薬草調合師と悩める青年

春夏秋冬

5

居間から話し声が聞こえる

「もう少し待ったほうが良さそうね」

『クロエ、あまり彼らと関わるな』

「何故?」

『言わなくてもわかっているだろう?』

「でも、彼らは隠したがっている」

『それでもだ』

「私も同じよ?言えないことなんてたくさんあるわ」

『……』

「大丈夫よ、何とかなるでしょ」

『全くだなクロエ』

「ふふっそれでも、どんな事があっても貴方は私のそばにいてくれるでしょう?ベル」

『……どうだかな』

「ふふっ。さぁそろそろいいでしょう」

#######

「待たせてごめんなさい」

「いえ、ありがとうございます」

「じゃあ、食べながら聞いてくれる?この村での暮らし方?を」

「暮らし方?」

「えぇ、まずこの村は基本的にお金を使わないの」

「ではどうやって買い物を?」

「買い物はあまりしないの」

「しないというのは、どういうことだ」

「物々交換ね、」

「物々交換!?」

「えぇ、男たちが狩りに行けるものが行って、村では女たちが果実を育てる。でも、狩りに行けないときだってあるでしょう?怪我したりとか年を取ってしまえばもちろん行けないわ」

「そうなると果実を育てるしかない…」

「えぇ、でも逆もある子育てで手一杯の母親は果実を育てられない、だからそこで交換する」

「そうやって成り立っているんですね」

「では、服はどうするんだ?」

「自分たちで作るわ、生地を買って」

「どうやって買うのですか?」

「月に一度近くの街から商人が来るからその時ね、お金を使うのは」

「でもそれでは減っているばかりでは?」

「こっちからは果実や獣の毛皮を売っているのだから減るばっかりではないわ」

「なるほどちゃんと成り立っているんだな」

「このくらいかしら?まぁわからなかったら村の人に聞けば教えてくれるわ」

「あぁありがとう」

「いいえ。それじゃあ、あなた達が暮らす家に案内しましょうか」

#######

「ここが、貴方達が暮らす家になるわ」

「これは…」 

「意外としっかりしてるんだな」

どんな想像してんのよ…

「まあね、一年前くらいまで人が住んでいたから」

「急に決まった割には家が決まっていたことに驚いてるんですが…」

「村長たちが予想してたんじゃない?貴方達がこの村に残るって」

「それは…なんとも」

「あの村長には敵いそうにないな」

私もそう思う、でも危険分子は徹底的になくすだから優しいだけじゃない…でも危険じゃないと思ったら必ず守ってくれるだから信頼できるのよ__


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