竜王は魔女の弟子
第21話 九条の剣術
翌日の放課後から早速、双葉杯に向けての特訓を始める。
ユイさんも約束通りしっかり来てくれた。もしかしたらすっぽかすんじゃないかと不安に思っていたが、そんな人ではなかったようだ。
「ふふん、どうかな?」
なんていいながら、制服姿を見せびらかしてくる。
「全然違和感ないですね。まだ現役でいけるんじゃないですか?」
「嬉しいこと言ってくれるねぇ、もう」
しかし、相変わらず表情は変わらない。社交辞令だと分かっているからだろうか。
「颯太さん、双葉杯はタッグマッチですけど、相手は姉さん一人でいいんですか?」
「あたしが二人分動けばいいんじゃないの?」
「姉さんならできそうなのが怖いです……」
そうなのかよ、恐ろしいな……。
「大丈夫、ちゃんと考えてあるよ」
すると、タイミングよく彼女は現れる。
「ごめん、颯太くん、遅くなって」
「あれ、魔女っ娘マナちゃんじゃん」
なにそれかわいい。
「九条さん?! それから、その呼び方やめてください」
「マナちゃんはこの坊やと知り合いなの?」
「この子は私の弟子なんです。……手を出さないでくださいね?」
などと、先輩は警戒するように、静かにユイさんを睨む。
ユイさんって本当に何者なんだ……? メイちゃんにも関わったらダメだって言われたし……。
「そっかそっかぁ、颯太君は魔女に魂を売り渡したんだね……。あ、もう体まで契っちゃったのかな?」
「そんなことしてません! ……颯太くん、何でこの人を連れてきたのよ……」
どうやら、セクハラして恥ずかしがるところを見るのが好きみたいだ。……少し共感できてしまう自分が悔しい。
「まぁまぁ、ユイさんも、バカなことやってないで始めませんか?」
「はぁい。あたしはこっちのペアでいいのよね?」
と、ユイさんは俺とメイちゃんと対峙するように、先輩の側に寄る。
「はい。ある程度加減はしてもらえると助かりますが」
「そうだよね。一瞬で終わっちゃったらつまんないもんね」
だがその自信は、確かな実力からきていることは、こうして向かい合っているだけでも感じられる。
究極の活人剣は戦わずして相手を屈服させることだ、というのがなんとなくわかる気がする。
「颯太くん、いいの? 私がそっちについても足りないくらいよ?」
「いいんです。優勝狙ってますから」
ふと、口数の少ないメイちゃんの方を見ると、少し顔が強張っている。昨日もそうだが、お姉さんに対して何か確執があるのだろうか。
「メイちゃん」
「は、はいっ」
「大丈夫。落ち着いて。一人じゃないんだからな」
「……はいっ」
深呼吸をして落ち着きを取り戻したメイちゃんは、昨日とは違う、いつもの剣士の眼をしていた。
「それじゃあ、始めようか」
「はぁ……はぁ……、強すぎる……っ」
しばらく手合わせをしてもらったが、一度も攻撃を当てることができなかった。
単純にユイさんの動きも素早いものの、先輩の援護で余計にまともな攻撃にならない。
……これでも手加減しているのか。
「でも、これを続けていけば、もっともっと強くなれる……っ、そんな気が、しますっ」
さすがのメイちゃんでも、息が上がっていた。
「なかなかいいスジしてるよ、二人とも。連携も思ったより取れてるみたいだしね」
「私は、ちょっと疲れたかも……」
少し頑張りすぎたのか、先輩は体が重そうだ。
むしろ、それでも倒れないあたり、先輩も手加減してくれていたのだろう。今の俺では、先輩の本気を引き出すこともできないということか……。
「それじゃあ、今日はここまでにしようか」
「はい、ありがとうございました!」
日が暮れてきたこともあり、俺たちは解散してそれぞれの部屋へ戻っていった。
ユイさんも約束通りしっかり来てくれた。もしかしたらすっぽかすんじゃないかと不安に思っていたが、そんな人ではなかったようだ。
「ふふん、どうかな?」
なんていいながら、制服姿を見せびらかしてくる。
「全然違和感ないですね。まだ現役でいけるんじゃないですか?」
「嬉しいこと言ってくれるねぇ、もう」
しかし、相変わらず表情は変わらない。社交辞令だと分かっているからだろうか。
「颯太さん、双葉杯はタッグマッチですけど、相手は姉さん一人でいいんですか?」
「あたしが二人分動けばいいんじゃないの?」
「姉さんならできそうなのが怖いです……」
そうなのかよ、恐ろしいな……。
「大丈夫、ちゃんと考えてあるよ」
すると、タイミングよく彼女は現れる。
「ごめん、颯太くん、遅くなって」
「あれ、魔女っ娘マナちゃんじゃん」
なにそれかわいい。
「九条さん?! それから、その呼び方やめてください」
「マナちゃんはこの坊やと知り合いなの?」
「この子は私の弟子なんです。……手を出さないでくださいね?」
などと、先輩は警戒するように、静かにユイさんを睨む。
ユイさんって本当に何者なんだ……? メイちゃんにも関わったらダメだって言われたし……。
「そっかそっかぁ、颯太君は魔女に魂を売り渡したんだね……。あ、もう体まで契っちゃったのかな?」
「そんなことしてません! ……颯太くん、何でこの人を連れてきたのよ……」
どうやら、セクハラして恥ずかしがるところを見るのが好きみたいだ。……少し共感できてしまう自分が悔しい。
「まぁまぁ、ユイさんも、バカなことやってないで始めませんか?」
「はぁい。あたしはこっちのペアでいいのよね?」
と、ユイさんは俺とメイちゃんと対峙するように、先輩の側に寄る。
「はい。ある程度加減はしてもらえると助かりますが」
「そうだよね。一瞬で終わっちゃったらつまんないもんね」
だがその自信は、確かな実力からきていることは、こうして向かい合っているだけでも感じられる。
究極の活人剣は戦わずして相手を屈服させることだ、というのがなんとなくわかる気がする。
「颯太くん、いいの? 私がそっちについても足りないくらいよ?」
「いいんです。優勝狙ってますから」
ふと、口数の少ないメイちゃんの方を見ると、少し顔が強張っている。昨日もそうだが、お姉さんに対して何か確執があるのだろうか。
「メイちゃん」
「は、はいっ」
「大丈夫。落ち着いて。一人じゃないんだからな」
「……はいっ」
深呼吸をして落ち着きを取り戻したメイちゃんは、昨日とは違う、いつもの剣士の眼をしていた。
「それじゃあ、始めようか」
「はぁ……はぁ……、強すぎる……っ」
しばらく手合わせをしてもらったが、一度も攻撃を当てることができなかった。
単純にユイさんの動きも素早いものの、先輩の援護で余計にまともな攻撃にならない。
……これでも手加減しているのか。
「でも、これを続けていけば、もっともっと強くなれる……っ、そんな気が、しますっ」
さすがのメイちゃんでも、息が上がっていた。
「なかなかいいスジしてるよ、二人とも。連携も思ったより取れてるみたいだしね」
「私は、ちょっと疲れたかも……」
少し頑張りすぎたのか、先輩は体が重そうだ。
むしろ、それでも倒れないあたり、先輩も手加減してくれていたのだろう。今の俺では、先輩の本気を引き出すこともできないということか……。
「それじゃあ、今日はここまでにしようか」
「はい、ありがとうございました!」
日が暮れてきたこともあり、俺たちは解散してそれぞれの部屋へ戻っていった。
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