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34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第22話 人狼の末裔

月光の下、黒髪の美少女に戻ったクロちゃん。

〝生贄の少女〝なのだろうか?


「あのぅ、ボクはこれからどうなるのでしょうか…」

沈黙の緊張感に耐えられず、クロちゃんはストレートに聞いてみた。

「キミが、生贄の少女かどうか私には分からない。しかしその姿を見てしまった今、ハッキリするまでは逃すわけにはいかないだろうな。」

金髪のレオが言った。

「いずれにしよ、下手な小細工をしたり逃げようとなどとしないことだ。」

パキッ

レオ王子、若き騎士ロック、ションボリのクロちゃんの他に、

月明かりに照らされた影が1つ伸びる。

とっさに、ロックの手が腰の剣にかかる。


「よい」
制したのはレオ。

「今夜の月は見事ですね」

透き通るような優しい声が、クロちゃんとレオが入っている水面に響く。

聞き覚えのある声。

声の主は、白い布をギリシア彫刻のようにその身に巻きつけていた。
その下には包帯で全身を巻かれた姿がある。

片方覗くのは翡翠色の瞳。

「あ、包帯の人!」
クロちゃんはちょっと嬉しかった。また会いたかったからだ。

「お前は…!」
ロックはひどく驚いている。

レオ王子も目を見開いてジッと彼を見ていた。

「どうやって地下の部屋から抜け出したのだ?!」

ロックは近寄って話しかけた。

翡翠色の瞳はその問いに答えることなく、クロちゃんに微笑みかける。

そして、レオ王子に向かって跪く。
白い布がサラリと流れた。

「レオ王子、私は真の主人を見つけてしまいました。もうあなた様にお仕えすることは出来ません。」

「真の主人とは?」

まるで定型文のように、無感情にレオ王子が言った。


「そこにおられます。クロ様です。私の主人はこの方であると、天が示されました。」

包帯の男は立ち上がりながら、白い布を脱ぎ、その下の包帯をくるくると解き始める。

足元にパサリパサリと血の付いた包帯が溜まっていく。

レオ王子とクロちゃんは、彼に近づくように月の映る池から上がった。

「何ということだ!」
レオ王子は間近で見る彼の姿に驚嘆する。


しなやかな体に美しい白い肌、真っ直ぐな銀髪。

「ケガ…してたんじゃなかったの?」
その、傷1つない完璧な美しい肢体にクロちゃんも驚いた。

(血の付いた包帯は?)

レオ王子が呼ぶ。「人狼の末裔にして癒しの聖人ハーリー。」

「人狼!?」

そう叫ぶクロちゃんの背中越しの夜空には大きな満月。

ハーリーの翡翠の目に銀色の光が宿った。

しかし彼が狼に変身することはない。

「いかにも私は人狼の末裔。そしてこのカナンの国に大恩のある一族。しかしお許し願いたい、私の主人はこれよりクロ様お一人。」

ハーリーは、戸惑いまくっているクロちゃんに向き直って跪いた。

「あの、あの、お願いですから少しはボクにもわかるように説明して下さい〜〜!!」








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