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『ダンジョンの守護者「オーガさんちのオーガニック料理だ!!」』

チョーカー

オーガさんVS賢者さん

 わずかに開かれた戸の隙間。 そこから何かが投げ込まれた。

 それに最初に反応できたのは幸運にも亮だけだった。 



 例えば――――



 帰宅したばかりで、誰よりも居場所に近かった事。

 事前にガイから襲撃者が閃光弾らしき物を使用すると聞いていた事。

 様々な幸運が重なり、亮は地面に転がる筒状の物体を掴む。

 しかし、ソレは亮の手の中で動き始める。 

 不意打ち気味に始まった回転。亮は弾かれるように落とした。 

 回転の理由は一目瞭然だ。ソレの正体は閃光弾ではなく催涙弾。

 左右から勢いよく排出される催涙ガスにより本体が回転。

 白煙のようなガスで視界が閉ざされる。



 亮は目と鼻、口を手で覆い庇うが粘膜に付着。手遅れだった。

 それぞれから強烈な刺激を受け、五感が無効化されていく。



 ――――だから遅れた。 自身の背後に立つ人物の存在に気が付くのが……



 気づいたのは服の後ろ襟を掴まれ、地面に倒されてからだ。

 地面付近にはガスが薄かった。



 (助けられた? でも誰が?)



 亮は、それを確認する余裕はなかった。

 そのまま匍匐前進のような状態で引きづられ……

 たどり着いたのは、どうやら壁際。そこでガスが晴れるまで待機。

 そしてガスが晴れると――――



 亮は襲撃者に捕縛されていた。



 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・



 「すまないねチートくん。こんな手荒で強引な手段にでてしまって」

 「――――ッ!? その声は賢者さん!」

 「声だけで判別つくとは我ながら愛されていると思ってもいいかい?」

 「……ダメです」

 「……そいつは、つれないね」

 「いや、そんなことよりも! どうしてこんな事を?」

 「どうしてだって、それはこっちのセリフだよ」

 「!?」

 「どうして、君はダンジョンの最深部で生活してるのかな? ……おっと、誤魔化しちゃダメだよ。調べはついてるんだからね」

 「それは……」

 「うん、言いにくいのかなぁ? まぁ、状況が状況だからね」



 賢者さんは、亮を背後から抱きかかえるような態勢。

 より正確に言うと周囲の魔物に対して盾のようにしていた。

 その魔物たちの中から1人が一歩前に出る。



 それは―――― やっぱり――――



 オーガさんだった。



 「ソイツをどうするつもりだ? 人間」と問う。

 対して賢者さんは――――



 「愚問だ。人は人の世でしか生きてられない。ここから救い出す」

 「それは、お前個人の意見ってやつだろ? まぁ、理屈じゃなのか……こういうのは……」

 「あなた、一体何を言って……」

 「ソイツは私のだ。お前が――――いや、誰が、どんなに欲しがってもくれてやるもんか!」

 「――――ッ!? この魔物風情が!」

 「いいぜ? この世の真理は強者が総取りだろ? 誰だって私から亮は奪えない。けれども、夢くらいは見させてやるぞ」



 「その獣じみた理を人の言葉で語るな怪物め!」その言葉と同時に賢者さんは亮の捕縛を解く。

 そして、十字架によく似た杖をオーガさんに向けて――――



 魔法を放った。



 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・



 かつて、オーガさんと賢者さんは戦っている。

 亮がこの世界にやってきた初日の事だ。

 冒険者の仲間たちと戦った賢者さんは、オーガさんに負けている。

 一方的であり、暴力的に大敗を喫っした。

 だったら、1対1で賢者さんが勝てる要素はなのではないか?

 それでも賢者さんは粘った。 一方的な戦いではあったが、それでも善戦したと言ってもいい。

 魔法の連射、速射で弾幕を張り、焦らしたオーガさんが強引に前に出れば、冷静に距離を取る。

 戦いと言うよりも鬼ごっこを見ているようなものだ。

 逃げながら、ダメージを与えることすらできない攻撃を続ける賢者さん。

 それを煩わしそうにジリジリと間合いを詰めるオーガさん。

 勝敗が明白だった。 ――――そのはずだった。  

 はや、何度目かの乱射。 人間には不可視の速度で飛来してくる魔法の弾丸。

 しかし、オーガさんに取っては――――



 「鈍い!」



 その場にしゃがみ込み回避。そのまま地面を進む蛇のように低い状態で前にでる。

 狙いは賢者さんの足首。 

 捉まれるギリギリで賢者さんは後ろに飛んだ。



 「チッ!」と舌打ちを鳴らすオーガさん。



 しかし、この瞬間だけオーガさんの視界から賢者さんが消える。

 そして――――



 「今です!」と賢者さんの声が響いた。



 なんら、前触れもなく―――― 脈絡もなく―――― 伏線もなく―――― 

 予兆も前兆もなかった。



 刹那の時間、動きを止めたオーガさんに向かって、2人の男が出現した。



  

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