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『ダンジョンの守護者「オーガさんちのオーガニック料理だ!!」』

チョーカー

気がつけばダンジョンにいた

 黒い……黒い怪人がいた。

 道化師ピエロの仮面すら黒い。

 そして全身を覆い隠すマントもまた……漆黒。



 怪人に対するのは辺境最強と謳われる勇者の一行たち。



 「うおぉぉぉぉぉぉ」



 勇者アッシュは聖剣を煌めかせ鋭い太刀筋を見せた。

 しかし、目の前の怪人は舞うように飛び上がり回避。

 そのまま空中に停止したかと思うと――――



 「火球ファイヤーボール」



 短詠唱で発動可能な初級の魔法。

 しかし――――



 「勇者、代われ! 私が前に出る」



 回復のため下がっていた前衛が勇者の前に飛び出す。

 聖戦士 ロザリーは重厚な鎧と盾が特徴的な超前衛特化型の戦士。

 加えて、神々の祝福によって対魔能力は世界でも5本の指に入る。

 しかし―――



 初級であるはずの火球は、勇者たちの動体視力を凌駕していた。

 その光が認識した時には、ロザリーは倒れていた。

 盾には穴が開き、さらには鎧に空いた穴はロザリーの背中まで繋がっていた。



 「なんで、初級の魔法がここまで強烈に!?」



 いつもは冷静沈着の賢者 シーラは混乱していた。

 あらゆる魔法に精通している彼女だからこその混乱。



 「こんな……こんな存在が初心者向けダンジョンにいていいはずありません!」



 シーラは絶叫した。

 そんな仲間の恐怖すら背中に浴びて勇気に変える。

 ゆえに勇者。



 「なぜ、そんな力を持ちながら魔物などに力を貸す! 答えろ!」



 再び聖剣を怪人に向けて振る。

 金属音。

 聖剣は薄黒いナイフに受けられた。



 「ならば、貴様等が答えろ」

 「何を!」

 「なぜ、お前たちは魔物を殺す?」

 「なにを……言っている? 魔物を殺す理由……だと?」



 それは勇者アッシュにとって予想外の言葉だった。

 なぜなら――――



 「全ての魔物は邪悪。殺さぬ理由はない!」



 「……そうか」と怪人の呟きがダンジョンに響いた。  



 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・



 ―――3ヶ月前―――



 ひんやりとした空気に神埼亮かんざきりょうは目を覚ました。

 暗闇?  水分を含んだ空気の臭い。

 違和感により、まどろみだった亮の意識は覚醒していく。



 「ここは……洞窟? でも、なんで?」



 ゆっくりと記憶をたどるも途中で欠落。

 朝起き、学校に向かって…… 確か、黒い靄もやに包まれた。



 (兎に角、出ないと……)



 極端に光源の少ない洞窟内。

 取り出したスマホを懐中電灯の代わりに歩き始まる。

 暫く歩くとガヤガヤとした人の声。そして光が見える。



 「警察? もしかして、救助隊か?」



 「すいません! 俺……」と亮は駆け出した。

 曲がり道の向こう。ある一群と出くわした。



 !?



 それはコスプレイヤー?

 少なくとも亮に取っては、そうだとしか認識できなかった。

 邪悪な龍を退治する日本を代表するRPGゲームのキャラたちそっくりな集団だ。

 思わず、亮は叫んだ。

 洞窟という場所にいるはずのない存在コスプレイヤー。

 それは幽霊を目撃するのと等しい恐怖だったのだ。

 しかし、亮はすぐに思い知らされた。

 彼らはコスプレイヤーなどではなく、本物だという事を……



 どうやら、ここは異世界……らしい。

 たまに、別世界の人間が現れたり、意図的に召喚されたり、転生したりする……らしい。 

 そんな人間は、だいたい反則級の能力(いわゆるチート能力)を持っている事が多い……らしい。



 そんな説明をコスプレイヤー集団……もとい冒険者たちから聞いても亮はスンナリと信じられなかった。

 しかし、洞窟内で現れた魔物モンスターは、現実離れしていた。



 液体のような生物であるスライム。

 小柄でありながら凶暴なゴブリン。

 巨大で獰猛なオーク。



 冒険者たちは亮を守るように戦った。

 その姿は、まるで鍛え抜かれたアスリートのようだった。

 そして、鮮血が舞い散る戦い。 離れた場所から花火のように打ち込まれる華麗な魔法。



 もう、そこに疑いはなかった。

 ここは異世界であり、自分は召喚された人間なのだと――――

 僅か10分にも満たない時間で、わからされたのだ。


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