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ヘンリエッテは野心家である。

エルトベーレ

第11話 無限回廊

うちのご先祖様から受け継いだ力、“無限回廊”。
魔力生成の永久機関で、わたしの魔力は無尽蔵。果てることを知らないのだ。


「無限回廊は魔力の源泉でもあるが、本質はそうじゃない。それが、お前の魔法体質が無限回廊だと思った理由だ。たぶん、自分では気づいてないんだろうけど」
って、え? あれ? 違うの?


みんなが真剣に耳を傾けるので、ジークリードさんはもったいぶらずに話し始めた。
「俺の“氷雨”フローズンドロップを、しかも一発ごとに障壁を一つずつ展開して防ぐなんて、普通はムリだ。しかもそれと同時に二重結界で“雷霆”サンダーボルトを防ぎ、俺の右ストレートも防いだ」
「えっ、嘘でしょ……」
「汝っ、闇に魅入られし者かっ?」
やっぱりやりすぎだったんだ。普通は、できないことだったんだ。リーゼロッテさんまで、よくわからない驚き方をしてるし……。


「なぜ普通はできないか、よし、フェレーナ。答えてみろ」
さながら先生のように、ジークリードさんはフェレーナさんを指名する。
あとで知ったが、彼は教官志望なのだという。


「えーっと、複数の魔法の同時展開がそもそも難しいのと、同一魔法の繰り返しがそれと同時に行われていること、ですか?」
フェレーナさんも彼に応えて、丁寧な口調になる。
「そうだ。だが、それは可能なんだ。無限回廊に直接命令を出すと、無意識下で同一魔法の繰り返しを行ってくれるとの仮説がある。もしその仮説が本当なら、フェレーナの言った二つの問題はクリアできたことになるだろ?」
「確かに……」
なんだか難しい話になってきたけど、どうやらわたしは高度なことをやっていたらしい。でもそれは、無限回廊のおかげなんだ。
特に意識したことはなかったけど、言われてみればそんなようなことをしてたかもしれない。


「たぶん無限回廊の本質は、その“連続性”にあると思うんだけど……。何分 資料が少ないからな。詳しいことは俺もわからない」
「じゃあ、そこがわたしの固有魔法の切り口になりそうですね!」
同じ魔法を連続で出せるとしたら、しかも、そのエネルギー源が無限だとしたら……。なんだってできそうな気がしてきた!


「フェレーナ、リズ。この子をしっかり見ておけよ。この子は…………」
固有魔法のアイデアを考えるのに没頭していて、最後の方は聞き取れなかった。
ただ、二人は真剣な顔つきで、どことなく強張っているようにも見えた。

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