話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました

丸めがね

第3話 霧深い村の兄弟

正十の視界が真っ黒になったかと思うと、意識もなくなった。

そして、黒い塊ごとその別荘から消える。

残されたのは埃の中に光差す部屋と、コンビニで買った手付かずのお弁当。

風もないのにレジ袋がカサカサと揺れている…





山間の小さな村、霧深いチイッポ村。

大きな街と大きな街との間にあって、田舎だけど旅人が多く訪れる。

特産はヤギやウシの肉、乳製品と茶葉。
小さい村の割には栄えている方だ。


チイッポ村で、茶葉の栽培をしている農家の1つの娘ハッキは15歳。

器量は良くないが、明るく働き者だ。
8人もいる下の兄弟達の面倒を朝から晩までよくみている。

ハッキは重い水を、すぐ下の弟14歳のガガと村の井戸から運んでいる。

小高い丘にある家までは坂道が続いているので水運びは重労働だ。

「アンタも大バケツを持てるようになったのねぇ!」
人一倍大きな声でガガに話しかけた。

「姉ちゃん、もう去年身長も体重も追い越してるんだよ、オレは。いつまで子供扱いする気だよ!」
ガガはハッキと同じ、ソバカスだらけの顔で笑った。
クルクルして赤茶けた髪の色も、翡翠色の瞳の色も2人はソックリだ。

ハッキはわざとらしい、大きなため息をついた。

「アンタは男に生まれてホントに良かったわね!赤毛もソバカスも、ハンサムに見えるもの!
私ときたら女に生まれたばかりに、アンタに似てるのに美人からは程遠い顔になっちゃった!」

「そんなことないよ、姉ちゃん。…姉ちゃんは…その…悪くない顔してるよ。愛嬌があるというか、うん。」
根が生真面目で優しいガガはちゃんとフォローする。
ハッキはあははと笑った。

「私がなりたかった女の子はねぇ。髪の色は真っ黒がいいな!ツヤツヤのまっすぐな髪。瞳は優しい茶色がいい。肌の色は白くて、体の線は細いけど巨乳で、可愛い声で…そうだね、私と正反対」

ガガはちょっと困ったように笑った。両親を助けて下の兄弟たちの面倒を見るハッキは、オシャレをする余裕もないまま、女の子らしいことをする暇もない生活をしているのだ。

いつか姉に楽をさせてやりたいと思うガガだったが、まだそのチャンスに恵まれずにいた。

「そんな女の子見たことないよ。だいたいこんなへんぴな山奥にいたら一生巡り会えないだろうね。もし目の前に現れたら、逆立ちして大バケツ持ってやるさ…」

ガガはそう言いながら姉の方を見た。
姉は違う方向わ凝視している。

「ハッキ?」
「アンタ、逆立ちして大バケツ持たなきゃいけないかもよ」

ハッキの視線の先には、1人の女の子が倒れていた。



草むらの中に、黒髪で色白の女の子が…。




「34歳気弱なサラリーマン、囚われの美少女お姫様始めました」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー219285

    すごい!

    0
コメントを書く