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『ダンジョンの守護者「オーガさんちのオーガニック料理だ!!」』

チョーカー

 亮は剣を振り下ろし、アッシュの首を切断する。



 ――――そのはずだった。



 部屋の中に甲高い金属音のような音が響く。

 しかし、それは金属と金属が接触した音ではなかった。

 自分とアッシュの間に割って入った人物。

 亮は、すぐにそれが誰だか気づいた。



 「……オーガさん」



 さきほどの金属音と聞き間違えた音は、オーガさんの肉を叩いた音だった。

 その箇所、肩口から少量とは言い難い血液が流れ落ちていた。



 「オーガさん! どうして、そいつを庇うんだ! そいつはオーガさんを殺そうとした。殺さないと! ここで殺さないとダメなんだ。早くどいてくれ!」



 亮は叫ぶ。

 心の中に燻っていた怒りを吐き出すように――――

 耐えきれないように内部からあふれ出す殺意を吐出した。



 それをオーガさんは――――



 「大丈夫だ」と亮の体を抱きしめた。



 「大丈夫。私は無事だ。もう怖がらなくてもいい」

 「怖がってないんて! ――――いや、怖いんだ。オーガさんがいなくなったら……俺は…」

 「私はいなくなったりしない。ずっと、貴方の隣にいてあげるよ」



 ピキピキと何かに亀裂が入った時の音がした。

 亮が身に着けているマント。そして仮面に亀裂が走っていた。

 亮の魔人化が解けていく。

 そして、人間に戻ると同時に亮は意識を失った。



 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・



 ―――数日後―――



 冒険者ギルド付近の飲食店にて



 「お待たせしました」



 亮が座っていたテーブルに1人の女性がやってきた。

 賢者さん。最近、本名はマーガレットだと言う事を聞いた。



 「このたびは申し訳ありませんでした」



 賢者さんは席に着くと同時に謝罪した。



 「い、妹に手紙で泣きついた件が、まさかここまで大ごとになるなんて……」



 その場で土下座でもしかねない勢いで頭を下げてきた。

 ガンガンとテーブルに頭をぶつけている。 



 「……いや、血が…割れるから! テーブルも賢者さんの額も割れちゃうから!」



 「では許していただけるのですか!」と頭を上げた賢者さんはニコリと笑う。



 「それとこれとは話が違う」



 再び賢者さんは、「どうも、申し訳ござませんでした!」とヘッドバンキングのような頭突きを繰り返した。



 こんなやり取りを複数回ほど繰り返した。



 「さて、朗報があります」

 「それはそれは、悲報じゃなくて何よりです」

 「実はチートくんたちが住んでいるダンジョンですが、再評価されました」



 「パンパカパン」と口でファンファーレを再現する賢者さんであったが、亮にはイマイチ意味がわかっていなかった。



 「再評価? それは脅威度的な評価が下がって冒険者が来なくなるみたいな感じかい?」

 「ん~ 結果は同じですが、逆ですね」

 「結果が同じだけど、逆って?」

 「脅威度が振り切れました」



 「?」と本気で意味がわからなかった。 



 「振り切れた? 脅威度が? それってどういう事?」

 「初心者向けダンジョンから最難関ダンジョンに認定されました! おめでとうございます!」

 「……めでたいの? それ???」



 「まぁ、勇者さまは撃破した主ボスがいるダンジョンですからね。評価は妥当でしょうね」

 「いや、めでたいのか? それ? って質問に答えろ! もはや、質問は詰問に代わってるぞ」



 「ん~」と賢者さんは、少し考えてから――――



 「とりあえず、観光気分やお小遣い稼ぎは来なくなりますね」

 「それは朗報かな? そういうの迷惑だったから」

 「代わりに世界最強クラスの冒険者たちがわんさかと訪れるでしょうね」

 「やっぱり悲報じゃねぇか!」



 「まぁ、心配しなくても勇者アッシュより強い冒険者なんて、そうそういませんし、どーんと構えておけば問題ないでしょ?」

 「そうそうって……あれより強い冒険者っているの?」

 「え? いますよ。アッシュさんは魔王退治が評価されていますけど、世界最強ってわけじゃないですからね」

 「……そういうのが来るのか?」

 「えぇ、たぶん……来ちゃうんでしょうね。がんばってください!」



 「うへ」と亮はテーブルの上に並べられた料理に手をつけた。

 やけ食いだ。大量の料理をほおばりながら……



 (あれ? 家で作った料理のほうが美味しいな)



 そんな事を考えていた。



 ・・・

 ・・・・・

 ・・・・・・・・



 さて、亮が魔人化した時、手に入れた剣。



 『奇剣 ショットガンウエディング』



 その力は生命を生み出すもの。



 だったら……



 あの時……



 その剣で切られたオーガさんには、どのような生命が宿るのだろうか?




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