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ヘンリエッテは野心家である。

エルトベーレ

第4話 魔法の発現の方法

お昼休みが終わる前に、わたし達は訓練場へ移動した。


訓練場にはすでにほとんどのクラスメート達が集まっていて、先生もすぐにやってきた。
「この『魔法演習基礎』も私が担当する。今日はまず、お前たちの魔法適性をみる」
と、ビルクナー先生は箱から何かを取り出した。
「魔法を発現させる方法はいくつかある。詠唱、魔法陣、思念、魔法道具の使用など。そしてそれらには適性がある。今回はテスト用に、最も簡素な術式を用意した。これを使って試してほしい」
配られたのは、何枚かの紙切れ。赤色のペンで、何かの記号が書かれている。
「式はこれだ。私が実演してみせる」
ビルクナー先生は訓練場の床に、白いチョークで魔法陣を書き記し、その真ん中にわたし達に配ったのと同じ紙切れを置いた。そしてビルクナー先生が手をかざすと、赤色の記号は黒色に変わった。
「色を変える魔法だ。黒色になれば成功。他の色になったら何かおかしい。変わらないのは論外だ」


一番簡単で確実なのは魔法陣。
まずはわたしも同じように魔法陣を書いて、真ん中に紙切れを置き、魔法陣に魔力を流す。と、すっと記号は黒色に変わった。
まぁ、これくらいは当然ね。


次は詠唱……は、恥ずかしいからいいや。みんながいないときにこっそり試してみよう。
一番難しいのは思念ね。頭の中で式を思い浮かべて展開するから、落ち着いてるときはいいけど、焦ってるときなんか、絶対ミスするって。
式を思い浮かべて、紙切れに手をかざす。と、記号が黒色に変わった。
……うん。冷静なときは大丈夫なんだよね。だからこそ、落ち着いてなくても指向性は間違えないように、杖を使ったり、ほうきを使ってみたりするんだけどね。


ま、とりあえずこのくらいの魔法だったら、わたしはどうってことはないわね。他の人はどうだろう。また目立ってたらヤだな。


とりあえずアンネの姿を探してみる――と、すぐ見つかった。やっぱり彼女は綺麗だからいい意味でよく目立つ。
彼女はもう試し終わったようで、暇そうに髪をいじっていた。
どうだったんだろう。わたしと同じで、思念でできるのかな。


それなら、ハンスやアニータはどうだろう。
「うーん、思念は難しいなぁ……。魔法陣書かないと無理だよ……」
ハンスは書かないと発現できないタイプらしい。
それはそれで、ミスなく発現できるからいいと思うの。


アニータは……っと。
「変われ! レッド・トゥ・ブラック!」
何それカッコいい!
詠唱は、キーワードさえ含まれていればどんな言葉でもいい。結局はこれも魔法道具と同じで、イメージしやすいのと、指向性を持たせやすいのが利点なのよね。
アニータは感覚派っぽいし、確かに似合ってるかも。


「そこまで。お前たち、自分の適性はわかったか? 今後魔法を使う授業の時は、自分で必要なものを用意しておくように。以上」
ここで鐘が鳴り、授業が終わる。


午後の授業は一つだけ。
そういえば、課外活動もあるんだよね。研究室がたくさんあって、好きなところに所属して放課後の時間にあてることができるって、昨日言ってた。もちろん、所属しなくてもいいんだけど。
どうせこれから暇だし、せっかくだから、いろいろ見てみようかな。

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