『ダンジョンの守護者「オーガさんちのオーガニック料理だ!!」』
ダンジョン開拓の開始?
さて、今更ながら本作の主人公である神埼亮の個性あるいは人格を紹介していこう。
彼はどこにでもいる平凡な高校生だ。
つまり――――
目の前で泣いている女子がいれば、理由を聞かず手を差し出す優しさを持っている。
正義の心を持っているとは断言できなくても、理不尽に対して正しくあろうとする正義感をもっている。
道徳心もあり、自制心も高く、心に狂気と言うものを持ち合わせていない。
だから、トラブルメーカーとして他者から認識されやすく、誤解も受けやすい。
間違っても台風が近づいてるのに山荘や孤島に連れて行ってはダメな人物。
誰もが、本気で望むのであれば、物語の主人公になり得るのと同じで――――
神埼亮もまた――――
主人公たる条件を満たした、どこにでもいる極めて平凡な高校生である。
しかし、そんな彼だからこそ達観した生死感を有していた。
おそらく、自分の人生は安らかに病院のベットで死ぬ事はない。
古い言い方をすれば、自宅の畳の上で死ぬ事はない。
ある日、突然、予想もできない壮絶な死を迎えるだろう。
予言めいた確信を、子供の頃から持っていた。
もしも、神埼亮の特異性を上げるとしたら、それだろう――――否。
それ以外に存在しない。
平凡な高校生には、平凡な人生も、平凡な死も訪れはしない。
そんな彼だからこそ――――
今、異世界に順応していた。
もちろん、彼にだって家族はいる。親しい友達も、淡い恋心を抱く同級生もいた。
だが、異世界に来る以前から持っていた諦め。平凡な人生への諦めが――――
ここで言うところの『あちら側』への帰還を、あっさりと諦めさせていたのだった。
さて、そんな彼が異世界の迷宮ダンジョンで魔物モンスターの大物ボスであるオーガさんに求婚されて、どうなったのかと言うと――――
畑を耕していた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
亮は、固い地面を鍬(クワ)で耕す。
その鍬を良く見れば、、普通の物ではないと分かる。
持ち手は、折れた槍だ。魔物に破れた冒険者の紛失物なのだろう。
鍬にはあり得ないほどの派手さがある持ち手だ。
そして、地面を掘り起こす金属の部分。おそらくは折れた剣先だ。
恐ろしく切れ味の良い鍬。間違って素手で刃の部分を触れれば、簡単に切れてしまうだろう。
そんな破損した武器の残骸を鍬に魔改造し、畑を耕しているのには、もちろん理由があった。
『よし、お前! 毎日、私のためだけに料理を作ってくれ!』
そんな求婚を意図せず受け入れてしまった亮だったが……需要と供給が追いついていないのが現状だった。
そもそも、オーガさんの住処には備蓄と言うものは存在していなかった。
その理由を聞くと――――
「ん? なんで? わざわざ、食べ物を貯めるの?」
気ままに奥のエレベーターでダンジョンの外に出て、狩猟を行い、調理もせずに食べる。
これまで、オーガさんのライフスタイルは、そんな感じだったらしい。
一応、冷蔵庫は使用しているみたいだが……
「まぁ、いいじゃん。どうせ、食べ物なんて冒険者たちが持ってくるんだろ?」
オーガさんは楽観的だったが、亮は違った。
「いやいや、そんな他人任せにしても、ダンジョンの入り口が崩れたとか……急に冒険者たちが来なくなる事もあるでしょ?」
「むむむ、そう言われてみると……確かに! 確かに!」
いつ来るかわからない冒険者を頼りにして、食料を奪う山賊行為では、突然に供給が止まる事――――
長期的に冒険者が訪れない事も想定しなければならなかった。
「じゃ、あれだ! お前が人間がやってる畑とか作ってくれるんだろ!」
「え?」
「わぁ、楽しみだなぁ。 あれってどうやってるのか、知りたかったんだ」
「……」
こんな会話があり、安定した食事の供給を任された亮は、食料の生産を行う事になったのだ。
さて、問題は……
亮が畑を作っている場所はオーガさんの住処すみかである。
つまり、太陽の光が届かない地下。
だが、亮は知っていた。
作物を育てるのには、もちろん光合成のための光と水が必要だ。
しかし、重要なのは光より水よりも土。 今、亮が行っているのは土作りだ。
畑には肥料を撒くが、人間の排出物に栄養があるわけではない。
排出物の中にいる微生物――――バクテリアが有機物を分解して栄養素を作る。
さらには、土の内部に空気を含ませ、バクテリア自身が活動しやすい環境を自分で作る
けれども、問題もあった。
ぶっちゃけ、肥料がない。
どうやら、魔物たちはダンジョン内で流れる小川をトイレ代わりに使うらしい。
つまりは天然の水洗トイレだ。
排出物が残っているはずもなく……
まぁ、排出物をそのまま肥料に使うなんて昔の話であって、体内の病原菌まで畑にばら撒いてしまう事になりかねない。
というわけで、肥料など買いに出かける事になった。
もちろん、ダンジョンの外へ……
彼はどこにでもいる平凡な高校生だ。
つまり――――
目の前で泣いている女子がいれば、理由を聞かず手を差し出す優しさを持っている。
正義の心を持っているとは断言できなくても、理不尽に対して正しくあろうとする正義感をもっている。
道徳心もあり、自制心も高く、心に狂気と言うものを持ち合わせていない。
だから、トラブルメーカーとして他者から認識されやすく、誤解も受けやすい。
間違っても台風が近づいてるのに山荘や孤島に連れて行ってはダメな人物。
誰もが、本気で望むのであれば、物語の主人公になり得るのと同じで――――
神埼亮もまた――――
主人公たる条件を満たした、どこにでもいる極めて平凡な高校生である。
しかし、そんな彼だからこそ達観した生死感を有していた。
おそらく、自分の人生は安らかに病院のベットで死ぬ事はない。
古い言い方をすれば、自宅の畳の上で死ぬ事はない。
ある日、突然、予想もできない壮絶な死を迎えるだろう。
予言めいた確信を、子供の頃から持っていた。
もしも、神埼亮の特異性を上げるとしたら、それだろう――――否。
それ以外に存在しない。
平凡な高校生には、平凡な人生も、平凡な死も訪れはしない。
そんな彼だからこそ――――
今、異世界に順応していた。
もちろん、彼にだって家族はいる。親しい友達も、淡い恋心を抱く同級生もいた。
だが、異世界に来る以前から持っていた諦め。平凡な人生への諦めが――――
ここで言うところの『あちら側』への帰還を、あっさりと諦めさせていたのだった。
さて、そんな彼が異世界の迷宮ダンジョンで魔物モンスターの大物ボスであるオーガさんに求婚されて、どうなったのかと言うと――――
畑を耕していた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
亮は、固い地面を鍬(クワ)で耕す。
その鍬を良く見れば、、普通の物ではないと分かる。
持ち手は、折れた槍だ。魔物に破れた冒険者の紛失物なのだろう。
鍬にはあり得ないほどの派手さがある持ち手だ。
そして、地面を掘り起こす金属の部分。おそらくは折れた剣先だ。
恐ろしく切れ味の良い鍬。間違って素手で刃の部分を触れれば、簡単に切れてしまうだろう。
そんな破損した武器の残骸を鍬に魔改造し、畑を耕しているのには、もちろん理由があった。
『よし、お前! 毎日、私のためだけに料理を作ってくれ!』
そんな求婚を意図せず受け入れてしまった亮だったが……需要と供給が追いついていないのが現状だった。
そもそも、オーガさんの住処には備蓄と言うものは存在していなかった。
その理由を聞くと――――
「ん? なんで? わざわざ、食べ物を貯めるの?」
気ままに奥のエレベーターでダンジョンの外に出て、狩猟を行い、調理もせずに食べる。
これまで、オーガさんのライフスタイルは、そんな感じだったらしい。
一応、冷蔵庫は使用しているみたいだが……
「まぁ、いいじゃん。どうせ、食べ物なんて冒険者たちが持ってくるんだろ?」
オーガさんは楽観的だったが、亮は違った。
「いやいや、そんな他人任せにしても、ダンジョンの入り口が崩れたとか……急に冒険者たちが来なくなる事もあるでしょ?」
「むむむ、そう言われてみると……確かに! 確かに!」
いつ来るかわからない冒険者を頼りにして、食料を奪う山賊行為では、突然に供給が止まる事――――
長期的に冒険者が訪れない事も想定しなければならなかった。
「じゃ、あれだ! お前が人間がやってる畑とか作ってくれるんだろ!」
「え?」
「わぁ、楽しみだなぁ。 あれってどうやってるのか、知りたかったんだ」
「……」
こんな会話があり、安定した食事の供給を任された亮は、食料の生産を行う事になったのだ。
さて、問題は……
亮が畑を作っている場所はオーガさんの住処すみかである。
つまり、太陽の光が届かない地下。
だが、亮は知っていた。
作物を育てるのには、もちろん光合成のための光と水が必要だ。
しかし、重要なのは光より水よりも土。 今、亮が行っているのは土作りだ。
畑には肥料を撒くが、人間の排出物に栄養があるわけではない。
排出物の中にいる微生物――――バクテリアが有機物を分解して栄養素を作る。
さらには、土の内部に空気を含ませ、バクテリア自身が活動しやすい環境を自分で作る
けれども、問題もあった。
ぶっちゃけ、肥料がない。
どうやら、魔物たちはダンジョン内で流れる小川をトイレ代わりに使うらしい。
つまりは天然の水洗トイレだ。
排出物が残っているはずもなく……
まぁ、排出物をそのまま肥料に使うなんて昔の話であって、体内の病原菌まで畑にばら撒いてしまう事になりかねない。
というわけで、肥料など買いに出かける事になった。
もちろん、ダンジョンの外へ……
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