34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました
第19話 クロちゃんの治癒
振り向いたクロちゃんは、
一瞬、黒髪の美少女に見えた。
「おいっ…」
ロックが近づこうとした瞬間、フッとロウソクの火が消える。
部屋はまた暗くなった。
「くそっ、なんで消えたんだ!」
ロックが大急ぎで廊下に出て、また松明を持ってくる。
その火でロウソクはすぐに復活した。
改めてクロちゃんの顔が明るく映し出されたが、それはさっきまでの赤く腫れ上がった顔だった。
「おかしいな…今、治ったように見えたんだが?」首をかしげるロック。
クロちゃんは何が何やら分からず、キョトンとしている。
「すみません、私の力不足で。この方がすっかり治るには、まだしばらくかかるようです。」
と包帯の人は言った。
「お前も治療が続いたしな…分かった、また後日連れてこよう。」
ロックはクロちゃんの手を引っ張って部屋をでる。
クロちゃんが振り向くと、包帯の人は小さく手を振り、人差し指を唇に当てて「ナイショ」のポーズをした。
ナイショ?
クロちゃんは不思議に思いながらも、下の部屋に戻される。
「お前のことをどうするかは、レオ王子がお決めになるだろうから、それまでここで大人しくしておけ。食事は誰かに運ばせる。」
そう言い残すとロックはどこかに去っていった。
1人部屋に残されたクロちゃんは、ずっと包帯の人について考えていた。
包帯の人に、おデコにキスをされた時、暖かくて優しい風が体の中に流れ込んで来た気がした。
例えるなら、爽やかなミントの風。
そしてまた、自分からあの人へも、何かが流れていった気がした。
交流したという感じだった。
「体がポカポカする」
そして全身が軽い。
何気なく顔を触ると、すごくツルツルになっていた。さっきまでザラザラだったのに。
髪も触ってみる。
こちらもツルツルになっていた。
ヘイナの泥でごわついていたのがウソのように。
「治ってる…?!顔の腫れも、髪の変色も…!」
クロちゃんは心底驚いた。
カナンの城の大広間
レオ王子が、大きな円卓に座っている。
若き騎士ロックは、レオ王子の正面に座っていた。
「そうか…ハーリーでもダメだったか。」
「はい。しかしハーリーは最近治療が続いておりましたから、自身の体のダメージが治りきっていない状態です。
また日をおけば、効果はあるかもしれません。
それにしましても、レオ王子、あのクロとかいう醜い少女をいかがなさるおつもりですか?」
レオは銅のゴブレットに注がれたワインを一口飲んだ。
「あの者が、コナンの王に使える預言者ミダの言う〝喰らう少女〝かどうかは分からないが、神の大鷲は確かに、生かしておけと言っていた。
無関係ではないのであろう。
もしこの国に仇をなす存在だと分かれば、すぐに殺せばよい。」
一瞬、黒髪の美少女に見えた。
「おいっ…」
ロックが近づこうとした瞬間、フッとロウソクの火が消える。
部屋はまた暗くなった。
「くそっ、なんで消えたんだ!」
ロックが大急ぎで廊下に出て、また松明を持ってくる。
その火でロウソクはすぐに復活した。
改めてクロちゃんの顔が明るく映し出されたが、それはさっきまでの赤く腫れ上がった顔だった。
「おかしいな…今、治ったように見えたんだが?」首をかしげるロック。
クロちゃんは何が何やら分からず、キョトンとしている。
「すみません、私の力不足で。この方がすっかり治るには、まだしばらくかかるようです。」
と包帯の人は言った。
「お前も治療が続いたしな…分かった、また後日連れてこよう。」
ロックはクロちゃんの手を引っ張って部屋をでる。
クロちゃんが振り向くと、包帯の人は小さく手を振り、人差し指を唇に当てて「ナイショ」のポーズをした。
ナイショ?
クロちゃんは不思議に思いながらも、下の部屋に戻される。
「お前のことをどうするかは、レオ王子がお決めになるだろうから、それまでここで大人しくしておけ。食事は誰かに運ばせる。」
そう言い残すとロックはどこかに去っていった。
1人部屋に残されたクロちゃんは、ずっと包帯の人について考えていた。
包帯の人に、おデコにキスをされた時、暖かくて優しい風が体の中に流れ込んで来た気がした。
例えるなら、爽やかなミントの風。
そしてまた、自分からあの人へも、何かが流れていった気がした。
交流したという感じだった。
「体がポカポカする」
そして全身が軽い。
何気なく顔を触ると、すごくツルツルになっていた。さっきまでザラザラだったのに。
髪も触ってみる。
こちらもツルツルになっていた。
ヘイナの泥でごわついていたのがウソのように。
「治ってる…?!顔の腫れも、髪の変色も…!」
クロちゃんは心底驚いた。
カナンの城の大広間
レオ王子が、大きな円卓に座っている。
若き騎士ロックは、レオ王子の正面に座っていた。
「そうか…ハーリーでもダメだったか。」
「はい。しかしハーリーは最近治療が続いておりましたから、自身の体のダメージが治りきっていない状態です。
また日をおけば、効果はあるかもしれません。
それにしましても、レオ王子、あのクロとかいう醜い少女をいかがなさるおつもりですか?」
レオは銅のゴブレットに注がれたワインを一口飲んだ。
「あの者が、コナンの王に使える預言者ミダの言う〝喰らう少女〝かどうかは分からないが、神の大鷲は確かに、生かしておけと言っていた。
無関係ではないのであろう。
もしこの国に仇をなす存在だと分かれば、すぐに殺せばよい。」
コメント