異能童話

兔妖

全ての始まり─third



─木漏れ日が眩しかった。風に乗って落ち揺る木葉は、きっとどこかへの招待状─

ミーが目を覚ましたときには、目の前に木々が広がっていた。

「ミー…そろそろ…降りて…」

15分もたった頃、少女の腕は限界を示していた。


夢のような風景。耀く木々に、素晴らしい歌声をもつ小鳥達の合唱。足元に咲く花はこれまでにみたことのないような、綺麗な色をしていた。

木漏れ日の光をたどれば、そこにあるのは一件の家。今は人が住むことのないその家は、美しく保たれていた。

「ミー着いたよ。」

自分の下を歩くミーに少女は到着を告げ、ショルダーバッグからひとつの鍵を取り出した後、その家に向かった。

窓から見えるのは無数の本。背表紙が整った本にはひとつとして題名がない。

─カチャ

鍵が開いた音が、玄関に響いた。積み上げられた本が、小窓から覗く午前の日光に照らされていた。

「少しだけど、埃っぽい。」

入ってすぐの第一声がこれだった。だが、現実は少しにはしてくれそうもなく、あっちを見れば埃、そこを見ても埃だった。

ミーは戸惑いながら足を踏み入れたが、もわっとした感覚がむずむずする。

「ミョー」

人間の言葉に訳すと、『うーむずむずするー』らしい(少女曰く)

「大丈夫。中に入ればそうでもないから。」

開かれた扉の先には窓から見えていた以上の数の本棚。ひとつとして隙間なく並べられている本はどれも名無し。

慣れているのか、少女はつてつてと進む。縦長の小窓から指す光がすごく眩しかった。

「今日はここから」

 奥から六番目の棚から本を抜き出し、少女は地べたに座った。

─カチ…カチ…

秒針が揺れるなか、少女はじっくり読み始める。

その姿をミーはとても不思議そうに眺めていた。それは猫だからではない。ミーはある程度の人の動きは分かるので。それでも尚、不思議そうに眺める理由。

それは、少女が開いている本は中の頁すべてが白紙の"空白書"主のいない本だから。





今日は(o・ω・o)ノ
Euphoniumの素晴らしさを心から感じる兔妖です!
3話目となりましたが、私の作品をフォローしてくださっているかたがいらっしゃいます!(о´∀`о)
凄く嬉しいです!
.+:。 ヾ(◎´∀`◎)ノ 。:+.←嬉しいの舞
また次回、お会いしましょう!

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