ヘンリエッテは野心家である。
第13話 伝家の宝刀
いつもの三人で食堂で昼食を取っていると、わたしの生徒証にメッセージが届いた。生徒証は通信端末にもなっていて、授業の変更や連絡事項があったときはメッセージが来るのだ。
「何だって? 彼氏?」
なんて、アニータが覗き込んでくる。
「違うよ。荷物が届いたって」
「彼氏から?」
ニヤニヤするアニータ。
「だから、彼氏なんていないってっ」
「荷物?」
向かいのハンスがアニータを無視して聞いてくる。
「そう。明日の実習で使おうと思って」
「ああ、対モンスター演習だね」
学校の中は安全だが、外に出ればそこかしこにモンスターがはびこっている。魔法師と言えど、魔力は限られているし、戦闘訓練も怠ってはいけないのだ。
「今日は午後の授業はないし、少し感覚を取り戻しておこうと思うんだ。二人も一緒にどう?」
「あ、えっと、僕は……」
「もちろん行くよ! ね? ハンス」
「はい……」
アニータに押し切られ、断れないハンス。なんか不憫ね……。
寮の入り口で生徒証を見せ、預かり物を受け取る。
「ありがとうございます」
受け取った、布製のケースにくるまれたものを収納の魔法で仕舞い込む。
収納の魔法は空間魔法の応用だけど、基本魔法として早くに教わったもので、持ち運びのできる倉庫のようなもの。自分の魔力をカギにしていつでも開け閉めができ、ものの出し入れができる。
「形状からして、剣?」
「まぁまぁ、それは見てのお楽しみってことで」
わたし達は寮の屋外訓練場に出る。そこには既に何人かが、同じように身体を動かしに来ていた。
「わたし達も始めましょうか」
「う、うん……」
ハンスは乗り気でないみたいだけど、収納の魔法を使って武器を取り出す。かと思いきや、取り出したのは身体の半分をも覆う盾だった。
「あはは、ハンス、それ武器じゃないでしょ」
「いいんだよ。身を守ることも大事なんだから」
たしかにそうだけどさ……。
「アタシはこれ!」
アニータが取り出したのは、大きな刃の付いた槍。
「これ、多少なら伸縮できるのよね~」
なるほど。槍の苦手とするクロスレンジでも戦えるってわけね。
じゃあ、わたしもお披露目といきましょうか。
わたしは収納の魔法でさっきの布製のケースを取り出し、中身を取り出す。それを腰に携えて、鞘から刀身を引き抜いてみせた。
やや反った細く薄い刃はわたしの腰から頭を超えるまで伸び、柄の上には円形の鍔がついている。普通に持つと結構重いんだけど、わたしには筋力を補うだけの魔力がある。
「何この剣? 見たことないわね」
「僕も……」
ふふふ……そうでしょうとも。
「この剣は“コガラス”。わたしのご先祖様の故郷に伝わるものなんだって」
「へぇ~。ヘンリエッテは魔法はすごいけど、体術の方はどうかしら? アタシに勝てる?」
「どうかな。やってみないと」
わたしは余裕の笑みを見せて、コガラスを構え、アニータと対峙した。
「何だって? 彼氏?」
なんて、アニータが覗き込んでくる。
「違うよ。荷物が届いたって」
「彼氏から?」
ニヤニヤするアニータ。
「だから、彼氏なんていないってっ」
「荷物?」
向かいのハンスがアニータを無視して聞いてくる。
「そう。明日の実習で使おうと思って」
「ああ、対モンスター演習だね」
学校の中は安全だが、外に出ればそこかしこにモンスターがはびこっている。魔法師と言えど、魔力は限られているし、戦闘訓練も怠ってはいけないのだ。
「今日は午後の授業はないし、少し感覚を取り戻しておこうと思うんだ。二人も一緒にどう?」
「あ、えっと、僕は……」
「もちろん行くよ! ね? ハンス」
「はい……」
アニータに押し切られ、断れないハンス。なんか不憫ね……。
寮の入り口で生徒証を見せ、預かり物を受け取る。
「ありがとうございます」
受け取った、布製のケースにくるまれたものを収納の魔法で仕舞い込む。
収納の魔法は空間魔法の応用だけど、基本魔法として早くに教わったもので、持ち運びのできる倉庫のようなもの。自分の魔力をカギにしていつでも開け閉めができ、ものの出し入れができる。
「形状からして、剣?」
「まぁまぁ、それは見てのお楽しみってことで」
わたし達は寮の屋外訓練場に出る。そこには既に何人かが、同じように身体を動かしに来ていた。
「わたし達も始めましょうか」
「う、うん……」
ハンスは乗り気でないみたいだけど、収納の魔法を使って武器を取り出す。かと思いきや、取り出したのは身体の半分をも覆う盾だった。
「あはは、ハンス、それ武器じゃないでしょ」
「いいんだよ。身を守ることも大事なんだから」
たしかにそうだけどさ……。
「アタシはこれ!」
アニータが取り出したのは、大きな刃の付いた槍。
「これ、多少なら伸縮できるのよね~」
なるほど。槍の苦手とするクロスレンジでも戦えるってわけね。
じゃあ、わたしもお披露目といきましょうか。
わたしは収納の魔法でさっきの布製のケースを取り出し、中身を取り出す。それを腰に携えて、鞘から刀身を引き抜いてみせた。
やや反った細く薄い刃はわたしの腰から頭を超えるまで伸び、柄の上には円形の鍔がついている。普通に持つと結構重いんだけど、わたしには筋力を補うだけの魔力がある。
「何この剣? 見たことないわね」
「僕も……」
ふふふ……そうでしょうとも。
「この剣は“コガラス”。わたしのご先祖様の故郷に伝わるものなんだって」
「へぇ~。ヘンリエッテは魔法はすごいけど、体術の方はどうかしら? アタシに勝てる?」
「どうかな。やってみないと」
わたしは余裕の笑みを見せて、コガラスを構え、アニータと対峙した。
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