どう考えても彼女は俺を避けている
~第1話~ 『清水 伊織』
昔からなにもかもが普通でなにか人と比べて、際立つものも特になくただただ平凡にすごしてきた俺だが
恋も何もしたことのない俺が、この宝賀高等学校に入学してから、初めて恋をした。
ただ恋と言っても、俺の一方的な一目惚れだったのだが
入学式彼女を見た時、生まれて初めて人を綺麗だと、美しいと感じた。
華麗というのはこの人の事を言うのだろうなと感じたくらいに綺麗だった
そのせいで入学式の事など頭になかったくらいだ。
入学式も終わり教室へ向かうと、彼女の姿もあった
胸が躍ったものだ、それだけでも俺は幸せだった
告白??こんな普通で何の取り柄も無い俺が告白なんておこがましい事さ
あういう人には高身長イケメンの優しくてなんでもできる人が彼氏っていうのが鉄板だろ?
俺みたいな人間が手を出せるような人じゃないと心から思った
だが、人間とは欲深いものでどんどん欲が出てきたのだ
日数を重ねていく事に、彼女がそばにいるというのがとても幸せなんだろうと思うようになった
告白してみようかなんて迷うまでなっている。
しかし彼女、清水詩織は見ての通りの美人で男女共に人気が高い。
彼女に告白した男子なんか数知れず...
それをすべて"ごめんなさい"の一言でサッカー部、バスケ部のエースなど、彼氏にするにはもってこいのスペックを持った男子もなんの躊躇もなく振りまくっているらしい。
数々のイケメンが告白して振られているのに、こんな俺が告白しても無駄だろうと分かっているのにかかわらず、今俺は彼女に告白しようとしている。
「・・・あっ・・・・あのっ!!!」
「・・・・・・はい。」
「入学式の時から、ずっと気になって・・・気づいたら好きになってて」
「なんの取り柄もない俺だけど、好きです、付き合ってください!」
「・・・・・・・はい」
「まぁ、そらそうですよね、わかってました・・・・・・・・え?」
「今、なんて言った」
「だから、こんな私でよければ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?」
そうして清水伊織と付き合う事になった俺だが、これからあんな事になるなんて誰が予想できようか。
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