
背の高いマントの男、手には50センチくらいの細い杖。
「コナンの王子、知の暴君ハザード!」
メアリが叫んだ。
ハザードと呼ばれた男は、メアリの後ろで怯えまくるクロちゃんを一瞥する。そして、
「死者の槍!」
杖をかざして何もなかった空中に、黒い槍を創り出す。
「ええっ、なに?!」
クロちゃんは目の前の現象にまだついていけていなかった。
男がクロちゃんの方向に杖を向けると、その黒い槍が一斉にクロちゃんの方に向かってきた。
メアリは俊敏な動きで剣を抜き、槍を落とそうとしたが、煙を切るようにすり抜けただけだった。
「しまった…!」
槍はクロちゃんの心臓を貫く。
「うわー!」
死んだ!クロちゃんはそう思った。
思えば冴えない人生だった…そこそこの大学を卒業したものの、イマイチの会社のうだつの上がらないサラリーマンだった34歳…
よく分からない異世界で死す…
「ん?」
しかし、クロちゃんはどうやら死ななかった。
冷静になれば痛みもない。
心臓を貫いて胸に刺さっている槍は、綿飴のように溶けていく。
キラキラ光りながら。
「クロ様!」
メアリは呆然とするクロちゃんの手を握りしめた。
「良かった!良かった!」
知の暴君ハザードは言った。
クロちゃんが決して聞きたくなかった言葉を。
「お前が、予言の少女だ。」
ハーリーはまるで全て分かっていたというような笑顔で歩いてくる。
「ハーリー!!」
クロちゃんはまさに藁にもすがる思いだ。
「大丈夫ですよ。」
優しい声でそう言うと、ハーリーは少しかがんで、クロちゃんの傷の部分に唇を近づけた。鼻の頭だったので、息がかかるほど顔が近い。
包帯が取れたハーリーは人狼の血を引くせいなのか、人間離れした美しさだった。
クロちゃんは今すぐこのお城から逃げたいという事を言わなければならないのに、心臓がバクバクするのを抑えられなくて言葉が出なかった。
「わかってますよ」
心配そうに見守るメアリには聞こえないぐらい小声でハーリーが囁く。
ハーリーは、全てを分かってくれている!とクロちゃんは確信した。
かすり傷はあっという間に治ってしまった。
それどころか、クロちゃんの美少女っぷりに磨きがかかったような気がする。
「おお、素晴らしい!感謝するぞ、ハーリー殿!」
メアリはピカピカのクロちゃんを見て飛び上がるほど喜んだ。
「では、私たちは急ぐので!」
メアリがクロちゃんを連れて先を急ごうとした時、
ドーン
頭の上で飛行機が爆発したかのような大きな音が聞こえて、同時に城全体が揺れた。
「な、なにっ?」
ビビりまくるクロちゃん。
メアリはクロちゃんを庇う態勢を取り、ハーリーは上を見上げた。
3人のすぐ前の天井が、突然現れた光の円と共に崩落する。
石の破片は粉砕されて煙のように辺りを舞い散った。
「何者!?」
いち早く、メアリがその煙の中に人影を見つける。
ぼんやりとした人影は、すぐにはっきりと見えてきた。
背の高いマントの男、手には50センチくらいの細い杖。
「コナンの王子、知の暴君ハザード!」
メアリが叫んだ。
ハザードと呼ばれた男は、メアリの後ろで怯えまくるクロちゃんを一瞥する。そして、
「死者の槍!」
杖をかざして何もなかった空中に、黒い槍を創り出す。
「ええっ、なに?!」
クロちゃんは目の前の現象にまだついていけていなかった。
男がクロちゃんの方向に杖を向けると、その黒い槍が一斉にクロちゃんの方に向かってきた。
メアリは俊敏な動きで剣を抜き、槍を落とそうとしたが、煙を切るようにすり抜けただけだった。
「しまった…!」
槍はクロちゃんの心臓を貫く。
「うわー!」
死んだ!クロちゃんはそう思った。
思えば冴えない人生だった…そこそこの大学を卒業したものの、イマイチの会社のうだつの上がらないサラリーマンだった34歳…
よく分からない異世界で死す…
「ん?」
しかし、クロちゃんはどうやら死ななかった。
冷静になれば痛みもない。
心臓を貫いて胸に刺さっている槍は、綿飴のように溶けていく。
キラキラ光りながら。
「クロ様!」
メアリは呆然とするクロちゃんの手を握りしめた。
「良かった!良かった!」
知の暴君ハザードは言った。
クロちゃんが決して聞きたくなかった言葉を。
「お前が、予言の少女だ。」
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