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『ダンジョンの守護者「オーガさんちのオーガニック料理だ!!」』

チョーカー

トレーニング計画!

 人間の体は短期間で筋肉はつかない。



 亮は格闘技が好きな友達から聞いた話を思い出していた。

 少し前、日本の格闘技界で、こんなトレーニング理論がまかり通っていたそうだ。



 「3ヶ月で体重が10キロ増。でも体脂肪は変わっていない。つまり、増えた体重のほとんどが筋肉ということになる」



 さて、これは正しいと思うか?

 3ヶ月で10キロの筋肉が増える。 では、1年で40キロ? 10年で400キロ?  

 400キロの筋肉男……巨人かトロールだろうか? 

 そんな人間は見たことがない。



 実のところ、体脂肪計というのは微弱な電気を体に流し、反射の時間で計算されている……らしい。

 つまり、体脂肪を計る直前に数リットルの水を飲めば、体脂肪は増る。

 逆に運動やサウナなど、体から水分が減っている状態なら体脂肪は減る。

 上記の理論が格闘界に広がったのは、そういう体脂肪のトリックなのだろう。



 ちなみに、ボディビルのトップクラスは10年の競技暦で常人よりも約20キロも重い筋肉を作り上げる。

 これは1日に換算すると6~7g。 1ヶ月で200g 1年で2キロ。

 常人離れした激しいトレーニングと徹底した食事管理を行い、この数字だ。



 ――― 閑話休題 ―――



 「さて、どんなトレーニングをやろうか?」



 スライムのスラリンを鍛えようとやる気にはなっていたものの、そのプランは未定だった。



 「長所を伸ばすべきか、短所を補うべきか…… う~ん、スラリンはどうしたい?」



 予想外の投げかけだったのか、スラリンは「え? どうしたいですか?」と聞き返した。



 「うん、単純に強くなりたいって言っても、動きが早くなりたいとか、打たれ強くなりたいとか……いろいろ理想のタイプやスタイルってあるだろ?」



 「た、確かにそうですね。僕の理想ですか……」と少し考え込んだ。そして出した答えは――――



 「華麗な技で素早く美しく、それでいて力強く戦って勝ちたいです」

 「全部か! およそ、考えられる戦闘スタイルの全部か!」



 亮のツッコミにスラリンは、「え? ダメですか」と涙交じりの瞳で見返す



 「……いや、ダメじゃないけど」



 「お前、甘々だな」といつの間にかオーガさんが横にいた。



 「オーガさん、いい所に!」

 「いい所も、何も、ここは私の住処なんだが……」

 「そんな事よりも、華麗な技で素早く美しく、それでいて力強く戦って勝つ方法を知らない?」

 「そんな事扱い……え? それで、なんだ? もう一回、ゆっくりと言ってくれ」

 「えっと……華麗な技で素早く美しく、それでいて力強く戦って勝つ方法」



 それを聞くと、オーガさんは肩から力を抜き「なんだ、そんな事か」と言った。



 「もちろん知っているぞ。 と言うか、亮もスラリンもどうして気がつかないのか? 私からしてみたら不思議だ」

 「気がつかない? 何をだ?」

 「それらの条件の全てに当てはまった戦い方をする存在が目の前にいるだろ?」



 そう言ってオーガさんは自分の顔を親指で指した。





 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・



 「そうだ、人間は固いと同時に脆くもある。それは防具を身につけているからだ」

 「はい! 先生!」

 「ならば、防御の隙間を狙う精密な攻撃か、防具ごと破壊する強烈な一撃が必要だ」

 「なるほど! そのための技ですね!」

 「そうだ。幸いにも人間の構造は、どいつも同じようなもん。だから、こうきたら、こう! こうして、こうやって、こう返してやれば、こうなる」

 「こうきたら、こう! こうして、こうやって、こう返してやれば、こうなるですね! 先生!」

 「いや、違う。 こうはこう言う状況であって、こうはこうだが、こうなれば……」



 こうがゲシュタルト崩壊を起こしそうな鍛錬だった。

 戦闘スタイルとか、対人技術はオーガさんに任せればいい。

 亮は食事のメニューを考えていた。



 (筋トレ後の食事といえばたんぱく質。鳥肉には困っていないけど……)



 チラリと畑の方を見る。

 ジャガイモに続いて、育てた始めた野菜はブロッコリーだ。

 実はブロッコリーはキャベツの変種らしい。 ちなみに別名 十字架作物(かっこいい!)。

 ブロッコリーはトレーニング中の人に好まれる食材だ。

 理由は、たんぱく質、ビタミンC、食物繊維の豊富さ。



 「鳥肉も良いけど、ビタミンと合わせるなら豚肉も……」

 「豚って言うと品種改良された猪のことだろ?」

 「あっ、オーガさん? スラリンは?」

 「……あそこでダウンしている」



 スラリンは地面にぶちまけられた液体のようになっていた。



 「い、生きてるの? あれ?」



 「一応、加減はしたんだが……スライムだから」とオーガさんは申し訳なさそうに言った。

 そして、誤魔化すように――――



 「それよりも、猪を取ってくればいいんだろ? 任せとけ!」



 止めるのも聞かず、逃げ出すように駆け出していった。



 

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