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34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第15話 レオの城

真っ赤なマントを体には巻き付けたクロちゃんは、男に引きずられるように赤い花畑を歩いた。

どこまでも続くかと思われた花の波は、20分ほど歩くと終わりを告げ、森の入り口にたどり着く。

そこに大きな黒いウマがつないであった。
レオと呼ばれた金髪の男も随分大きいが、この馬は彼を華奢に見せるほどの存在感がある。

クロちゃんをさらってきた大鷹はハリスは、いつの間にかいなくなっていた。


黒いウマは、ギロリとクロちゃんを睨む。
1度目を逸らしたが、ふとまたクロちゃんをじーっと見つめてきた。

(なんか…会社の面接で品定めされている気分なんだけど)
ウマに見つめられて気まずいクロちゃん。

ウマは、鼻面をクロちゃんに擦り付けた。何かを確かめるように。

そして、頭を背に向けて、乗れ、と言ってるような仕草をした。

「珍しいな。彼が自ら乗せようとするとは。しかも女、子供はまず見向きもしないのだが。
どうやらお前は気に入られたらしい…。」

気に入られた、のは嬉しいけど、どデカイウマに乗せられても怖いだけだった。

怖々乗ったクロちゃんの後ろにレオがひらりと乗り、ひと声かけたかと思うと、黒いウマは激しい風のように駆け出した。



休む事なくいくつか森を超えて、川沿いの開けた道に来た時、やっと黒いウマのスピードが落ちて、クロちゃんは目を開けることが出来た。

道の左右は広々した平野に背の低い木と民家が点在している風景。気持ち良い風が吹いている。

そして正面を向いた時、大きな崖の上にそびえるお城が見えた。

「うわぁ!」
クロちゃんは目を見張る。

それは立派で美しい城だった。近づけば近づくほど、迫力が増していく。
自分の背中にいる人物が、この城の王だということを考えると緊張してくる。

城の門が開くか開かないかのうちに、中から1人の騎士が飛び出してきた。

「レオ様!ご無事で!」

ツリ目が印象的な、栗毛の爽やかな若いイケメン騎士。
イケメン騎士はジロジロとクロちゃんを見た。

「レオ様のマントを…レオ様、お探しの少女はこの…ではないですよね?」

赤く腫れた顔と、錆びたようなショートカットの髪の小さな見すぼらしい、男か女かかも分からないクロちゃん。

(この人たちが探してるのは、きっとコナンの王子が探しているという黒髪の美少女だもんなぁ。完全な人違いだよ…)
クロちゃんはどう説明したら良いのか考えあぐねていた。

早くこの異世界の夢から覚めるか、せめてチイッポ村のハッキやガガの所に帰りたい。


「まだ分からぬが、取り敢えずあの時あの場所にいた女だ。着るものと食べ物を用意してやってくれ。
その者をどうするかはもう少し考えよう。
すぐに始末しても良いのだが、神の大鷹、ハリスが言ったのだ。


この者は生かすことに意味がある、と。」

そう言い残して金髪の王、レオは城の奥に姿を消していった。

クロちゃんの、赤いマントの端をつかむ手が震える。



(殺される可能性も大だったのか〜〜)


冷や汗が背中を伝い、レオに切りつけられた首元の傷が痛んだ。

いつ死んでもおかしくない世界にいる事を、クロちゃんは初めて実感した。








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