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『ダンジョンの守護者「オーガさんちのオーガニック料理だ!!」』

チョーカー

それはプロポーズでしょうか? そして結婚でしょうか?

 

 「よし、お前! 毎日、私のためだけに料理を作ってくれ!」



 プロポーズされた? 混乱と困惑が襲った。



 「いやいやいや……」



 頭を振るい、直ぐに冷静さを取り戻す。

 ここは異世界だ。 相手は魔物(モンスター)であるオーガさんだ。

 言葉のニュアンスに違いがあるはず。

 例えば――



 かの文豪が「I love you」を「月が綺麗ですね」と略した逸話とか……いや、例えが違うか。



 「僕のために毎日お味噌汁を作ってください」

 「僕と一緒にお墓に入ってください」



 これを「結婚してください」の遠まわしの比喩として通じるのは日本人だからだろう。

 そもそも、違う世界のはずなのに、どうして言葉が通じているんだろ?

 いやいや、今はそんな些細な疑問を考えている場合ではない。



 「えっと、それはどういう意味ですか?」



 亮は動揺が伝わらないように聞いた。



 「意味? 意味だって? お前は妙な事を聞くんだな。そりゃ――――結婚してくれって意味以外あるのか?」

 「……」



 プロポーズでした。

 正真正銘、本当のプロポーズでした。



 「凄いな、お前の料理。体が活性化されているのか? 妙に体が軽い。それに、まるで発情期のように興奮してる」



 ずぃいと近づいてくるオーガさん。



 「は、発情期って! そのあの……」

 「照れてるのか? よく見ると可愛いやつだな。大丈夫だ。初めは優しくするから、初めは……ね?」

 「なんで、初めての部分だけ強調する!」



 そんなツッコミ混じりの抗議ですら、今のオーガさんは――――

 「くす…」と笑い。やっぱり可愛いなぁ」と顔をさらに近づけたかと思うと、イッキに押し倒してきた。

 あっと言う間に馬乗り状態。 亮は上から両手を押さえつけられ、拘束された。



 「ちょ、冗だん……」



 冗談ですよね? の一言すら言えなかった。

 オーガさんの頬には赤みが差し、その瞳には潤いが増し、体全体から、なにやら湯気のようなものが立ち上がっている。



 ……ん? 湯気?



 「オーガさん? 何か湯気みたいな……煙?」



 良く見ると、オーガさんの周囲は空気が歪んで、あるいは空間そのものが捻れて見える。

 まるで格闘マンガの強キャラみたいになってる。

 それを指摘すると――――



 「ん? 確かに、これは奇妙だな」



 あっさり、亮の拘束を解いて立ち上がった。



 「明らかに、今……私は強くなっている――――いや、強くなり続けている実感が……確信と感覚ある」

 「強くなり……続けているですか?」

 「あぁ、どうやら、お前の料理が私の肉体を強化しているみたいだな」

 「そんな馬鹿な……料理で強くなるなんて、昔のネトゲじゃあるまいし……」



 そう否定する一方で亮には、心当たりがあった。

 『こちら側』の食材で作った料理は美味しい。 



 そう――――



 不自然なくらいに美味し過ぎるのだ。



 この世界で始めて食べたポテトチップスも、病み付きになるほどの美味さがあった。

 それも、まるで中毒症状が出たかのように伸ばす手が止めれなくなった。

 さっきのピザ(?)もそうだ。 本当に、泣くほど美味いピザが自分に作れたのだろうか?



 「もしかしたら、食材に秘密があるのか? でも……だとしたら……やっぱり、奇妙だ」



 亮は頭を抱えて悩みだす。



 「そんなに悩むような事かい?」

 「え?」

 「お前の料理を食べたら強くなる。そんな単純な事なんじゃないのか? 例えば……そう、冒険者たちが言うところのチート能力ってやつじゃないのか?」



 「チート能力……あっ!」と亮は大声を出した。



 「ビックリした!? なんだい? 急に?」

 「俺、何か持ってなかったですか? 手に紙か、何かを?」

 「紙だぁ……? 紙ねぇ……持っていたような、持ってなかったような……」

 「どっちですか!」

 「どっちも何も、お前は紙なんて持ってないだろ? 目覚めた時からな。それが答えだよ」



 亮は困った。混乱に続く混乱で失念していたのだ。

 確かに異世界召喚された自分には、何らかのチート能力があるのは確かだ。

 しかし、それを確認するために……と賢者から渡された巻物スクロールを紛失してしまっていた。

 これでは、自分のチート能力はもちろん、ステータスってのも確認できない。

 もし、自分の能力が料理に関する事だったとしても――――副作用がないとは、思えない。

 いや、食する事で肉体に変化を起こす料理なんて、副作用があって当然だ。

 それも目に見えるほどの変化だ。 

 おそらく、アスリートのドーピングなんて可愛いくらいの肉体に負荷がかかっているのではないか?



 それをオーガさんに伝えると――――



 「それは、それは……まぁ、私も料理されたものを始めた食べたわけだし、ナチュラルに肉体的変化が起きてもおかしくはないが……まぁ、試してみればいいじゃん?」

 「え?」

 「お前が料理を作る。私が食べる。これでオーケー?」

 「いや、オーガさんが良いのなら……俺は…」

 「じゃ、そういうことで! 末永く宜しくな! だんな様!」



 そのオーガさんの言葉に――――



 あ、あれ? 結婚を承諾したことになった? いつの間に?



 新たな問題と対面した亮であった。




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